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情報BOX:米大統領選、なぜ一部の激戦州が結果を左右するのか

ロイター / 2024年10月18日 17時18分

 10月17日、人口が3億3000万人を超える米国のリーダーを選ぶ11月の大統領選は、ほぼ確実にほんの一握りの州の数万人の有権者の投票行動で結果が決まる。写真はアトランタの期日前投票所で16日撮影(2024年 ロイター/Megan Varner)

Joseph Ax

[17日 ロイター] - 人口が3億3000万人を超える米国のリーダーを選ぶ11月の大統領選は、ほぼ確実にほんの一握りの州の数万人の有権者の投票行動で結果が決まる。

というのも、世論調査によると両候補が実際に競り合っている激戦州は50州のうちわずか7州にすぎず、残りの州は民主党または共和党のいずれかが快勝する情勢だからだ。

それらの7つの激戦州の中で人口が最も多い東部ペンシルベニア州は、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領のどちらが勝利するのかを決める可能性が際立って高い。

候補者たちの戦略もこの現実を反映しており、広告費とキャンペーンイベントの大半は政党間で揺れ動く7つの激戦州に向けられている。

ここでは、米大統領選がなぜ一部の有権者によって決定づけられるのかを詳しく見ていこう。

〈なぜ大統領選は国民の一般投票で決まらないのか〉

他の連邦議会議員を選ぶ選挙や、州議会議員・知事などの選挙とは異なり、大統領選は一般投票だけで決まるわけではない。その代わりに選挙人団として知られる制度下で、各州と首都ワシントンで勝利した候補者はその州などの選挙人票を得られる。

候補者は全米538の選挙人票の過半数、つまり270票を獲得する必要がある。この制度では2016年の大統領選でトランプ氏が勝利した時のように、全米の総得票数で負けても当選することがあり得る。

269票対269票の同数となった場合、連邦議会下院の各州代表が1票を得て勝者を選ぶことになる。

激戦区を除く州の投票結果が予想通りになった場合、ハリス氏が選挙人の226票、トランプ氏が219票をそれぞれ獲得し、残る93票を争うことになる。

〈注目の激戦州は〉

激戦州の7州は、ペンシルベニア州と中西部ミシガン州、ウィスコンシン州のラストベルト(さびた工業地帯)3州と、西部アリゾナ州、ネバダ州、南部ジョージア州、ノースカロライナ州のサンベルト(温暖な地帯)の4州だ。

ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州は民主党候補にとっては何十年もの間、「青い壁」として機能してきた。しかし、16年の大統領選でトランプ氏はこれら3州全てを僅差で制し、民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官に大方の予想に反して勝利した。

バイデン大統領は20年の前回大統領選ではこれら3州で勝ち、歴史的には共和党の牙城だったジョージア、アリゾナ両州でも予想を覆す勝利を収めて大統領に就任した。

〈今回の大統領選はどれほど僅差なのか〉

差は限りなく小さい。

米紙ニューヨーク・タイムズの世論調査トラッカーによると、今月16日現在で7つの激戦州すべてでデッドヒートが繰り広げられている。アリゾナ州ではトランプ氏が2%ポイントの僅差でリードしているが、残る6州はいずれも平均で1%ポイント以内だった。

前回大統領選では3つの州で計4万3000票がバイデン氏ではなくトランプ氏に投じられていれば、トランプ氏が再選を果たすのに十分だった。今回の大統領選は、それよりさらに接戦のようだ。

〈なぜペンシルベニア州がそれほど重要なのか〉

最も簡単な答えは、ペンシルベニア州が他のどの激戦区より多い19の選挙人票を持っているからだ。

ペンシルベニア州は、ハリス氏とトランプ氏のどちらかが勝利するのかが決まる上で極めて重要と広く見られており、「ティッピングポイント(転換点)」州(候補者の獲得選挙人票数が269を超える州)になる可能性が最も高いと考えられている。

もしもハリス氏がペンシルベニア州で敗れた場合、ノースカロライナ州またはジョージア州、つまり過去40年間の大統領選で選挙人が民主党候補に投票したのが計3回にとどまる2つの州のいずれかを制する必要がある。

逆にトランプ氏がペンシルベニア州で負けた場合はウィスコンシン州かミシガン州のどちらかで勝つ必要がある。ウィスコンシン州では1980年代以降で選挙人が共和党候補に投票したのは1回だけで、それはトランプ氏が勝利した16年大統領選だった。

両陣営ともペンシルベニア州を最重要州と位置づけ、ハリス氏とトランプ氏は他のどの州よりも多くの時間を費やしている。追跡調査会社のアドインパクトによると、両陣営と協力勢力が今月7日までに投じた放送広告費はペンシルベニア州で計2億7930万ドルで、2位のミシガン州に7500万ドル超の差を付いてる。

〈なぜネブラスカ州の1選挙区がこれほど注目されているのか〉

48州は勝者総取り方式で選挙人票を与えている一方、中西部ネブラスカ州と東部メイン州の2州は各選挙区で勝者に1票の選挙人票を割り当てている。前回大統領選でバイデン氏はネブラスカ州の5票のうち1票を獲得し、トランプ氏はメイン州の4票のうち1票を獲得した。

接戦となっているオマハを中心とするネブラスカ州第2選挙区の選挙人票の1票について、独立系アナリストはハリス氏が獲得すると予想している。両陣営はオマハ地区で計数百万ドルの放送広告費を投じてきた。

この1票が極めて重要な意味を持つ可能性がある。もしも激戦7州のうちハリス氏がミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州を制し、トランプが残る4州で勝つという十分にあり得る展開となった場合、ネブラスカ第2選挙区は大統領選が引き分けに終わるか、ハリス氏が勝利するかを決めることになる。

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