シノバックのコロナワクチン、初・中期治験で迅速な免疫反応=論文
ロイター / 2020年11月18日 10時31分
中国のバイオ医薬企業、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の新型コロナウイルスワクチン候補「コロナバック」の第1相・第2相臨床試験で、被験者に迅速な免疫反応が示されたものの、生成された抗体のレベルは新型コロナ感染症回復者よりも低かったことが分かった。写真は北京で9月に撮影、資料写真(2020年 ロイター/Thomas Peter)
[シンガポール/北京 18日 ロイター] - 中国のバイオ医薬企業、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の新型コロナウイルスワクチン候補「コロナバック」の第1相・第2相臨床試験で、被験者に迅速な免疫反応が示されたものの、生成された抗体のレベルは新型コロナ感染症回復者よりも低かったことが分かった。
中国で700人以上が参加して行われた治験の暫定結果で示された。この結果をまとめた論文は、査読制の医学雑誌「ランセット」に掲載された。
第1相・第2相試験はコロナバックの有効性を評価するためのものではないが、研究者は十分な安全性を示した可能性があると指摘する。
論文を執筆したZhu Fengcai氏は「コロナバックを2週間の間隔を空けて2回投与することで、4週間以内に迅速な抗体反応を生じさせられることが示された」と説明。「このことから、コロナバックはパンデミック下での緊急使用に適していると考える」と主張した。
中国で開発されたコロナバックと他の4種のワクチン候補は現在、コロナ感染症予防における有効性を判断するための第3相試験を実施中。シノバックはインドネシアとブラジル、トルコで第3相試験を行っている。
一方、シノバックのワクチン開発に関与していない米ジョンズ・ホプキンズ大学のNaor Bar-Zeev氏は、第3相試験の結果が公表されるまで、暫定結果は慎重に取り扱う必要があるとし、治験が完了し、ワクチンが承認された後も慎重であり続ける必要があると警告した。
コロナバックは中国で緊急使用が認められた未承認の新型コロナワクチンの一つ。
コロナバックの開発に携わるシノバックの研究員、Gang Zeng氏は、コロナバックは通常の冷蔵温度である摂氏2─8度で保管でき、最長3年は安定的に保管できる可能性があるため、冷蔵保管が難しい地域への供給に適していると語った。
一方、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンも、米モデルナが開発したワクチンも、長期保管にはより低温での保管が必要となる。
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