人手不足深刻化 官民で多様な対策を講じたい

読売新聞 / 2018年7月12日 6時6分

 人手不足が深刻化し、経済成長に悪影響を及ぼし始めている。官民を挙げて、多様な対策を粘り強く講じたい。

 求職に対する求人の割合を示す有効求人倍率は、44年ぶりに1・6倍台を記録した。日銀の調査でも企業の人手不足感はバブル期並みだ。

 最大の要因は、働き手の中心となる15~64歳の生産年齢人口が減少していることである。減少は今後も急ピッチで進む。人手不足が中長期にわたる課題であることをしっかり認識する必要がある。

 産業界では、労働者不足を引き金に、企業経営が行き詰まるケースが相次いでいる。

 民間の信用調査機関によると、人手不足が原因の企業倒産は2017年度、310件に上った。従業員不足や後継者の不在で、事業を継続できなくなった例が多い。自ら会社をたたむ廃業は、さらに多いとみられている。

 人手不足の影響は、小売りや外食店の営業時間短縮など、サービスの低下を通じて消費者にも波及している。今春には運送業者が十分なドライバーを確保できず、希望した日時に転居できない「引っ越し難民」が問題化した。

 情報技術(IT)業界の人材難も見過ごせない。先端技術の活用を掲げる政府の成長戦略にとっても足かせとなろう。

 人手不足対策として喫緊の課題は、労働者1人当たりの生産性を高めることだ。

 「脱時間給」などの働き方改革を進め、短時間の労働で多くの成果を得られるようにしたい。人工知能(AI)やロボットの導入など、省力化投資も有効だろう。

 働き手そのものを増やす取り組みも欠かせない。

 女性の就労促進に向け、待機児童問題の解消が急がれる。働く時間や条件を柔軟に選べる環境作りも求められる。

 意欲のある高齢者の活用も大切だ。健康状態など個々の事情にきめ細かく対応すべきである。

 外国人労働者の雇用拡大も課題となる。政府は一定の技能を持つ外国人を対象に新たな在留資格を来年4月にも設ける方針という。必要な人材の確保につながるよう、対象業種の選定や受け入れ準備に万全を期してもらいたい。

 介護業務などは人手不足が深刻だが、一般事務は求職が求人を上回る。こうした雇用のミスマッチの解消も忘れてはならない。

 職業訓練の充実などによって、異業種間で転職しやすい労働市場を整備することが重要だ。

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