情報BOX:ガザとエジプトを結ぶラファ検問所はなぜ重要か、閉鎖が続く理由は
ロイター / 2023年10月18日 15時54分
10月17日、 パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの間にあるラファ検問所は、イスラエル国外から直接ガザに入る唯一の援助ルートであり、イスラエル領内につながらない唯一の脱出口でもある。写真は同日、ラファの検問所で、エジプトへ出国しようと検問所の再開を待つ二重国籍を持つパレスチナ人(2023年 ロイター/Ibraheem Abu Mustafa)
(余分な文字を削除します)
[17日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの間にあるラファ検問所は、イスラエル国外から直接ガザに入る唯一の援助ルートであり、イスラエル領内につながらない唯一の脱出口でもある。
イスラエルがガザ市とガザ地区北部の住民に退避するよう警告した後、何十万人ものパレスチナ人がガザ南部に移動。イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの衝突が続く中、ラファの状況にも大きな注目が集まっている。
<ラファ検問所の場所と管理国>
ラファ検問所はガザ地区の南に位置する。ガザはイスラエルとエジプト、地中海に挟まれた狭い土地で、230万人が住んでいる。
検問所を管理するのはエジプトだ。
<ラファが今回の紛争で重要な理由>
ハマスによる7日の攻撃によりイスラエル国民1300人以上が死亡したのを受け、イスラエルはガザを「完全封鎖」し、同地域への電力を遮断し、食料と燃料の供給をすべて停止した。
この結果、人道支援物資がガザに入る唯一のルートは、エジプトのシナイ地域からラファを経由する道となった。ラファはまた、退避を試みるガザ住民にとって唯一の出口でもある。
外国パスポートの所持者は、ラファ検問所再開の協定が結ばれれば出国が許可される見通しであるため、ここ数日ラファ付近に向かっている。
イスラエルはまた、砲撃から身を守るためにラファの近くまで南下するようガザ住民に呼びかけているが、住民は人口密度の高い自治区内に安全な場所はないと訴えている。
<ラファ通過が制限されている理由>
エジプトはシナイ北東部に位置するガザとの国境付近の治安悪化を警戒している。この一帯では2013年以降、イスラム主義者の反乱が頂点に達したが、現在はほぼ鎮圧されている。
07年にハマスがガザを掌握して以来、エジプトはガザの封鎖を後押しし、人と物資の往来を大幅に制限してきた。イスラエルとの主要な検問所と同様、規制は緩和されることはあっても解除されることはなく、旅行者が通過するにはセキュリティー上の手続きと長時間のチェックを受ける必要がある。
08年にはハマスが国境施設に穴を開け、数万人のパレスチナ人がシナイに渡ったため、エジプトは石とセメントの壁を建設した。
エジプトは過去の紛争時や情勢が不安定な時期に、イスラエルとパレスチナの仲介役を務めてきた。しかし、そのような状況でも国境は封鎖し、援助物資の入国や医療上の理由で退避する人々の出国は許可しつつも、大規模な人の移動は阻止した。
ハマスの攻撃を受け、イスラエルはガザに最大級で容赦ない砲撃を行っているが、エジプトは今のところ従来の姿勢を変える気配を見せていない。イスラエルによる空爆では2800人以上のパレスチナ人が死亡している。
<国境開放に向けた努力>
国連はイスラエルに対し、ガザにおける「人道的大惨事」を回避するよう求め、食料、燃料、飲料水の供給さえも危険なほど不足していると警告している。
病院では、予備発電機の燃料が不足し、負傷者への対応に苦慮しているという。
エジプトの援助トラックは17日、検問所に近づいたが、いつガザに入れるのか、また入れるのか否かは不明だ。
ブリンケン米国務長官は同日、米国とイスラエルは、ハマスを利することなくガザ市民に人道支援を届ける計画を策定することで合意したと述べた。
<アラブ諸国がパレスチナ人受け入れに消極的な理由>
アラブ諸国は、今回のイスラエルとハマスの戦争が、パレスチナ人が自治区から恒久的に移住する新たな動きにつながる可能性を深く恐れている。
ガザと国境を接する唯一のアラブ国家であるエジプトと、イスラエル占領下のヨルダン川西岸に隣接するヨルダンは、パレスチナ人が土地を追われてはならないと警告を発している。
エジプトのシシ大統領は、パレスチナ人が「自分たちの土地に今後も定着できる」ことが不可欠だと述べ、ヨルダンのアブドラ国王は「パレスチナ人を全てのパレスチナ自治区から強制的に追い出したり、国内移住を引き起こしたりするいかなる試みにも反対する」とくぎを刺した。
アラブ人やパレスチナ人にとって、自らの国家を築きたい地域から立ち退く、あるいは追い出されることは、イスラエルの建国に伴う1948年の戦争で多くのパレスチナ人が家を追われ、あるいは逃亡した「ナクバ(大惨事)」を想起させる。
イスラエルは、建国後アラブ5カ国から攻撃を受けたとして、パレスチナ人を追い出したという主張に異議を唱えている。
イギリス統治時代にパレスチナにいたアラブ系住民の半数に当たる約70万人が土地を奪われ、多くは近隣アラブ諸国に移った。こうした人々とその子孫の多くは今もそこに住み続けており、難民キャンプに住む人も多い。
このため、今回の紛争がエスカレートしても、イスラエルが38年間の占領を経て2005年に撤退したガザを離れたくないとうパレスチナ人は多い。
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