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アングル:プロ顔負けの個人投資家、安全志向に転換

ロイター / 2020年6月19日 17時59分

 市場関係者によると、このところの株価の急反発で多額の利益を手にした個人投資家が安全志向を強めている。写真は1月、ドバイで撮影(2020年 ロイター/Christopher Pike)

[シンガポール/ソウル 19日 ロイター] - 市場関係者によると、このところの株価の急反発で多額の利益を手にした個人投資家が安全志向を強めている。

ゴールドマン・サックスによると、テスラ 、モデルナ 、スナップ といった個人投資家の間で人気が高い銘柄で構成したポートフォリオは3月の安値から61%上昇。プロの投資家に人気の銘柄で構成したポートフォリオは45%の上昇となっている。

だが、ウォール街のプロの投資家がリスク資産への投資を推奨する中、こうした個人投資家の多くは、急騰している銘柄に利益確定の売りを出し、相対的に安全な銘柄に乗り換えているようだ。

サクソ・マーケッツのシンガポールの顧客は今月に入り、ロングポジションの解消を加速している。TDアメリトレードのアジアの顧客も、急騰しているハイテク株を売り、銀行株を買っているという。

タイでは、個人投資家はプロの投資家に出遅れて損をする「飛んで火にいる夏の虫」と呼ばれるが、こうしたイメージを覆すような投資戦略といえる。

TDアメリトレード(シンガポール)のクリス・ブランキン最高経営責任者(CEO)は「ウォール街の一部のプロは、ファンダメンタルズとの整合性がとれないと頭を抱えているかもしれない。だが、個人投資家は、資金フローや市場心理に沿った投資をしている」と述べた。

<「数字は見ない」>

他の金融機関と同様、ゴールドマンのアナリストも、投資家にエネルギー株を避けるよう推奨。金融株より公益株に投資妙味があるとし、ハイテク株の上昇は続くと予測している。

だが、アジアの証券会社のアナリストによると、個人投資家は我が道を行っているようだ。

初期投資1億4000万ウォン(11万5740ドル)で3月以降44%のリターンを上げたという韓国の男性会社員(37)は「一流証券会社のリポートはでたらめだと思えることがある」と指摘。Googleトレンドのデータで投資家心理を把握し、ソウル時間の夜中に米国株を取引しているという。

「グーグルが買い手が増加するとすれば、買いを入れる。数字は見ない。市場が強気なら市場は上がる」。

この会社員は、値動きが不安定な米国のシェールオイル・ガス関連銘柄にも投資しており、今のところ投資を減らす計画はないが、国内優良株を買ってポートフォリオのバランスを取っているという。

TDアメリトレードによると、アジアの顧客は先月、アップル や騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>株を売却し、バークシャー・ハザウェイ やJPモルガン 株を購入した。

シンガポールのフィリップキャピタルによると、18-25歳の顧客の間で、高配当の優良株を買ったり、利益確定の売りを出す動きが出ている。

オーストラリアのリテール証券最大手CommSecの顧客も、トレジャリー・ワイン・エステーツ といった値動きが不安定な銘柄から、大手の銀行株や鉱山株に乗り換えているという。

ただ個人投資家が、経営破綻した米レンタカー大手ハーツ など、極めてリスクの高い銘柄に手を出していることも事実だ。

ミューチュアルファンド「MFS」(ボストン)のグローバル・インベストメント・ストラテジスト、ロブ・アルメイダ氏は「ビジネス・スクールを出た人や、資産運用会社で働いている人が、破綻した企業の株を買うなど想像もできない」と指摘。

「過去の例を振り返れば、終わりが近づいているのも知らずに一番最後にパーティーに加わるのが個人投資家だ」と述べた。

だが、一生に一度のチャンスを逃したくないという思いは強いのかもしれない。

インドネシアのミレ・アセット・セクリタスのプレジデント・ディレクター、タイエ・シム氏は「個人投資家は2008年の世界的な金融危機後の長期的な株高に乗り遅れた。今回はチャンスを逃したくないと考えているのだろう」との見方を示した。

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