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シリア集団墓地、前政権による「死の装置」証拠=元米戦争犯罪大使

ロイター / 2024年12月18日 14時44分

 12月17日、米国の戦争犯罪問題担当大使を務めたスティーブン・ラップ氏は、シリアで見つかった集団墓地について、アサド前政権下で国家による「デスマシーン(死の装置)」が存在したことを示しているとロイターに語った。写真は住民が集団墓地としている場所。シリアのナジャで撮影(2024 ロイター/Ammar Awad)

Timour Azhari Anthony Deutsch

[クタイファ(シリア) 17日 ロイター] - 米国の戦争犯罪問題担当大使を務めたスティーブン・ラップ氏は17日、シリアで見つかった集団墓地について、アサド前政権下で国家による「デスマシーン(死の装置)」が存在したことを示しているとロイターに語った。

同氏は首都ダマスカス近郊のクタイファとナジャにある集団墓地を訪れ、「このマシーンの中で、10万人以上の人々が消息を絶ち、拷問の末に殺されたのは確かだ」と指摘。

「このようなことは、ナチス以来本当に見たことがない」と述べ、現地で目にしたことから被害者の数について大きな疑問はないとした。

ラップ氏はルワンダとシエラレオネの戦争犯罪法廷で訴追を指揮した経験を持ち、現在はシリアの市民団体などと証拠を文書化し、戦争犯罪を裁く裁判の準備を進めている。

ハーグの国際行方不明者委員会(ICMP)は、シリアにはまだ確認されていない66もの集団墓地が存在する可能性があるとしている。同委には15万7000人以上が行方不明者として報告されている。

委員会の責任者であるキャサリン・ボンバーガー氏は、行方不明者を報告するためのポータルサイトには、家族からの新たな問い合わせが「爆発的に増加している」と述べた。

同氏によると、DNAの照合には少なくとも3人の親族がサンプルを提供し、墓から発見された骨の1つ1つからサンプルを採取する必要がある。ICMPは、今後予想される裁判に備え証拠保全のため現場保護を求めている。

ロイターが分析した衛星画像によると、クタイファの集団墓地では2012年から14年にかけて大規模な掘削が始まり、22年まで続いた。その間に撮影された複数の衛星画像には、掘削機と大きな溝、大型トラックが写っていた。

シリアの集団墓地の詳細は、21年と23年にドイツの法廷と米議会証言で初めて明らかになった。「墓掘り人」とだけ名乗る男性が証人として、ナジャとクタイファでの作業について証言した。

それによると、11年末にダマスカス周辺の墓地で働いていたとき、2人の将校がオフィスに現れ、男性と同僚に死体の運搬と埋葬を命じた。男性はアサドの写真が飾られたバンに乗り、11年から18年にかけて、遺体を積んだ大型冷凍トラックを先導して現場に通ったいう。

ナジャとクタイファの現場には深い溝が掘られ、墓掘り人たちは死体を降ろして掘削機で土をかぶせたという。「毎週2回、拷問、飢え、処刑の犠牲者となった遺体300─600体が詰め込まれた3台のトラックが、ダマスカス周辺の軍病院や諜報支部から到着した」と、男性は文書で議会証言した。

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