アングル:トランプ氏とバイデン氏、人種問題と刑事司法で姿勢は対照的
ロイター / 2020年7月16日 8時33分
[13日 ロイター] - 11月の米大統領選を争う共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領は、米国の人種格差と刑事司法の問題を巡っての見解と言動がまったく対照的だ。こうした問題は大統領選で際だった争点となっている。
両氏の姿勢とその背景を次に記す。
<人種問題>
バイデン氏によれば、今回の大統領選への出馬を決めたきっかけは、2017年にバージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者と反対派の衝突事件に対し、トランプ氏が「双方に」責任があると発言したことだ。こうした物言いは、トランプ氏が人種攻撃をするときの典型的なパターンとしてよく批判されている。
トランプ氏の顧問やホワイトハウスのスタッフには黒人は極めて少ない。バイデン氏は初の黒人米大統領になったオバマ氏の副大統領を務め、自分が大統領になれば閣僚や司法的な任用、副大統領には米国の人種の多様性を反映させると公約している。
<警察>
白人警官による黒人のジョージ・フロイドさんの暴行死で抗議デモ活動が広がった際、トランプ氏は連邦軍の投入も辞さないと警告した。
トランプ氏は警察改革へ向けた大統領令に署名した。拘束時などの行動基準について、改善された最新のものを適用するよう求めたほか、警察官の生命が脅かされない限りは容疑者の首締め拘束を禁止することなどを盛り込んだ。
しかし大統領令について民主党は、首締め拘束の例外を認めていることや、ドアをノックせずに容疑者宅に警察が突入することを許可する捜査令状を巡って何の制限も設けていないことを批判。民主党が進めている警察改革案はこの2つの警察の慣行をもっと明確に禁止する包括的な内容だ。
バイデン氏は、市民の権利侵害が糾弾される警察組織に対するトランプ政権の監督が甘いと批判。警察官を被害者による訴訟から守る「限定免責」の改革を支持するとも表明している。
この限定免責については、トランプ氏の報道官は大統領が廃止を支持しないと述べている。
一方でバイデン氏は、警察への予算廃止を求める活動家の声には抵抗する。代わりに、警察官採用で人種の多様性を深め、地域社会と敵対的な関係を作らないように警察官を教育する補助金プログラムに3億ドルを投じるとしている。
<司法改革>
トランプ氏は2018年、薬物犯罪の量刑を軽くし、刑務所での中毒治療プログラムを拡大、品行の良い受刑者の刑期短縮を認める超党派の刑事司法制度改革法案に署名した。
トランプ氏は連邦死刑囚への刑執行再開を求めることなど、犯罪対処の厳格化を支持してきた。こうした政策はマイノリティー層に特に影響する。
バイデン氏は死刑と独房監禁、保釈金を払わなければ容疑者が収監される制度の廃止を求める。量刑を短縮し、その代わりに非識字や児童虐待などを減らすため州政府に200億ドルを拠出することを約束している。
<教育と経済>
トランプ氏は自分の人種政策について話す際、新型コロナ危機前に黒人の失業率が記録的な低水準になったことをしばしば売り込む。
バイデン氏は、賃金差別の訴訟を起こしやすくする法律を呼び掛けてきた。融資や住宅問題で人種差別をしない新たな保護策を作ろうとしており、居住地からの人種的な排除を許す規則を減らしたり、新型コロナの死者が黒人層に偏る問題を解決する作業部会を設置したりすることを提唱。そうした取り組みをする自治体に3億ドルを助成する方針だ。
トランプ、バイデン両氏とも、歴史的に黒人系の大学への支援を主張する。トランプ氏は、こうした大学への資金援助を恒久化したり増額したりするための2億5500万ドルの連邦支出計画に署名した。トランプ政権は、こうした黒人系大学の奨学金や研究事業への資金を増やす法制化もしたと訴えている。
一方で、バイデン氏は公立大学の大半の学生の授業料を無料にすることを計画しているが、対象には公立の黒人系大学も含める。研究機関設置や授業料援助を開始した学校にも、計700億ドル超を投じる方針だ。
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