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インタビュー:業務提携が最良の戦略、経営統合はデメリット大きい=千葉銀頭取

ロイター / 2020年10月16日 17時45分

10月16日、千葉銀行の佐久間英利頭取(写真)はロイターのインタビューで、他の地方銀行との業務提携に当たっては、頭取どうしの信頼関係が大きな提携効果につながると指摘した。写真は2019年7月、都内で行われた記者会見で撮影(2020年 時事通信)

[東京 16日 ロイター] - 千葉銀行<8331.T>の佐久間英利頭取は16日、ロイターのインタビューで、他の地方銀行との業務提携に当たっては、頭取どうしの信頼関係が大きな提携効果につながると指摘した。今後も他行との経営統合とは一線を画し、業務提携の深化によって収益力の強化を目指す方針を示した。

地銀どうしの経営統合の際に一般的な持ち株会社の傘下に子銀行がぶら下がる方式について、佐久間頭取は子銀行の従業員のモチベーション低下などデメリットが大きいとの考えを示した。

千葉銀の21年3月期4―6月期のコア業務純益は前年同期比1.0%減の186億円。コロナ禍でも前年とほぼ変わらない水準を維持した。経費率(OHR)は20年3月期末に53.6%で、地銀・第二地銀平均の70.1%を大きく下回る。

千葉銀の収益力を支えている1つの要因が他の地銀との提携戦略だ。2015年に千葉銀・第四銀行・中国銀行<8382.T>の3行で立ち上げた「TSUBASAアライアンス」は現在10行が参加。参加する地銀の総資産の合計は約70兆円程度と3メガバンクグループに次ぐ規模となった。提携はシステムの共同化から始まったが、今ではフィンテック、マネーロンダリング防止対策など広範囲に及ぶ。

16年には武蔵野銀行<8336.T>と業務提携。21年3月期まで累計5カ年の両行合算の統合効果は当初想定の100億円を上回り、129億円に達する見込み。19年7月には横浜銀行と「千葉・横浜パートナーシップ」を発足させ、5年累計・両行合算200億円の統合効果を見込んでいる。

<大事なのは頭取どうしの信頼関係>

提携に当たって佐久間頭取が重視するのは、頭取どうしの信頼関係だ。今年10月、TSUBASAアライアンス参加10行が出資する「TSUBASAアライアンス株式会社」が発足した。参加10行の全頭取が取締役に名を連ね、定期的に議論を重ねている。それぞれの頭取が各地を相互に訪問しているほか、19年4月には参加地銀の頭取がそろって米国を訪問。シリコンバレーやハワイの地元金融機関などを視察したという。佐久間頭取は「頭取どうし、腹を割って話ができていることの意義は大きい」と話す。

武蔵野銀との提携効果が当初想定を上回ったのも、「頭取どうしの信頼関係があって、何かあったら一緒にやろうとベクトルを合わせていることが大きい」(佐久間頭取)という。

その一方で、千葉銀は他行との経営統合とは一線を画してきた。佐久間頭取はインタビューで、持ち株会社を設立し、その傘下に複数の地銀がぶら下がる方式には「デメリットの方が大きい」と指摘。持ち株会社が子会社となった地銀に口出しすれば、地元の顧客と向き合う従業員のモチベーションが低下すると述べたほか、グループの経営計画も「各銀行から集まってきたものをただまとめるだけならいらない」と指摘した。

佐久間頭取は「少子化問題が片付いていない中で、地方がどう生き残っていくか。みんなで知恵を出し合うことがとても大事だ」とし、TSUBASAアライアンスに入りたい銀行があれば「ウェルカムだ」と述べた。千葉銀は今後、異業種との提携も模索する方針だ。

(和田崇彦、木原麗花 編集 橋本浩)

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