独ロ首脳が電話会談、ウクライナ巡り協議 見解相違も対話継続へ
ロイター / 2024年11月16日 2時52分
ドイツのショルツ首相が15日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナからのロシア軍撤退と戦争終結を促した。ドイツ政府報道官が明らかにした。 写真は2022年2月撮影(2024年 ロイター/ Johanna Geron)
[ベルリン/キーウ/モスクワ 15日 ロイター] - ドイツのショルツ首相が15日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナからのロシア軍撤退と戦争終結を促した。ドイツ政府報道官が明らかにした。
ロシア大統領府も、プーチン氏のショルツ首相との電話会談を確認。会談はドイツの要請で行われたとし、プーチン氏はウクライナ戦争終結のためのいかなる合意も、ロシアの安全保障上の利益を考慮に入れ、「新たな領土の現実」を反映したものでなければならないと伝えたと明らかにした。
ウクライナ大統領府の関係筋によると、ゼレンスキー大統領はショルツ首相に対し、プーチン大統領と電話会談を行うことでロシアの孤立状態が緩和され、戦争継続につながるとの懸念から、プーチン大統領との電話会談を控えるよう警告。「プーチン大統領は真の平和を望んでおらず、一時的な休戦を求めているだけだ」とし、電話会談はプーチン大統領を利するだけだと述べたという。
ドイツ政府報道官によると、ショルツ首相はプーチン大統領に対し、公正かつ永続的な平和を目指してウクライナと交渉する意思を示すよう要請。ドイツは可能な限りウクライナを支援するという立場も強調した。また、北朝鮮がロシアに派遣した兵士をウクライナとの戦闘に投入することは紛争の深刻なエスカレーションにあたると明確に伝えた。
両首脳は今回の電話会談後も連絡を維持することで合意。ショルツ首相はプーチン大統領との会話内容を同盟国やパートナー国のほか、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)首脳に報告する。
ロシア大統領府によると、プーチン大統領はウクライナ戦争終結を巡る合意について、紛争の根本的な原因に対処するため、ロシアの安全保障を考慮し、ウクライナの領土の一部をロシアが実効支配しているという「新たな領土の現実」を踏まえたものでなくてはならないと伝えた。
プーチン氏が示した見解は6月に表明したものと同一。当時プーチン大統領は、ウクライナがNATO加盟方針を放棄し、ロシアが制圧したウクライナの4地域の全てを引き渡せば戦争は終結すると表明した。ウクライナはこうした条件は降伏に等しいとして拒否している。
プーチン氏はこのほか、ロシアとドイツとの関係の「前例のない悪化」について言及。原因はドイツの非友好的な行動にあるとの考えを示した。同時に、エネルギー問題を巡り、ドイツが関心を示せば取引の検討に応じる用意があると伝えた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は今回の会談について「ウクライナを巡り詳細、かつ率直に議論した」とし、「かなり大きな見解の相違があるが、対話が行われたということ自体が極めて肯定的だ」と述べた。
ショルツ首相とプーチン大統領の直接会談は2022年12月以来。独政府高官によると、両首脳は約1時間にわたり会談した。
ショルツ首相はプーチン大統領との電話会談前にウクライナのゼレンスキー大統領とも会談しており、プーチン大統領との会談後にもゼレンスキー大統領と再度会談する。
ショルツ氏がこのタイミングでプーチン大統領と電話会談を行った理由は不明。ポーランド国際問題研究所のダニエル・シェリゴフスキー氏は「総選挙を控える中、ショルツ氏はプーチン氏と対話を行うことは、国内で自身の立場の強化につながると考えている」との見方を示した。ドイツでは連立政権の崩壊に伴い来年2月23日に総選挙が施される。
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