IMFに100カ国が支援要請、融資能力強化の必要も=首席エコノミスト
ロイター / 2020年4月15日 10時40分
国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ギータ・ゴピーナート氏は4月14日、ロイターのインタビューで、加盟189カ国のうち100カ国が、新型コロナウイルスの封じ込めと経済対策のための緊急支援をIMFに要請したと明らかにした。2019年10月18日、ワシントンで撮影(2020年 ロイター/James Lawler Duggan)
[ワシントン 14日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ギータ・ゴピーナート氏は14日、ロイターのインタビューで、加盟189カ国のうち100カ国が、新型コロナウイルスの封じ込めと経済対策のための緊急支援をIMFに要請したと明らかにした。
同氏はまた、IMFの1兆ドルの融資能力は加盟国の新型コロナ対策を支援するのに「相当大きな額」だが、コロナ危機の発展途上国への影響が今後本格化するのに伴い、一段の財源が必要になるかもしれないと述べた。
同氏は、新型コロナの世界的流行(パンデミック)で最貧国が最も大きな打撃を受ける見通しで、その多くは債務水準が高く、医療制度が脆弱で、商品(コモディティ)価格安の悪影響も受けていると指摘。また、IMFに支援を要請した100カ国のうち半分が低所得国だと明らかにした。
国際的な債権者が最貧国の債務返済を年末まで猶予することで合意したのは「極めて好ましい」と評価。ただ、最貧国の多くはパンデミックの悪影響がまだ本格化していないため、猶予期間は2021年まで延長する必要が生じるかもしれないと語った。
フランスのルメール経済・財務相は14日、公的・民間債権者がアフリカのサハラ砂漠以南の40カ国を含む76カ国に対し、総額2000億ドルの債務返済の年内の停止を認めると明らかにした。残る120億ドルの債務については、債権者である国際機関が決める必要があるとした。
主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁は14日、ビデオ会議を開催し、途上国の債務返済に時限的猶予を与える用意があると表明。20カ国・地域(G20)の財務省・中央銀行総裁による15日の会合で最終決定される見通し。
ゴピーナート氏はIMFの1兆ドルの融資能力について、「コロナ危機に対応するのに相当大きな額と考えているが、状況が一段と悪化する可能性もある」と語った。既に25カ国に対し、年内のIMFへの債務返済を猶予するための支援金を提供したと明らかにした。
IMFは無利子あるいは低利で提供可能な緊急支援金の額を従来の2倍の1000億ドルに増やしており、短期的な流動性供給策の整備も進めていると述べた。
また、資金不足に陥った際に他の加盟国の外貨と交換できるSDR(特別引き出し権)の新規割り当てについても検討していると表明。2009年の世界的な金融危機の際にはSDRの割り当てで加盟国に2500億ドルの資金がもたらされた。
ゲオルギエバ専務理事は前週末、英エコノミスト誌に対し、米国は現時点でSDRの新規割り当てを望んでいないと述べている。
ゴピーナート氏は「現時点でいかなる選択肢も排除していない。加盟国を支援するため全ての手段を検討しており、SDRも含まれている」と述べた。
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