NY市場サマリー(18日)ダウ533ドル急落、ドル上昇
ロイター / 2021年6月19日 6時47分
[18日 ロイター] - <為替> ドル指数が引き続き上昇した。連邦準備理事会(FRB)が15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ時期の見通しを2024年から23年に前倒して以来、ドルは強含んでいる。
主要6通貨に対するドル指数は0.37%高の92.213と、4月中旬以来の高値を更新。週初からの上昇率は約2%と、週間の上昇率としては約14カ月ぶりの大きさとなる。
FRBが16日に発表した金利・経済見通しでは、当局者18人中13人が23年までの利上げを予想し、うち11人は0.25%ポイントの利上げが2回行われると予想した。7人は22年中の利上げを予想し、より大胆な引き締めに動く可能性が浮上した。
この日はセントルイス地区連銀のブラード総裁が、新型コロナウイルス禍からの回復に伴い、経済成長、特にインフレ率が予想よりも伸びていることに対する「自然な」対応であるという認識を示し、インフレ抑制に向け利上げを「22年終盤に開始すべき」と主張した。
これを受け、市場のリスク選好度は低下。ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツ(トロント)のチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「13年に見られたテーパー・タントラムの再来だ」とし、安全資産と見なされるドルに資金が向かったと述べた
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの外為部門責任者、アーナブ・ニリム氏は、ドルは特に低利回り通貨に対し底堅く推移すると予想。欧州中央銀行(ECB)が金融政策サイクルでFRBに大きく遅れをとる中、ドルを売ってユーロを買う動きは低調になるとみられている。コメルツバンクのストラテジストは「FRBは一歩先んじているため、ドルがユーロに対し引き続き強含む公算は大きい」と述べた。
リスク選考度を反映すると見なされる豪ドルは対米ドルで0.68%下落し、20年12月以来の安値を付けた。
ポンドは対ドルで下げ幅を拡大し、1.39ドルを下回った。
リスク選考度の低下で暗号資産(仮想通貨)も圧迫され、ビットコインは7.0%安の3万5451.09ドル。
<債券> 長期債利回りが低下し、利回り曲線が一段とフラット化した。市場では、インフレ圧力が根強ければ米連邦準備理事会(FRB)は予想より早く対応するとの見方が強まっている。
FRBは15─16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げ時期の見通しを2024年から23年に前倒し。最新の金利・経済見通しでは、当局者18人中13人が23年までの利上げを予想し、うち11人は0.25%ポイントの利上げが2回行われると予想した。7人は22年中の利上げを予想し、より大胆な引き締めに動く可能性が浮上した。
これを受け、金利変更に敏感に反応する傾向のある2年債と5年債の利回りは上昇。一方、30年債を中心とした長期債の利回りは低下した。
アナリストは、インフレ高進を見込んだ取引の巻き戻しが見られていると指摘。TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ゲンナディー・ゴールドバーグ氏は「FRBがインフレを野放しにするとの見方から、インフレの芽を未然に摘み取るとの見方にシフトしたかのように見える」とし、「この二つの見方の中間あたりが現実といったところだろう」と述べた。
この日はセントルイス地区連銀のブラード総裁が、FRBが金融政策の引き締めを早める方向にシフトしたことについて、新型コロナウイルス禍からの回復に伴い、経済成長、特にインフレ率が予想よりも伸びていることに対する「自然な」対応であるという認識を表明。インフレ抑制に向け、利上げを「2022年終盤に開始すべき」と主張した。
これを受け、国債利回りは上昇。2年債利回りは一時0.284%と、20年4月以来の水準に上昇。終盤の取引では0.2581%。
5年債利回りは0.962%と、4月5日以来の高水準を付けた。終盤の取引では0.8779%。
シティグループのアナリスト、カルビン・ツェ氏とキランパル・シン氏は、ブラード総裁の発言は「FRBの見解のシフトを確認するものだった。FRBは今は上向きのインフレ圧力をより大きく懸念している」と述べた。
ブラード総裁の発言を受け、利回り曲線のフラット化は継続。5年債と30年債の利回り格差は111ベーシスポイント(bp)と、昨年9月以来の水準に縮小した。
2年債と10年債の利回り格差は122bpと、今年2月以来の水準に縮小した。
終盤の取引で10年債利回りは1.445%。
短期金融市場で銀行や企業が資金調達する際に支払う翌日物レポ金利は0.06%。
フェデラルファンド(FF)金利の実勢レートは17日に0.10%と、4ベーシスポイント(bp)上昇し、2020年8月以来の高水準を付けた。
FRBは今回のFOMCで、超過準備の付利金利(IOER)と翌日物リバースレポ金利をそれぞれ5bp引き上げると決定した。
<株式> 主要株価指数が軒並み急落し、ダウ工業株30種は533ドル値下がりして取引を終えた。ブラード米セントルイス地区連銀総裁のタカ派発言が嫌気された。
週間ではダウ平均が昨年10月以来、S&P総合500種指数は今年2月以来の大幅な下げとなった。
ブラード総裁は、連邦準備理事会(FRB)が今週、金融政策の引き締めを早める方向にシフトしたことについて、新型コロナウイルス禍からの回復に伴い、経済成長、特にインフレ率が予想よりも伸びていることに対する「自然な」対応であるという認識を表明。インフレ抑制に向け、利上げを「2022年終盤に開始すべき」と主張した。
インバネス・カウンシルのチーフ投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「これだけ長い間、好調に推移してきたことから、利益確定の期間があってもおかしくない。多少の売りに驚きはない」と語った。
株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は4週ぶりの高値で引けた。
原油価格は当初値下がりしていたものの、今年の米石油生産の伸びは限定的である可能性が高いと伝わったことで値を戻した。
この日は株価指数と個別株の先物、オプション取引が期限を迎える「クアドルプル・ウィッチング」に当たり、出来高が膨らんだ。
米取引所の合算出来高は149億7000万株。直近20営業日の平均は109億6000万株。
<金先物> 米地区連銀総裁のタカ派的発言を受けて再燃したドル高が重しとなり、続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比5.80ドル(0.33%)安の1オンス=1769.00ドル。週間では110.60ドル(5.88%)の大幅安となり、3週続落した。
セントルイス連銀のブラード総裁は朝方、CNBCテレビのインタビューで、2022年終盤の利上げ開始を見込んでいると述べた。一段の利上げ前倒しへの警戒感から米長期金利が上昇し、ドル買いが再燃。ドル建ての商品として割高感が増した金塊を売る流れが強まった。安値圏では押し目買いも入ったが、金は終日、売り圧力にさらされた。市場の関心は、量的金融緩和の縮小など、米連邦準備制度理事会(FRB)の出口戦略に向けた次の動きに向かっており、来週22日に行われるパウエルFRB議長の議会証言などに注目している。
<米原油先物> 米石油生産拡大は限定的との見方を背景に買われ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.60ドル(0.84%)高の1バレル=71.64ドル。週間では0.73ドル(1.03%)高と、プラスでの越週は4週連続となった。8月物は0.51ドル高の71.29ドル。
ロイター通信によると、石油輸出国機構(OPEC)経済委員会は15日、米国の石油生産に焦点を当てた外部代表者らとの会合を開催し、2021年の米シェールオイル供給の伸びは限定的との見解でおおむね一致した。米シェール業界は引き続き、供給拡大よりも資本規律や配当に注力するため、価格上昇に反応した増産の立ち上がりが以前ほど素早くないとの見解が示されたという。これをきっかけに原油買いが活発化し、朝方の下げ幅を一掃。相場は一時72.17ドルまで上昇した後、高値圏で推移した。
外国為替市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言でドル高・ユーロ安が進行。ドル建てで取引される原油にも割高感が広がったものの、売り圧力は限定的だった。米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが18日公表した統計によると、同日までの1週間の国内石油掘削リグ稼働数は前週比8基増の373基と、2週連続で増加した。
ドル/円 NY終値 110.19/110.20
始値 110.08
高値 110.48
安値 110.05
ユーロ/ドル NY終値 1.1860/1.1864
始値 1.1917
高値 1.1917
安値 1.1848
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 108*00.50 2.0167%
前営業日終値 106*02.00 2.1010%
10年債(指標銘柄) 17時04分 101*21.50 1.4431%
前営業日終値 101*01.50 1.5110%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*12.50 0.8762%
前営業日終値 99*12.00 0.8790%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.13 0.2521%
前営業日終値 99*26.50 0.2130%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33290.08 -533.37 -1.58
前営業日終値 33823.45
ナスダック総合 14030.38 -130.97 -0.92
前営業日終値 14161.35
S&P総合500種 4166.45 -55.41 -1.31
前営業日終値 4221.86
COMEX金 8月限 1769.0 ‐5.8
前営業日終値 1774.8
COMEX銀 7月限 2596.9 +11.3
前営業日終値 2585.6
北海ブレント 8月限 73.51 +0.43
前営業日終値 73.08
米WTI先物 7月限 71.64 +0.60
前営業日終値 71.04
CRB商品指数 205.8601 +1.6220
前営業日終値 204.2381
この記事に関連するニュース
ランキング
-
112月末まで!今年の「ふるさと納税」注意したい点 定額減税の影響は? 申し込む前に要チェック
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
-
2女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
3昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
-
4なぜスターバックスの「急激な拡大」は失敗に終わったのか…成長を一直線に目指した企業の末路
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 15時15分
-
5ローソン、東京など一部店舗で販売する“氷”を自主回収へ ガラス片混入の恐れ
日テレNEWS NNN / 2024年12月26日 20時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください