高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「過去最大」100兆円予算、なぜマスコミの論調が似ているのか

J-CASTニュース / 2019年12月26日 17時0分

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来年度予算案が決まった

2020年度当初予算案について、マスコミの評価はよくない。

新聞各紙の社説のタイトルをみると、次の通りだ。

朝日新聞「100兆円超予算 健全化遠い実態直視を」
毎日新聞「過去最大の102兆円予算 『身の丈』に合わぬ放漫さ」
読売新聞「20年度予算案 『100兆円』は持続可能なのか」
日経新聞「財政の持続性に不安残す来年度予算案」
産経新聞「来年度予算案 歳出の改革は置き去りか」

NHKの報道でも、「来年度予算案 過去最大の102兆円超 歳出膨張に歯止めかからず」としている。いずれも、これでは財政再建できないという点で似た主張である。ここまでマスコミ論調が似ているのは奇妙でもある。

2020年度予算の歳出総額は102兆6580億円

筆者が大蔵官僚の時代には、来年度予算について課長補佐クラスか課長クラスが各紙の論説委員のところに、エンバーゴ(情報解禁日時)付きの資料をもって事前に説明していた。その後、各社の社説がでると、大蔵省幹部が説明に行った課長補佐クラスか課長クラスを全員集めて、各社の社説を論評したものだ。「この社説はよく書けているな、この社説はダメだ」。もちろん大蔵省の意向に沿っている社説が「よく書けている」と評価されるわけだが、同時に課長補佐クラスか課長クラスも、どこまでマスコミを丸め込んだかという「仕事ぶり」も評価されているのだ。

おそらく今でも似たような方法で、マスコミに対して事前レクを財務官僚はしているのだろうか。だとすれば、各紙論調が似ているのは事前レクのためではないかと邪推してしまう。その際、予算の膨張や財政再建の遅れを批判してもかまわないと財務官僚が説明したら、それこそ各紙はそのように社説を書くのではないだろうか。

来年度予算の歳出総額は102兆6580億円で過去最大の予算というが、世界の先進国でデフレになったのは日本だけだが、デフレでもなければ、名目値である予算が毎年伸びるのは当然であり、その意味で過去最大もおかしくない。これを問題視するのは、デフレ思考でもある。

消費増税への指摘は...

歳出が膨らんだのは、「臨時・特別の措置」1兆7788億円が含まれているからだが、そもそも、消費増税をやらなければ、経済の落ち込みもなく、景気対策も必要でなかったはずだ。

各新聞社は、新聞の部数減少を受けて、新聞を軽減税率対象にしてもらうのが会社経営のために必要だ。そのために、消費増税の弊害を書かない。せめて、予算の拡大をいうなら、その原因となった消費増税による景気の落ち込みを指摘しなければいけない。

この年末になると、筆者の気にしすぎかもしれないが、妙な話がでてくる。真山仁氏の「オペレーションZ」がドラマ化するとネットにでていた。借金1000兆円だけを前提とする、つまりバランスシートの右側だけを考えるというナンセンスな設定であるが、まさに財務省が一般国民に洗脳している手法そのものだ。実際には、国債金利はマイナスかゼロ付近なので、財政破綻の可能性は先ずないのが事実だ。おそらく無知な知識による「お笑いドラマ」になるだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「韓国、ウソの代償」(扶桑社)、「外交戦」(あさ出版)など。


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