ブラジル中銀、利下げサイクル停止 インフレ期待の高まりで
ロイター / 2024年6月20日 8時44分
Marcela Ayres
[ブラジリア 19日 ロイター] - ブラジル中央銀行は19日の金融政策委員会(COPOM)で、政策金利を10.50%に据え置いた。国内のインフレ期待が高まり、米国の利下げが遠のく中、昨年8月に開始した緩和サイクルを停止した。
ロイターがエコノミスト40人を対象に行った調査では、34人が据え置きを予想。6人は25ベーシスポイント(bp)の利下げを予想していた。
中銀は声明で「緩和サイクルの中断を全会一致で決定した。経済活動の底堅さ、委員会のインフレ予測上昇、インフレ期待の不安定化により一層の注意が必要だ」とした。
前日にルラ大統領が、ブラジルの状況にそぐわないのは中銀の政策のみだなどと述べ、カンポス・ネト総裁を批判したことから今回の政策会合に注目が集まっていた。
カンポス・ネト氏の任期は12月までで、ルラ氏は後任人事を検討しており、同氏の発言は利下げを支持するようCOPOMメンバーに圧力をかけるものと受け止められた。
中銀は5月の利下げで緩和ペースを25bpと、それ以前の6回にわたる50bpから縮小していた。
5月の決定は僅差で、9人の委員のうちルラ氏が指名した4人がより大幅な利下げを支持した。
これが市場のインフレ期待を押し上げ、中銀の懸念事項となっている。
アナリストは、ルラ氏が来年に委員の過半数を任命すれば、中銀のインフレ対策が甘くなる可能性があると懸念する。
ただ、今回の会合ではカンポス・ネト氏の後任の最有力候補と目されるガブリエル・ガリポロ理事(金融政策担当)を含むメンバー全員が据え置きに投票した。
バンコ・インターのチーフエコノミスト、ラファエラ・ビトリア氏は「今回の決定は予想通りで、全会一致の決定はわれわれが指摘してきた中銀への政治介入リスクを幾らか縮小させる」と指摘。
また、EQIアセットのチーフエコノミスト、ステファン・カウツ氏は「これまでは異なる投票をしていたメンバーらがより保守的な見解に同調した」と述べ、環境が悪化しなければ来年第1・四半期に利下げが再開されると予想した。
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