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アングル:水不足で世界の水力発電ピンチ、温暖化阻止に脅威

ロイター / 2021年8月19日 18時56分

米国や中国、ブラジルなど世界各国で、気候変動による水不足から水力発電所が電力供給の縮小に追い込まれている。写真はブラジル・マナウスで2015年10月撮影(2021年 ロイター/Bruno Kelly)

[米カリフォルニア州サクラメント/ブラジリア/上海 13日 ロイター] - 米国や中国、ブラジルなど世界各国で、気候変動による水不足から水力発電所が電力供給の縮小に追い込まれている。火力発電への依存が高まっている国もあり、地球温暖化に対する国際的な取り組みにとっても脅威となりかねない。

気候変動で異常気象が増えて水資源の安定的な確保が難しくなり、こうした問題が長期化する、と科学者やエネルギー専門家は見ている。

水力発電は既存のクリーンエネルギーの柱の1つで、国際エネルギー機関(IEA)によると全世界の発電総量の16%近くを担う。

今年は米国の西部とブラジルなどの水力発電所で、気候変動に伴う干ばつにより、過去数十年で最大級の電力供給への支障が生じている。中国は昨年、南西部の雲南省の水力発電が深刻な干ばつで打撃を受け、回復途上だ。

一方、多過ぎる降雨が水力発電に問題を引き起こした地域もある。

IEAによると、例えばマラウイでは激しい暴風雨による洪水と土砂等の流入により発電所2カ所が停止。水力の発電容量が320メガワット(MW)から50MWに落ち込んだ。

ロイターが電力会社や規制当局に取材したところ、水力発電の縮小で電力会社が火力発電への依存を強め、停電回避のために電力使用を抑えるよう企業に要請していることが分かった。

ネバダ大学のクリステン・アベリト教授は「水力発電とは、発電するのに十分な水を確保することに他ならない」と指摘する。

<米加州では発電停止>

米カリフォルニア州ではオロビル湖にある容量750MWの水力発電所が今月、水位低下のために1967年の操業開始後、初めて稼働停止に追い込まれた。同発電所は順調な年には50万世帯に電力を供給できる。

当局者によると、連邦政府がカリフォルニア州で進めるセントラル・バレー・プロジェクトで最大の貯水池であるシャスタ湖の発電所も、今夏は発電量が例年より30%ほど減少した。

ネバダ州とアリゾナ州の境にあるコロラド川の出力2000MWのフーバーダムも、先月は発電量が25%程度減少したという。

1MWは、米国の1000世帯分の電力に相当する。

カリフォルニア州は、水力発電の落ち込みなどで電力供給がひっ迫し、ニューサム知事が7月、企業などにディーゼル発電機やエンジンの使用を容認。港に停泊中の船舶が送電網に接続する代わりにディーゼル発電機を使用することを認め、天然ガス発電所の燃料使用量に対する制限を解除した。

環境保護団体は、こうした動きは大気を汚染し、気候変動と闘う取り組みを損なうと批判している。

米エネルギー省の水力発電研究部門を率いるティム・ウェルチ氏によると、同省は雨季にダムでより効率的に貯水し、干ばつ時に利用できるようにする方法を研究中だ。

米国の水力発電所の発電総量は約80ギガワット(GW)で、これは国内の全エネルギー生産量の約7%に相当するという。

<ブラジルでは干ばつ>

ブラジルのアルブケルケ鉱業・エネルギー相によると、水力が全電力の61%を占める同国では、干ばつの影響で水力発電ダムへの水の流入量が91年ぶりの水準に落ち込んだ。

水力発電の縮小を補うため、天然ガスを主燃料とする火力発電所の稼働を計画しているが、温室効果ガスの排出量が増える恐れがある。干ばつの影響で7月には、規制当局が電気料金を52%も引き上げた。

政府の災害監視センターの気候学者、ホセ・マレンゴ氏は「気候変動により、今回の深刻な干ばつのような異常気象がますます頻繁に起こるようになる。国民は水資源に対する考え方を変えるべきだ」と言う。「水は無限にあると思ってきたが、本当は違う」

鉱業・エネルギー相は記者とのオンライン会見で、必要な地域に電力を再配分するための送電線の建設、水力から太陽光や風力への多様化などに取り組む方針を示した。

ただ、ブラジルは今後、何年も水力発電に頼ることになりそうだ。エネルギー省は2030年の電力における水力の比率を49%と予想。ボリビア、ガイアナ、アルゼンチンとの国境を越えたダム建設プロジェクトの可能性を探るほか、国内で出力2GW相当の小型ダムを建設するなど、水力発電所を増設する計画も変えていない。

<ダムは地球を救うか>

公式統計によると、中国の雲南省は昨年、干ばつにより1─5月に水力発電量が30%近く減った。今年も約10%の落ち込みが続いている。

雲南省は通常、中国の水力発電総量の約4分の1を占め、省内には電力消費量の多いアルミニウム製錬企業が複数存在する。同省は今年初め、金属メーカーの電力使用を制限し、一部製錬能力を一時的に停止せざるを得なくなった。 混乱はさらに深刻化する見通しだ。

南京の研究者が気候変動と気温上昇が雲南省の水力発電に与える影響を調べたところ、10─4月の乾季に雨や雪の量が減り、夏の雨季に増えることが分かった。こうした降雨量の変動をならすために、ダムや貯水池を増やすことを提案している。

しかし、専門家によると、こうした対応は他の場所での干ばつを悪化させる可能性がある。雲南省にあるメコン川上流の巨大な貯水池は既に、下流の水量減少を引き起こし、タイ、カンボジア、ミャンマーの水資源利用に影響を与えていると非難を浴びている。

(Sharon Bernstein記者、Jake Spring記者、David Stanway記者)

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