日銀、コロナ特別プログラムを半年延長 物価目標達成へ点検開始
ロイター / 2020年12月18日 13時47分
日銀は17―18日に開いた金融政策決定会合で、新型コロナウイルス対応の特別プログラムの期限を来年3月末から9月末まで半年間延長することを決定した。都内で5月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 18日 ロイター] - 日銀は17―18日に開いた金融政策決定会合で、新型コロナウイルス対応の特別プログラムの期限を来年3月末から9月末まで半年間延長することを決定した。感染者が急増する中で、企業の資金繰り支援に万全を期す。コロナの影響で経済・物価への下押し圧力が長期間継続すると予想されることを踏まえ、2%の物価目標の実現に向けて各施策の点検を始めることも決めた。
日銀は来年3月の金融政策決定会合を目途に点検結果を公表する。ただ、現状の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的質的金融緩和の枠組みは「現在まで適切に機能しており、その変更は必要ないと考えている」としている。
<特別プログラム、運用を見直し>
日銀は、金融政策の現状維持を賛成多数で決めた。短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用する。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な額の長期国債買い入れを行う。政策金利目標の据え置きは賛成8、反対1で決定した。片岡剛士委員が長短金利引き下げで緩和を強化することが望ましいとして反対した。
長期国債以外の資産買い入れ規模は、全員一致で据え置いた。当面、上場株式投資信託(ETF)は年12兆円、不動産投資信託(REIT)は年1800億円の残高増加ペースを上限に積極的に購入する。
コロナ対応の特別プログラムは期限延長に伴い、運用を見直す。CP・社債の追加買い入れに当たっては、それぞれ7.5兆円買い入れる方法から合計15兆円を市場の状況に応じて配分しながら買い入れる方法に変更する。追加買い入れの総額は合計15兆円で従来と変わらない。
金融機関を対象とするコロナ特別オペについては、プロパー融資にかかる1金融機関当たりの上限1000億円を撤廃する。
日銀は引き続き、コロナ特別プログラム、円や外貨の潤沢な供給、ETFなどの積極的な買い入れの3本柱で資金繰り支援と金融市場の安定維持を図る。当面、感染症の影響を注視し、必要であれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を実施する。特別プログラムについても、必要があればさらなる延長を検討するとした。
<感染再拡大の影響を注視>
日本経済の現状については、新型コロナ感染症の影響で引き続き厳しい状態にあるが「持ち直している」との判断を維持。輸出・生産は「増加を続けている」とし、10月の展望リポート時の「増加している」から表現を変えた。先行きについては、感染症の影響が徐々に和らいでいくもと、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて改善基調をたどるとの見方を示した。
生鮮食品を除く消費者物価については、当面、感染症や原油価格下落、観光需要喚起策「GoToトラベル」事業などの影響でマイナスで推移すると予想。その後、経済の改善や原油価格下落の影響などが剥げ落ちてプラスに転じ、徐々に上昇率を高めていくとした。
リスク面では、感染症の見通しやそれが経済に与える影響の大きさについてきわめて不確実性が大きいと指摘。特に、このところの国内外での感染再拡大による影響に注視が必要とした。企業・家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要とした。
(和田崇彦、杉山健太郎 )
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