米国の物価情勢「重要な転換点」、雇用に重点を=NEC委員長
ロイター / 2024年9月17日 7時35分
David Lawder Lananh Nguyen
[16日 ロイター] - 米国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長は16日、米国のインフレ情勢は「重要な転換点」を迎えたとし、今は労働市場の進展の維持に注力する必要があるとの考えを示した。
ブレイナード氏はニューヨークで開かれた外交問題評議会のイベントで、大幅な雇用喪失や成長減速がみられない中、米国のインフレは正常な水準に戻りつつあると指摘。「今日、われわれは重要な転換点を迎えている。インフレは正常な水準近くまで戻りつつある。これまでに達成された労働市場の進展を守ることが重要だ」と述べた。
また、住宅価格の高騰がインフレ抑制の最も難しい部分の一つになっていると指摘。金融緩和で住宅ローン金利が低下し、住宅市場の圧力が緩和され、今後の経済成長の持続につながると期待していると述べた。
ブレイナード氏は連邦準備理事会(FRB)が17─18日の会合でどのような決定を行うべきかは述べなかったが、同氏の発言内容はFRB当局者がこのところ示している見解と一致している。
バイデン政権が新型コロナウイルス救済措置からクリーンエネルギーへの税制優遇措置まで景気回復を支援するために講じてきた策について説明したが、住宅供給を増やすなど、物価圧力や生活費の高騰に米国民が対処できるよう支援するためにさらなる取り組みが必要だと述べた。
「住宅価格の高騰に対処できれば、国民に余裕が生まれる。だから、われわれが特に力を入れているのは、米国民が感じているような生活費の圧迫を解決することだ」と語った。
住宅価格の高騰はインフレ抑制における最も複雑な課題の一つだとし、消費者物価指数の住宅以外の項目の上昇率はFRBのインフレ目標である2%を下回る1.8%にとどまっていると指摘した。
「住宅はインフレ問題の中でも最も厄介な部分であり、最終的には住宅購入のしやすさを向上させるためにより多くの住宅が必要になるため、インフレ問題の複雑な部分でもある」と語った。
FRBの利下げを見込む市場では住宅ローン金利の低下が予想されており、住宅開発がより容易になると指摘。住宅や自動車の借入コストの低下も今後の成長の持続に役立つだろうと付け加えた。
より良好な資金調達環境が一部の都市における空きオフィスビルの転用を促進し、商業用不動産の供給不足や財務上の脆弱性を緩和するのに役立つ可能性があると述べたが、そうした転用の高額なコストが依然として障害になっていると指摘した。
バイデン政権は商業施設の空室状況を「注意深く監視している」と述べた。「これは非常に的を絞った、非常に難しい問題であるように思われる。しかし、商業用不動産全体を見ればかなり好調な地域もある」と語った。
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