全銀システム障害、顧客の直接的な損害を補償=全銀ネット
ロイター / 2023年10月18日 17時42分
Ritsuko Shimizu
[東京 18日 ロイター] - 全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は18日、銀行間の送金網「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で発生した障害を巡る補償について、顧客が被った追加の費用支払いなどの直接的な損害を対象とする方針を加盟金融機関で申し合わせたと発表した。
補償は、全銀ネット加盟金融機関各行が行う。具体的には、別の銀行を使って振り込むなどして余分にかかった「手数料」や納付期限を過ぎるなどして生じた「延滞金・遅延損害金」、「貸出金利・貸越金利」などとなる。
ただ、「あくまで申し合わせであり、加盟金融機関がこれを踏まえて対応することを想定している」(千葉勇一企画部長)という。顧客への補償の基準を最優先で決めたものの、原因の特定ができていないため、法的責任の所在は定まっていない状況だ。
辻松雄理事長は会見の冒頭で「多くの預金者や金融機関、関係者の方々に多大なご迷惑、ご心配をお掛けした。心からおわび申し上げる」と陳謝した。
障害については「決済システム全体の信頼性を揺るがす大きな問題と認識している」としたうえで「原因究明、完全復旧、再発防止策、残された問題について鋭意検討を行っている」と述べた。原因については、依然として究明途上だという。
現在、内国為替制度運営費をゼロ円というシンプルな形にプログラムを修正して運営しているが、これを通常の形に戻す時期は見えていない。
小林健一事務局長兼業務部長によると、テスト段階でエラーは出ていなかった。ただ、実際には不具合が発生したことから、テストに問題がなかったかも含め検証を行うとしている。
全銀システムは10日午前に障害を起こし、約48時間後の12日午前8時半に復旧した。7―9日の3連休に中継コンピューターの更新を実施した金融機関のうち、10の金融機関が影響を受け、他行宛ての振り込みなどに支障をきたした。また、これらの金融機関に宛てた振り込みにも遅延などが生じ、計506万件の取引に影響した。
金融庁は、全銀ネットに対して報告徴求命令を出した。中間報告を含め、11月末までに報告する予定としている。
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