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焦点:中国主席、訪米で緊張緩和の成果 国内問題に集中か

ロイター / 2023年11月17日 17時8分

 訪米中の中国の習近平国家主席は11月15日、米企業経営者らとの夕食会に臨んたが、その際企業トップからは3回も総立ちでの拍手喝采を浴びた。写真は同日、カリフォルニア州ウッドサイドでバイデン米大統領(右)と会う習氏(2023年 ロイター/Kevin Lamarque)

Michael Martina Greg Torode

[サンフランシスコ/香港 16日 ロイター] - 訪米中の中国の習近平国家主席は15日、米企業経営者らとの夕食会に臨んたが、その際企業トップからは3回も総立ちでの拍手喝采を浴びた。これは習氏の6年半ぶりとなる訪米で広報という点での勝利のひとつだ。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて訪米した習氏は、米国と医療用麻薬フェンタニルや軍事通信、人工知能(AI)の分野でも合意にも達した。

関係筋はこれらの合意について中国よりもむしろ米国が求めていた成果だと指摘する。

習氏は自身の目的を達成したようだ。つまり、協力と引き換えに米国の政策譲歩を引き出し、両国間の緊張を和らげることで国内経済問題に一段と集中できる環境が整った。中国を敬遠している外国人投資家にアピールするチャンスも獲得した。

中国経済の減速に加え、外相と国防相の突然の解任など共産党内の政治的駆け引きを巡り、習氏の決定に疑問が投げかけられている。

ハワイのシンクタンク、パシフィック・フォーラムの研究員アレクサンダー・ニール氏は「米中が見解の相違を調整することができれば、習氏は(二国間関係)に全神経を集中させる必要がなくなる」と述べ、習氏は国内問題に注力する必要があると指摘した。

<協力のため制裁を解除>

米国へのフェンタニル流入を食い止めるために中国の協力を取り付けることはバイデン氏の優先事項の上位にあった。ある米当局者は、中国がフェンタニル生産に関与する企業を追及することで合意したことについて、「信頼せよ、されど確認せよ(trust but verify)」という考えが前提だと指摘する。

その見返りとして米政府は16日、中国の公安法医学研究所を商務省の貿易制裁リストから外した。

専門家は、こうした制裁解除は商務省の企業リストが交渉可能であることを中国政府に示すことになると懸念を示し、新疆ウイグル自治区でのウイグル族に対するジェノサイド問題に対するバイデン政権の姿勢に疑問を呈している。

バイデン氏はまた、軍事対話の再開合意も成功としてアピールしている。中国は2022年に当時の下院議長だったペロシ氏が台湾を訪問したことに反発して対話を打ち切っていた。

ただ、中国政府が緊張緩和を歓迎する一方で、米国が危険とみなす中国の軍事行動が変化することはないとみられる。

バイデン政権関係者は、機能的な軍事関係を構築することはさほど容易ではないと指摘。長くゆっくりとしたプロセスとなり、中国側が価値を見出さなければ実現しないとの見方を示している。

<パートナーであり友人>

習氏はバイデン氏に対して、中国が米国との平和的共存を模索していることを示し、米企業トップに対しては米国にとって中国が「パートナーであり友人」になる用意があると強調した。

習氏がバイデン氏と庭園を散歩した様子はテレビ放映され、中国のメディアは米国が習氏を歓迎した様子を伝えた。

米国防総省の元高官で現在はシンガポール国立大学で教鞭をとるドリュー・トンプソン氏は、「米国の脅威を過度に誇張することは、中国や自身の党内での地位、共産党自体にとり、良いことよりも悪いことの方が多いと習氏は計算したのかもしれない」と説明する。

同時に習氏は今年初めにロシアのプーチン大統領に伝えた見解を繰り返し、米中関係を「100年来みられなかった加速する世界の変革」を通して見るようバイデン氏に促した。

アナリストによれば、これは中国が、そしてロシアが米国主導の国際システムを作り変えようとしているという信念を示す暗号だという。ただ、今回はイデオロギーよりも現実主義が勝ったのかもしれない。

シンガポールのラジャラトナム国際問題研究院のLi Mingjiang教授は、米国など西側諸国とある程度正常な関係を維持することが自国の経済発展のために必要だと中国は認識していると指摘し、「それがこの会談の根本的な原動力だ」と述べた。

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