景気後退に備え、「政府との連携強化が一層重要」との意見=1月日銀会合要旨
ロイター / 2020年3月19日 10時46分
[東京 19日 ロイター] - 日銀が19日公表した1月の金融政策決定会合の議事要旨で、ある委員がデフレ再発リスクへの警戒感から、リスクシナリオの一環として「次なる景気後退への備えを考えておくべきだ」と主張し、政府の財政政策や成長政策との連携強化が一層重要になるとの見方を示していたことが明らかになった。
1月の金融政策決定会合は、新型コロナウイルスが世界的に流行する前の20―21日に開催された。
日銀は1月の会合で金融政策の現状維持を決め、物価安定目標へのモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な間、政策金利は「現在の長短金利水準またはそれを下回る水準で推移する」とするフォワードガイダンスも維持した。
決定会合では、大方の委員が、2%の物価安定目標へのモメンタムが損なわれる恐れが一段と高まる状況でなく、「現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適切」との認識で一致した。ただ、1人の委員は「物価安定目標に向けたモメンタムはすでに失われている」と指摘し、追加緩和措置が必要だと主張した。
もっとも、大方の委員は、物価目標へのモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な状況は続いており、「金融政策は緩和方向を意識して運営していくことが適切だ」との見方を共有した。
一方、海外中銀が政策枠組みの見直し議論を活発化させていることについて、複数の委員が「(動向を)適切にフォローしつつ、日本への含意を考えていく必要がある」と指摘。別の1人の委員は、欧米と同様に金融政策のレビューを行う必要があるのではないかと踏み込んだ。
新型ウイルスの感染拡大で、内外経済の見通しは一変したが、1月会合時点で海外経済の先行きに対する慎重な見方も出ていた。
何人かの委員が「製造業を含め世界経済が本年半ばにかけて回復基調をたどる蓋然性が高まりつつある」との見方を示す一方、複数の委員が「海外経済の下振れリスクは依然として大きく、その回復時期や程度については、引き続き慎重に見ておく必要がある」と指摘していた。
(和田崇彦 編集:青山敦子)
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