インフレは目標に向かっている、拙速な利下げ避けたい=ECB総裁
ロイター / 2024年2月15日 19時12分
2月15日、ECBのラガルド総裁(写真)は、ユーロ圏の最近の経済指標はインフレが予想通り目標水準に戻りつつあることを示しているが、確信するにはさらに多くのデータが必要との認識を示した。フランクフルトで1月撮影(2024年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[フランクフルト 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は15日、ユーロ圏の最近の経済指標はインフレが予想通り目標水準に戻りつつあることを示しているが、確信するにはさらに多くのデータが必要との認識を示した。
欧州議会の公聴会で、「最新のデータはディスインフレの進行を裏付けており、今後も続くと予想される。ただ、理事会はそれが持続的に2%の目標達成につながることを確信する必要がある」と述べた。
市場は年内の利下げ幅を113ベーシスポイント(bp)と予想。数週間前は150bpだった。ECBが過度な利下げ観測をけん制していることが背景。
ラガルド氏は「賃金の伸びは引き続き力強く、今後数四半期でインフレ動向をますます左右する重要な要因になる見通しだ。タイトな労働市場と労働者のインフレ補填(ほてん)要求を反映している」と発言。
ECB独自の賃金先行指標は依然として賃金圧力が強いことを示しているが、昨年末に一定の安定状態に達したことも示しているという。
ただ、賃金の伸びが物価に過度な上昇圧力をかけないかを確認するため、今年第1・四半期の賃金交渉の行方を見極める必要があるとした。
経済成長率は6四半期連続でゼロ付近で推移しており、目先、経済活動の「低迷」が続く見通しという。
総裁は拙速な利下げは避けたいとも発言。インフレの長期化や金融政策の再引き締めにつながりかねないと述べた。
「最も避けたいのは早まった決断を下し、(結果的に)インフレが再燃したり、追加の措置を講じる必要が生じることだ」と述べた。
<新たな枠組み>
総裁はECBが今後数年でバランスシートを縮小する見通しだが、近く採用する新たな枠組みの下では債券ポートフォリオと融資オペレーションを維持する可能性が高いと述べた。
総裁は「(新たな枠組みは)債券ポートフォリオとさまざまな満期の融資オペレーションの組み合わせから成る可能性が高い」とし「数カ月で完成する」と述べた。
新たな枠組みでは、新常態(ニューノーマル)の下でECBが銀行にどのように流動性を供給するかを決める。活発な議論が進められており、ポートフォリオの規模をどうするかやECBが市場で継続的に国債を購入すべきかが重要な問題になっている。
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