NY市場サマリー(16日)
ロイター / 2020年3月17日 7時23分
[16日 ロイター] - <為替> 新型コロナウイルスの感染拡大による影響が引き続き大きな懸念材料となり、リスク資産売られ、安全資産とされる円に買いが入る展開となった。米連邦準備理事会(FRB)が15日に100ベーシスポイント(bp)の緊急利下げに踏み切ったにもかかわらず、懸念は払拭されていない。
FRBは3月3日の50bpの緊急利下げに続き、15日に100bpの利下げを決定し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%とした。このほか、今後数週間にバランスシートを少なくとも7000億ドル拡大すると表明した。[nL4N2AW3Z7][nL4N2B80HG]
こうした措置で、米国債市場で見られている流動性枯渇などの問題が解決に向かうと予想されていたが、新型ウイルス感染の懸念から人々が外出を控える中、企業の苦戦は続いている。
BDスイス・グループの投資調査部門責任者、マーシャル・ギットラー氏は「新型ウイルスで明確な影響を受けている産業に対する直接的な支援が必要となっている。こうした支援は財政政策でしかできない。中央銀行は迅速に対応しているが、政府は同等の迅速な対応ができていない」と述べた。
G7(主要7カ国)首脳はこの日、新型ウイルスの感染拡大を受けテレビ会議を開き、世界的流行への対応を最優先課題とし、世界経済の安定を支援するため保健対策で協調体制を取ると表明。声明で「協調行動により、新型コロナウイルスの世界的流行による保健面と経済面のリスク解決に取り組み、堅固で持続可能な経済成長と繁栄が力強く復活する基盤を整える」と強調した。[nL4N2B95L4]
主要6通貨に対するドル指数<=USD>は0.24%上昇の98.11。
ドルは円
中国国家統計局が発表した1─2月の鉱工業生産や固定資産投資、小売売上高などの一連の経済指標は悪化。統計の発表前に中国人民銀行(中央銀行)は中期貸出制度(MLF)を通じて金融機関に1000億元(142億9000万ドル)を供給した。[nL4N2B912B][nT9N29I01P]
ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、キット・ジャックス氏は「新型ウイルスの感染拡大を阻止するための対応策が経済活動の急激な低下につながった可能性がある。中銀がこれまでに取った措置、および今後取ると予想される措置で経済への大きな打撃が防止できないことは明らかだ」と述べた。
オフショア人民元
<債券> 国債利回りが低下。米FRBが前日に緊急利下げを実施し、政策金利をゼロ付近に引き下げたことを受けた。ただ、先週付けた過去最低水準は上回って推移した。
米10年債利回り
金利政策に敏感な2年債利回り
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略部門責任者、イアン・リンゲン氏は「既に織り込み済みというのが市場の答えで、利下げと量的緩和(QE)の復活はある程度予想されていた」と述べた。
さらに「月内これまでに150bpの緊急利下げが実施された後でも、2年債利回りは依然目標レンジの上限を上回っている。0.25%が次の重要な節目になる」とし、金融危機後の2年債の最低水準は2011年9月の0.143%だったと指摘した。
前週は、財政刺激策が講じられるとの観測やテクニカル要因などがあり、10年債利回りは24.7bp上昇(価格は下落)。30年債利回り
FRBの金融調節を担うニューヨーク連銀はこの日、5000億ドルのレポオペ第2弾を実施した。[nL4N2B956Q]
<株式> 大幅反落。1日としては1987年来以来の大幅な下げを記録した。米連邦準備理事会(FRB)が前日実施した緊急利下げを受け、新型コロナウイルス感染拡大によって深刻な景気後退が引き起こされる可能性があるとの懸念が強まった。
ダウ工業株30種<.DJI>が約3000ドルの下げとなったほか、S&P総合500種<.SPX>も約12%安となり、2018年12月以来の安値を付けた。
FRBは15日、政策金利をゼロ付近に引き下げ、債券買い入れを再開するとしたほか、危機時の対応手段の活用に踏み切った。ただ、この緊急対応が新型コロナの急速な感染拡大および感染拡大による世界経済や企業業績への悪影響を巡る新たな警鐘になった。[nL4N2B80HG]
チャールズ・シュワブのチーフ・グローバル投資ストラテジスト、ジェフリー・クライントップ氏は「新型コロナの影響がおよぶ範囲が明らかになる時期を示唆するものは何もない」と述べた。
この日は取引開始直後にS&P500が7%超下落。サーキットブレーカーが発動され、主要3指数の売買が15分間中断された。
業種別ではS&P主要11セクターのうち不動産<.SPLRCR>の下げが16.5%と最もきつかった。一方、主要消費財<.SPLRCS>は7%安と最も小幅な下げにとどまった。情報技術<.SPLRCT>は13.9%安で、過去最大の下落率を記録した。
<金先物> 金融市場の混乱が続く中で換金売りの流れが止まらず、5営業日続落した。
4月物の清算値は前週末比30.20ドル(1.99%)安の1オンス=1486.50ドルと、中心限月としては約3カ月ぶりの安値に沈んだ。
新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退(リセッション)懸念が強まる中、FRBは15日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。 1%の緊急利下げで実質的なゼロ金利を復活するとともに、量的金融緩和の再開を決めた。これが金利を生まない資産への資金流入を促し、金塊相場はいったん上昇。しかし、アジア・欧州の株安に続き、16日の米株式相場も寄り付きから急落し、下落率が基準値を超えて一時取引停止となった。このため、金塊など安全とされる資産は損失補填(ほてん)を目的とした換金売りに見舞われ、相場は一時1450.90ドルまで下落。さらに、外国為替市場では、金融危機に備えて「有事のドル買い」が台頭し、ドル建て商品の割高感 が強まったことも重しとなった。
金塊現物相場は午後1時40分現在、23.830ドル安の1491.945ドル。
<米原油先物> 新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした需給不均衡への警戒感から、急反落した。
米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値は前週末比3.03ドル(9.55%)安の1バレル=28.70ドルと、2016年2月中旬以来約4年1カ月ぶりの 安値を付けた。5月物は3.11ドル安の29.00ドルだった。
中国国家統計局が16日に発表した1─2月の鉱工業生産は前年同期比13.5%減と、少なくともロイター通信が集計を始めた1990年1月以来の大幅なマイナスとなった。また、ニューヨーク連邦準備銀行が朝方に発表した3月のニューヨーク州製造業景況指数もマイナス21.5と、2009年3月以来の低水準だった。これらを受けて、新型コロナの感染拡大による経済減速懸念が強まり、原油需要の先行きに対する警戒感が一段と広がった。米株相場が急落したことも株と並んでリスク資産とされる原油売りを後押しした。
ロイターは16日、18日に予定されていた石油輸出国機構(OPEC) 加盟・非加盟国による会合が中止されたと報道。主要生産国サウジアラビアとロシアによる「価格戦争」がしばらく続くとの観測も相場を下押しした。
米FRBは15日、1%の緊急利下げで実質ゼロ金利の復活と量的金融緩和の再開を決定。さらに、ロイターは、米政府が2週間ほどで戦略石油備蓄(SPR)向けに原油の購入を始める可能性があると報じたが、原油相場の押し上げにはつながらなかった。
ドル/円 NY終値 105.85/105.88
始値 105.91
高値 106.47
安値 105.16
ユーロ/ドル NY終値 1.1181/1.1185
始値 1.1164
高値 1.1200
安値 1.1095
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 116*29.00 1.3146%
前営業日終値 110*10.00 1.5670%
10年債(指標銘柄) 17時05分 107*08.00 0.7402%
前営業日終値 105*05.00 0.9540%
5年債(指標銘柄) 17時05分 103*00.75 0.5062%
前営業日終値 101*31.75 0.7150%
2年債(指標銘柄) 17時05分 101*14.75 0.3738%
前営業日終値 101*07.38 0.4920%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 20188.52 -2,997.10 -12.93 <.DJI>
前営業日終値 23185.62
ナスダック総合 6904.59 -970.28 -12.32 <.IXIC>
前営業日終値 7874.88
S&P総合500種 2386.13 -324.89 -11.98 <.SPX>
前営業日終値 2711.02
COMEX金 4月限 1486.5 ‐30.2
前営業日終値 1516.7
COMEX銀 5月限 1281.6 ‐168.4
前営業日終値 1450.0
北海ブレント 5月限 30.05 ‐3.80
前営業日終値 33.85
米WTI先物 4月限 28.70 ‐3.03
前営業日終値 31.73
CRB商品指数 132.7148 ‐8.1228 <.TRCCRB>
前営業日終値 140.8376
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