豪中銀の声明全文
ロイター / 2024年6月18日 14時55分
[シドニー 18日 ロイター] - 本日の理事会で、キャッシュレートの目標を4.35%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.25%で据え置く。
<インフレ率は依然目標を上回っており粘着的>
金利の上昇により総需要と総供給が均衡に近づいたたため、インフレ率は2022年のピークから大幅に低下した。しかし直近のデータでは低下ペースは鈍化しており、インフレ率は依然2─3%の目標レンジの中間値を若干上回っている。4月の総合消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.6%上昇し、コアCPIは4.1%上昇と、23年12月と同程度の伸びとなった。
より広範なデータは経済が引き続き超過需要の状態にあり、国内で労働と非労働の両面で投入コストの上昇圧力が強いことを示唆している。労働市場の状況はこの1カ月でさらに緩和したが、持続的な完全雇用とインフレ目標の達成に整合的な水準よりも引き締まったままだ。賃金の伸びはピークに達したように見えるが、トレンド的な生産性の伸びを考慮すると、まだ持続可能な水準を上回っている。最近のデータ改定は過去1年間の消費が当初示唆されていたよりも強かったことを示している。同時に家計が裁量的支出を抑制しインフレが実質所得を圧迫しているため、生産の伸びは抑えられ1人当たりの消費は減少している。
<先行きは依然として極めて不透明>
経済見通しは依然不透明であり、最近のデータは、インフレ率を目標に戻す過程が順調に進むとは考えにくいことを示している。
5月に発表された中心的な予測では、インフレ率は25年後半に2─3%の目標範囲に低下し、26年には中間値に戻るとされていた。その後は国内総生産(GDP)の伸び鈍化、失業率の上昇、賃金上昇率の予想以上の減速など、経済活動の勢いが弱いことが示されている。同時に消費と貯蓄率の改定やインフレの持続は、上振れリスクが残っていることを示している。最近公表された予算案も需要に影響を与える可能性がある。ただ連邦・州政府によるエネルギー価格の負担軽減策は総合インフレ率を一時的に低下させるだろう。サービスインフレの持続性は重要な不確実要素だ。また単位労働コストの伸びは緩和したとはいえ高いままだ。インフレ率の低下が続くには、生産性の伸びが持続的に回復する必要がある。
消費の伸びには不透明感がある。実質可処分所得は現在安定しており、インフレ率の低下と減税を受けて年後半には伸びると予想されている。また住宅価格に押し上げられて富も増加している。これらの要因が合わさって来年は消費拡大が見込まれる。しかし家計消費の回復が予想以上に遅くなり、生産の伸び悩みが続き、労働市場が顕著に悪化するリスクもある。
より広範には、金融政策の効果の遅れや、需要過多の時期に経済成長が鈍化し、労働市場が逼迫する中、企業の価格決定や賃金がどのように反応するかについて不確実性がある。
海外の見通しついても引き続き不透明感が強い。ほとんどの先進国は生産の伸びが底を打ったようだ。中国と米経済の見通しは改善し、多くの商品価格は持ち直した。一部の中央銀行は政策を緩和しているが、インフレが持続するリスクになお警戒している。とはいえ中東やウクライナの紛争を含め地政学的な不確実性は依然高く、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性がある。
<インフレ率を目標に戻すことが優先課題>
理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。これは物価の安定と完全雇用という中銀の責務に合致する。理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移していることを確信する必要がある。これまでのところ、中期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。
インフレ率は緩和しつつあるが、その動きは従来の予想よりも緩やかで、依然として高水準にある。理事会はインフレ率が持続的に目標レンジに戻るまでにはまだしばらく時間がかかるとみている。最近のデータはまちまちだったが、インフレの上振れリスクに引き続き警戒する必要性を強める内容だった。インフレ率が合理的な時間枠で目標範囲に戻ることを最も確実にする金利の道筋は依然として不透明であり、理事会は何も決定しておらず何も排除していない。データとリスクの評価次第だ。引き続き世界経済の動向、内需の傾向、物価と労働市場の見通しを注視していく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、目標を実現するために必要なことを行う。
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