焦点:ヘッジコスト低下で米への資金流入増へ、FRBが立役者
ロイター / 2020年4月18日 8時22分
4月13日、新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、今後数週間、あるいは数カ月にわたり、海外投資家の資金が米国に流入し続ける、とアナリストらはみている。写真は米ドル紙幣。3月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)
[ニューヨーク 13日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、今後数週間、あるいは数カ月にわたり、海外投資家の資金が米国に流入し続ける、とアナリストらはみている。
大きな理由は、米連邦準備理事会(FRB)が打ち出したコロナ危機への対応策だ。FRBは先月、市場を支援するため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を100ベーシスポイント(bp)引き下げ、0─0.25%とした。これにより、日本や欧州の投資家のドルのヘッジコストが最大100ベーシスポイント(bp)低下している。
これに加え、FRBは無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決め、ディストレスト債(経営危機にある企業の社債)を除くあらゆる債券や証券を活発に買い入れている。
世界が深刻化するコロナ危機に揺れ続ける中、海外投資家は米国への投資には大きなうまみを見出している。
<極めて効果的で強力な支援策>
BNPパリバ・アセット・マネジメント(ニューヨーク)のマルチ戦略債券ポートフォリオマネジャー、ロバート・ブラウンズ氏は「これは資本を巡る世界的な競争だ。重要なのは、各国の危機対応の相対的パフォーマンスだ」と指摘。そのうえで「米政権の対応は恐らく当初は後手に回っていたものの、団結して導入した金融・財政支援策は極めて効果的で強力だった」との見解を示した。
為替ヘッジは通常、フォワード取引を利用して行われ、3━6カ月後に契約時に設定したレートで受け渡しを行う。フォワードレートは2通貨間の金利差によって決まる。フォワード取引を使えば、保有していた外貨が自国通貨に対して下落した場合に損失を回避できる。
たとえば1億ドル相当の米社債を買った欧州の投資家は、3カ月か、あるいは6カ月のフォワード取引でドルを売ってユーロを買う契約をすることで為替ヘッジを行う。
これまではヘッジコストが極めて高く、ドルを自国通貨に交換する際のリターンが目減りするため、日欧の投資家の一部は米資産の購入から遠ざかっていた。
財務管理リスク助言会社チャザム・ファイナンシャルによると、欧州の投資家のヘッジコストは新型コロナの感染が拡大する前の年2.2%前後から、年1%に低下した。日本の投資家のヘッジコストは2.0%から1%に低下した。
アナリストによると、1年前には欧州の投資家のドルのヘッジコストは3.1%、日本の投資家は2.9%だった。
こうしたヘッジ環境の好転が日欧の投資家に海外投資を促している兆しは既に見られる。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は先月ウェブサイトで、外債への投資配分を現在の15%から25%に引き上げ、日本国債の投資配分を35%から25%に引き下げる方針を明らかにした。
資産運用会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ(ニューヨーク)の金利・為替シニアアナリスト、エド・アルフセイニ―氏は「GPIFがやったことは、日本の金利が崩壊したことを反映している」と述べた。
<資金流入の恩恵は投資適格債に>
新型コロナの感染拡大局面で、海外からの資金流入の恩恵を最も受けているのは米投資適格社債だと投資家はみている。FRBが投資適格社債も購入していることが大きな要因だ。
BNPのブラウンズ氏は「直接的な政策支援の恩恵を受けているアセットクラスやセクターは魅力的だ」と話した。
BNPとコロンビア・スレッドニードルはいずれも米投資適格社債に注目している。
社債以外に、米国債も魅力的だと言う投資家もいる。安全資産というだけでなく、過去3週間にFRBが1兆ドル以上の米国債を買い入れていることが背景にある。
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