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情報BOX:タイで反政府デモ、政権退陣から王室改革まで要求

ロイター / 2020年8月18日 7時35分

 8月16日、タイで政権退陣や憲法改正、新たな選挙を求めるデモが行われ、参加者は1万人以上と、現首相による2014年のクーデター以降、最大規模となった。バンコクで撮影(2020年 ロイター/Soe Zeya Tun)

[バンコク 16日 ロイター] - タイで16日、政権退陣や憲法改正、新たな選挙を求めるデモが行われ、参加者は1万人以上と、現首相による2014年のクーデター以降、最大規模となった。

一部の参加者は、最近までずっとタブーの話題だった王室改革も求めている。

<デモの発端>

反政府デモの発端は昨年末、裁判所が新未来党の党首の議員資格をはく奪したことだった。新未来党は、軍事政権トップだったプラユット首相率いる政権に最も声高に反対する政党で、若者から強い支持を集めている。

新型コロナウイルスの感染拡大抑止策により、抗議活動は主にオンラインで進んでいたが、7月半ばに街頭行動を再開。以来、学生団体主催のデモが、ほぼ連日実施されている。

16日のデモには学生が大勢集まったが、年長者の参加も多かった。

<デモ参加者の要求内容>

主な要求は、1)プラユット政権の退陣、2)新憲法の策定、3)抗議活動に対する嫌がらせ行為の中止──の3つだ。

しかし、一部の学生は、ワチラロンコン国王を頂点とする王室の改革についても10項目の要求を掲げている。具体的には国王が持つ憲法上の権利や、宮殿の財宝や軍事力を巡る権限の抑制を要求。王室の政治関与中止も望んでいる。ただ、王室廃止は求めていないことも強調している。

いかなる団体によるものであれ、国民が公にこうした王室改革を求めたことは、過去何十年にもわたって前例がない。

<怒りの原因>

抗議者らは、プラユット氏が14年のクーデターで得た権力を、自らに有利なルールで昨年実施した選挙によって維持したことを批判。プラユット氏は反論している。

政権の腐敗追及を巡る怒りや、エリート層が犯罪行為への刑事罰を逃れているとの感情も要因。新型コロナ禍で観光産業が崩壊状態となり、貧困にも拍車が掛かかっている。

カンボジアでは、タイの反政府活動家が失踪。こうした失踪者は近年、これで9人に及んだことも怒りをあおっている。

多くの若者は、権力と伝統への服従を強調する支配層への不満も口にしている。憲法は王室について「崇拝の地位に君臨」すると表現している。

<政府の対応>

政府は、国民による不満の表明は認められていると表明。プラユット首相はデモ参加者との対話を模索すると述べた。

しかし、既にデモ指導者の学生3人が逮捕され、後に保釈された。警察は、さらに12人に対する逮捕状を出したとしている。

プラユット氏は、国王から不敬罪を用いないよう求められたと述べた。不敬罪を適用すれば、王室を侮辱した者に最長15年の禁固刑を科すことができる。

<デモ参加者への抗議>

反政府デモに対抗し、王室支持のデモが数回ほど実施されたが、参加者は最多で数十人規模にとどまっている。

この参加者の中には、強力な王室支持者である元「黄シャツ」派が含まれる。黄色シャツ派はクーデターの10年以上前から、タクシン元首相を支持する「赤シャツ」派と対立してきた。

現在の反政府デモには、元赤シャツ派も一部参加している。

このため、過去のような街頭での暴力沙汰が再発するとの懸念も生じているが、今のところデモは平和裏に進められている。

<次に起こること>

デモ参加者らは、要求がかなうまで活動を続けると誓っている。

抗議活動、とりわけ王室批判により、政府は窮地に立たされている。

政治アナリストによると、政府が厳し過ぎる対応に出れば反感を買い、デモへの支持を後押ししかねない。

一方、断固とした対応を取らなければ、デモ参加者はますます意を強くして長年のタブーを破っていく可能性がある。

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