ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
ロイター / 2024年10月18日 0時23分
欧州中央銀行(ECB)は17日、経済成長や労働市場が鈍化しインフレ圧力が緩和するなか、今年3回目の利下げを決定、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ3.25%とした。2023年3月撮影(2024年 ロイター/Heiko Becker)
[17日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は17日、経済成長や労働市場が鈍化しインフレ圧力が緩和するなか、今年3回目の利下げを決定、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ3.25%とした。
2会合連続での利下げは13年ぶり。ECBは次の動きについて新たな手がかりは示さず、今後のデータに基づいて「会合ごとに」決定を下すと改めて表明した。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<依然として制約的>
足元の金利水準は依然として制約的だ。25bpの利下げを行っても、なお制約的であり続ける。中期的に2%のインフレ目標に到達できると確信できるまで金融引き締めは必要であり、継続しなければならない。到達する時期はいずれ訪れるが、まだそこには至っていない。
<食品価格とインフレ>
ユーロ圏では食品価格が依然として平均2.4%上昇しており、われわれが望む2%を上回っている。食品価格はエネルギー価格と共に消費者が非常に敏感な分野の一つだ。目標にまだ到達していないことは認識している。しかし、この問題を打開しつつあるかと聞かれれば、答えはイエスだ。
<インフレの進展>
インフレを打開したか、それはまだだ。その過程にあるか、答えはイエスだ。
<データのサプライズ>
われわれ全員が、数字が示すデータの加速に多少驚いたが、ディスインフレが順調に進行しているという自信は確実に高まった。
<インフレ目標の持続的達成は未達>
市場が予想するように、2%の目標を持続的に達成できる時期が少し早まったとしても、それは今ではない。しばらく待たなければならない。
<金融政策は効果を発揮>
われわれの金融政策が機能していることが、データで示されている。
<経済のソフトランディング(軟着陸)>
ソフトランディングへの期待は続いているのか。われわれが入手している情報に基づけば、答えはイエスだ。リセッション(景気後退)は予想していない。われわれが入手している情報に基づけば、ユーロ圏はリセッションに向かっていない。ソフトランディングをなお予想している。
<成長懸念>
成長については、インフレに影響を及ぼす範囲において懸念している。
<何かの扉を開けたわけではない>
何かの扉を開けたわけではない。毎回の会合でデータを検証するとこれまでも繰り返し述べている。われわれはデータに依存する。
インフレ率を中期的に目標とする2%に戻すために、最適な金利、最適なペース、どこまで、どれだけ深く進める必要があるかを決定していく。こうしたことを(次回理事会を開く)12月に行う。これ以外の確約はしない。先ほど読み上げた金融政策声明で表明した通り、われわれは何も事前に確約しない。
<インフレ予測>
われわれの予測には上振れリスクと下振れリスクの双方が依然として存在しているが、おそらく、下振れリスクの方が上振れリスクよりも大きい。
<政策調整>
われわれは政策調整を行う。再調整はしない。
<全会一致の決定>
決定は全て理事会内で行われた正当な討論と議論の結果だ。最終的には25ベーシスポイント(bp)の利下げを全会一致で決定した。
<経済活動>
経済活動はわれわれの予想をやや下回る結果となった。
<事前確約なし>
適切な金利水準と期間を決定するため、引き続きデータに依存し、会合ごとにアプローチしていく。特定の金利経路を事前確約するものではない。いずれの場合でもECBは、インフレ率が中期的に目標値に戻ることを確実なものとし、金融政策の円滑な伝達を維持するため、その権限の範囲内であらゆる手段を調整する用意がある。
<経済データ>
前回の金融政策決定以来、この5週間で入手した情報は全て同じ方向、すなわち低下に向かっていた。
<インフレ見通し>
賃金や企業利益が予想以上に増加すれば、インフレ率は予想を上回る可能性がある。地政学的な緊張の高まりに起因するエネルギー価格の上昇もインフレ要因と考えられる。
<域内インフレ>
域内のインフレは依然として高止まりしており、ユーロ圏の賃金上昇圧力は依然として強い。今年末まで、賃上げ交渉を通じた賃金の伸びは高止まりし、変動が激しくなるだろう。
<成長リスク>
経済成長のリスクは依然として下方に傾いている。信頼感の低下により、消費と投資が予想よりも速く回復できない可能性がある。これはウクライナや中東などの地政学上のリスク要因により増幅されるかもしれない。これらはまた、エネルギー供給と世界貿易を混乱させ得る。
<成長鈍化>
最新のデータは、一段の成長鈍化を示唆している。企業は投資拡大ペースを緩やかにし、住宅投資は引き続き減少している。輸出は弱まっており、特にモノの輸出についてはその傾向が顕著だ。
<ディスインフレの進行>
ディスインフレの進行は順調だ。インフレ見通しは最近の経済活動指標の下振れにも影響を受けている。
インフレ率は今後数カ月間は上昇するが、来年中には目標値まで低下する見通しだ。賃金が依然として高い水準で上昇しているため、域内のインフレ率は依然として高いが、同時に、労働コストの圧力は徐々に緩和する見通しであり、利益がインフレへの影響を部分的に緩和する。
<景気後退>
最新の指標によると、経済活動は予想よりもやや弱いようだ。
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