ドイツ、不法移民抑制へ国境管理強化 専門家は効果疑問視
ロイター / 2024年9月17日 2時19分
[ベルリン 16日 ロイター] - ドイツ政府は16日、フランスやオランダなどとの国境での検査を再導入した。今回の入国管理強化は、不法移民や国境を越えた犯罪への取り組みの一環。ドイツへの移民急増に伴い、極右政党などへの支持が拡大していることを受け、移民問題での対応強化を目指すものの、専門家の間では長期的な有効性を疑問視する声が上がる。
新たに導入された入国管理制度は、主に近隣の欧州連合(EU)諸国から移動してくる難民が対象。難民申請は最初に到着したEU加盟国で処理されることを義務付けるEUのダブリン規則に基づいた対応となる。
ドイツで今年1─8月の難民申請件数は21.7%減少。フェーザー内相によると、減少は昨年導入された管理措置によるもので、3万人超の不法入国が阻止された。一方、ロイターの取材に応じた移民問題の専門家は、減少が管理措置の直接的な結果だと証明するのは難しいと指摘した。
ドイツの統合・移民問題に関する専門家会議の議長を務めるハンス・フォルレンダー氏は今回導入された措置に関し「抑止力として、行動するということを示そうとするものだ」と指摘。ただ国境管理は短期的な抑止効果につながる可能性がある一方、密輸ネットワークは新たなルートを探し出すことが多いとし、効果的な解決策は、EUの国境で難民申請を処理することだと言及した。
ドイツ統合移民研究センター(DeZIM)の研究員マーカス・エングラー氏は、移民の増減などは母国の政治情勢や政策の変化などが絡み合うため「国境管理が不法移民の流入に与える影響を科学的に評価するのは簡単ではない」と述べた。
既に実施されていたポーランド、チェコ、オーストリア、スイス国境に加え、今回の措置で北西部のベルギー、ルクセンブルク、デンマークが追加された。この動きに対しては、EU内の自由な移動の原則を危うくし、ブロック内の結束も損ないかねないとの批判も出ている。
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