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アングル:米金融政策見通しに変化、予想インフレ率上がらず安心感

ロイター / 2022年5月16日 14時5分

 5月13日、この1週間に発表された米インフレ指標が相変わらず悪い内容だったにもかかわらず、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)の積極利上げを巡る見通しが転換点を迎えた可能性がある。写真はFRB、ワシントンで1月26日撮影(2022年 ロイター/Joshua Roberts)

[13日 ロイター] - この1週間に発表された米インフレ指標が相変わらず悪い内容だったにもかかわらず、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)の積極利上げを巡る見通しが転換点を迎えた可能性がある。市場の予想インフレ率と国債利回りが低下し、消費者の物価見通しさえも上昇が止まったからだ。

調査によると、専門家は何百万人もの雇用を消失することなくインフレを抑制できるというFRBの明るい見通しを支持しているようだ。

13日に発表された、エコノミストを対象とするフィラデルフィア地区連銀四半期調査では、1年後の年間インフレ率の予測値が指標で3%以下に低下した。一方、足元で3.6%となっている失業率は、今後2年間の予想コンセンサスが3.8%と小幅な上昇にとどまり、予想通りならFRB関係者にとって喜ばしい数字だ。

パウエル議長らFRB当局者は、国民のムードを悪化させているインフレを抑えるために計画している大幅利上げは、それ自体が痛みを伴う可能性が高いと警告してきた。FRBは先に0.5%の利上げを実施し、パウエル氏は向こう2カ月間の会合で同幅の利上げが正当化されると述べた。

パウエル氏は12日のラジオ番組で、「インフレ率をFRBの目標とする2%に引き下げる取り組みは痛みも伴うが、最終的に最も大きな痛みを生じるのは、対処に失敗してインフレが高水準で高止まりする場合であり、それがどんなものかは分かっている」と話した。

13日の週に発表された消費者と企業のインフレ指数は、いずれも前年比上昇率が数カ月ぶりに低下し、3月に8.5%に達した消費者物価指数(CPI)の年間上昇率は頭打ちになるとの期待がいくらか高まった。

CPIの上昇率は予想ほどには鈍らなかったが、投資家はインフレ懸念をさらに強めるのではなく、むしろ国債価格を押し上げ、利回りを数年来の高水準から低下させるという反応を採った。

10年物米国債の利回りは13日の週に約20bp(ベーシスポイント)低下し、週ベースで3月上旬以来の下げ幅を記録。物価連動国債(TIPS)が映す10年後の予想インフレ率は2月以来の水準に下がった。

予想インフレ率に関するインターコンチネンタル取引所(ICE)の新たなベンチマーク指数では、1年後の見通しが4月中旬の6%から4.5%近くにまで低下している。

パイパー・サンドラーのグローバル・ポリシー責任者、ロベルト・ペルリ氏はメモで国債利回りの低下について、その約半分は予想インフレ率の低下に起因すると分析した。これは「FRBにとって良い材料だ」と指摘。「この状態が続けば(もちろん、あくまでも仮定の話だが)、FRBは積極的な利上げ姿勢をやや緩める可能性さえある。ただ、市場の予想インフレ率はまだ高過ぎて、FRBは今のところ勝利宣言ができない」とした。

一方、消費者はインフレの加速が続かないと考えているようだ。

13日に発表されたミシガン大学の5月の消費者信頼感指数(速報値)によると、1年先の予想インフレ率は3カ月連続で5.4%と安定していることが示された。また5年先の見通しも4カ月連続で3%となった。

元FRB理事でシカゴ大教授のランダル・クロズナー氏は、いわゆる「ソフトランディング」を目指すFRBについて「まだ試合の途中だ」と述べた。

ただ、「10年間目標に到達できなかったインフレが4倍の水準になったにもかかわらず、予想インフレ率は制御不能になっていない。FRBは信頼を維持している」とも指摘。「これは相当に驚くべき手柄だ」とした。

(Howard Schneider記者、Dan Burns記者)

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