英中銀、政策金利据え置き 量的引き締めを1年延長
ロイター / 2024年9月19日 23時9分
イングランド銀行(英中央銀行)は19日、政策金利を5.0%に据え置くとともに、1000億ポンドの保有国債減額を今後1年も継続すること決定した。本部で7月撮影。(2024年 ロイター/Maja Smiejkowska/File Photo)
Andy Bruce David Milliken
[ロンドン 19日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は19日、政策金利を5.0%に据え置くとともに、1000億ポンドの保有国債減額を今後1年も継続すること決定した。
金融政策委員会は8対1で金利据え置きを決定、ディングラ外部委員が0.25%ポイントの利下げを支持した。8月会合では5対4の僅差で利下げを決定、ロイターによるエコノミスト調査では今回は7対2での金利据え置きが予想されていた。
ベイリー総裁は声明で、インフレ圧力の低下により今後数カ月で段階的な利下げが可能と指摘。「ただインフレが低水準を維持することが極めて重要で、早期や過度の利下げにならないよう注意する必要がある」と述べた。
ベイリー総裁はその後メディアに対し、インフレは足元「緩やかに下降する道筋にあり、朗報だ」と語った。インフレが今後十分に緩和し、追加利下げが可能になることに「楽観的」としつつも「一段の証拠が必要」とし、追加利下げ時期について言明することは避けた。
アバディーンのデプュティーチーフエコノミスト、ルーク・バーソロミュー氏は「英中銀の比較的慎重な姿勢は、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和サイクルの力強いスタートとは対照的」と指摘。「英国の基調インフレ圧力は高止まりしているが、労働市場は経済の健全性を巡りかなり複雑なメッセージを発している」と述べた。
中銀は、直近で2.2%となっている消費者物価の前年比上昇率が年末までに2.5%程度まで上昇するとの見通しを示した。原油価格の下落がインフレ見通しの引き下げにつながったという。
<量的引き締め継続>
金融政策委は2024年10月からの1年間、量的引き締め(QT)ペース維持を9対0で決定した。市場の予想通りで、これまでと同様に年間で1000億ポンド減額する。
保有国債のうち870億ポンドは1年以内に償還を迎える予定で、売却額は事実上130億ポンドに過ぎないため、一部ではQT加速が予想されていた。
現在の価格より高い価格で国債買い入れを行ったため、売却は損失につながり結果的に国税で負担になるとして、一部議員やシンクタンクからはQTへの批判がでている。国債買い入れのために調達した資金への利払いも、中銀にとり損失となっている。
多くのエコノミストは、リーブス財務相が10月30日に公表する予定の予算編成方針で、QTの影響を排除する財政ルール変更を行い、予算ののりしろを確保する可能性を指摘している。
中銀はQTは円滑に進んでおり、金融政策スタンス全体への影響は「わずか」との見方を維持。国債保有の増加傾向に歯止めをかけ、将来の危機に柔軟に対応するためにQTが必要との見解を改めて示した。
ベイリー総裁は、政府によるQTの影響を排除する財政ルール変更については懸念しておらず、中銀の決定に影響することはないと述べた。
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