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航空貨物運賃、コロナ特需に陰り 個人防護具の輸送需要が鈍化

ロイター / 2020年6月19日 14時43分

 6月19日、航空業界では、新型コロナウイルスの流行を受けて、マスクや手袋など個人防護具の輸送需要が高まっていたが、専門家によると、こうした需要はピークを過ぎたとみられ、貨物運賃の下落が進む見通しだ。写真はフランスのロアシー=アン=フランスにあるシャルルドゴール空港で5月撮影(2020年 ロイター/Charles Platiau)

[シドニー/ロサンゼルス 19日 ロイター] - 航空業界では、新型コロナウイルスの流行を受けて、マスクや手袋など個人防護具の輸送需要が高まっていたが、専門家によると、こうした需要はピークを過ぎたとみられ、貨物運賃の下落が進む見通しだ。

航空貨物運賃は現在も通常の5割増しとなっているが、渡航制限で旅客需要が激減し、貨物輸送に活路を見出していた航空業界にとっては頭の痛い問題となりそうだ。

通常、世界の航空貨物輸送の約半分は貨物専用機ではなく、旅客機の貨物スペースで運ばれている。

だが、新型コロナ流行に伴う渡航制限で旅客需要が激減する一方、新型コロナ対策で必要になるマスクや手袋といった個人防護具の輸送需要が急増したことを受けて、多くの航空会社は搭乗客のいない旅客便で貨物を輸送するようになっている。

アクセンチュアのデータによると、5月31日からの1週間の世界の航空貨物輸送能力は前年同期比で27%減少。だが、旅客便の運航再開により、輸送能力は増加傾向にある。

カーゴ・ファクツ・コンサルティングのフレデリック・ホースト氏によると、中国発米国着の航空貨物運賃は4-5月に1キログラム当たり7ドル以上に上昇。中国・欧州便でも1キロ6ドルを超えた。

運賃は現在も通常の水準(3ドル前後)を40-50%上回っているものの、下落傾向にあるという。

SEKOロジスティックスのブライアン・バーク最高事業成長責任者は「(運賃が)現実的な水準に戻ったとは言わないが、現実的な水準に近づいている」と指摘した。

国際航空運送協会(IATA)は、貨物輸送が今年の航空業界の収入の26%を占めると予想している。昨年の実績は12%。旅客収入の急減が主因で、損失は840億ドルを超える見通しという。

アクセンチュアの航空担当オリバー・プログマン氏によると、航空貨物需要は、新型コロナの流行前、世界経済の低迷や米中貿易摩擦の影響で低迷していた。今後も景気の後退で、急ピッチな回復は期待できないという。

香港のキャセイ・パシフィック航空<0293.HK>は先週、医療品の輸送需要が5月下旬に鈍化したと指摘。5月は旅客機を利用して約900便の貨物便を運航したが、需要の減少を受けて運航本数を減らす可能性があるとしている。

台湾の中華航空<2610.TW>も、世界経済に明確な回復基調が見られず、貨物輸送の見通しに懸念が生じていると表明した。

DHLグローバル・フォワーディングUSAのデービッド・ゴールドバーグ最高経営責任者(CEO)は「個人防護具の航空輸送は過去2週間で劇的に鈍化している。追加分は海上輸送でも間に合うからだろう」と指摘。航空貨物運賃は依然として高いものの、合理的な水準に向かっているとの認識を示した。

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