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アングル:新型ウイルス感染拡大、「大揺れ」のクルーズ業界

ロイター / 2020年2月19日 16時3分

 2月14日、新型コロナウイルスが急拡大し、感染者発見が相次ぐクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は横浜港での長期停泊を余儀なくされ、クルーズ業界に厳しい視線が向けられている。写真はカンボジア・シアヌークビル沖に浮くクルーズ船(2020年 ロイター/Soe Zeya Tun)

[ニューヨーク/ベンガルール 14日 ロイター] - 新型コロナウイルスが急拡大し、感染者発見が相次ぐクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は横浜港での長期停泊を余儀なくされ、クルーズ業界に厳しい視線が向けられている。

総額460億ドルの規模を誇る世界のクルーズ業界は、カーニバル 、ロイヤル・カリビアン・クルーズ 、ノルウェージャン・クルーズライン の大手3社が牛耳るが、新型ウイルスの感染拡大によってむしばまれている。

アジアはクルーズ船観光業にとって、成長の可能性が大きい地域との見方が多い。業界団体のクルーズライン国際協会(CLIA)によると昨年、アジア海域で運航されたブランドは39に上る。

新型ウイルスがクルーズ業界に及ぼす長期的な影響は、まだ、はっきりしていない。だが、アナリストの一部は投資家に、クルーズ船運航会社株の売却には慎重になるようアドバイスしている。

モーニングスターは、最近の投資家向けリポートで「投資家にはパニックボタンを押さないよう念を押してる。SARS(重症急性呼吸器症候群)や新型インフルエンザ(H1N1)、ジカウイルスなどの感染拡大の翌年に、カーニバルやロイヤル・カリビアンはプラス成長を遂げ、業界全体に対する需要の底堅さを示した」と指摘した。

ロイヤル・カリビアン・クルーズは先に中国発の8つのクルーズの運航を停止したが、13日にはさらに東南アジアで18のクルーズの運航を取りやめた。カーニバルも新型コロナウイルスの感染拡大が、通期利益に影響を与える恐れがあると警告した。

カーニバル、ロイヤル・カリビアン、ノルウェージャン・クルーズラインの大手3社は、世界中で200隻近いクルーズ船を運航している。ノルウェージャン・クルーズラインは、新型コロナウイルスによる事業への影響についてコメントを避けた。カーニバルとロイヤル・カリビアンは、これまでのところコメント要請に応じていない。

大手3社は、年間売上高の大きな部分をアジア地域が占める。とりわけ中国は、中間所得層の拡大や海外旅行の普及により、近年クルーズ市場が成長している。

「ダイヤモンド・プリンセス」を運航するカーニバルは、中国をアジアで最も重要で長期的な成長が見込める市場と位置付けている。

カーニバルは、別のクルーズ船「ウエステルダム」でも新型コロナウイルスの感染者が見つかった。同船はアジアの複数の国で寄港を拒否されて2週間にわたり港に接岸できない状態が続き、最終的にカンボジアに入港した。

カーニバルは、すでに中国の港でのクルーズ船運航を停止。新型ウイルス感染拡大により、他のアジア地域での運航の停止を迫られた場合、通期利益が1株当り0.55─0.65ドル押し下げられるとの見通しを示した。

新型ウイルスの感染拡大を巡る懸念からこの数カ月、クルーズ船運航会社の株価は、ことごとく売られている。

クルーズ船は大勢の人が一緒に乗り込み、半分閉鎖されたような環境にあるため、ノロウイルスなど胃腸系の感染性疾患が、急速にまん延することがある。

CLIAによると、クルーズ船は昨年の乗客の平均年齢が46.7歳。医学雑誌ランセットによると、1月1日から20日にかけて中国・武漢のある病院では、新型ウイルスに感染した患者99人の平均年齢が55.5歳だった。

(Saqib Iqbal Ahmed記者、Uday Sampath Kumar記者)

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