韓国当局の「化粧品から放射性物質」発表に異議 日本メーカーに詳細な反論を聞いた

J-CASTニュース / 2020年1月15日 18時29分

写真

フローフシが「UZU」サイト内で声明を発表

化粧品メーカーのフローフシ(本社・東京都港区)が2020年1月7日、韓国への輸出品から放射性物質が検出されたとして商品回収が決まったことを受け、「遺憾」であるとの声明を発表した。過去、日本の検査で「一切問題がないとの結果」が出ていると、安全性が担保されていることを説明している。日本で当該商品を回収する予定はないという。

発表によると、フローフシは韓国で異議申し立てを申請している。J-CASTニュースの取材に同社は、韓国でもこれまで放射線に関する検査を受けて「嫌疑なし」と判断されてきたと説明。今回の商品回収に関し、韓国の機関に正確な情報開示を求めていることを明かした。

安全基準の「年間1ミリシーベルト」を大きく下回る水準

韓国の国家機関「食品医薬品安全処」(以下、食薬処)は7日、韓国で輸入販売しているフローフシの人気コスメティック商品「モテマスカラ」3品目と「モテライナー」7品目の計10品目(以下、当該商品)から、放射性物質のトリウムとウランが検出されたと発表した。当該商品は販売を中止し、回収措置を取るとしている。

発表によると、これらの放射性物質は化粧品への使用が禁止されている。一方で検出されたのは、韓国の「生活周辺放射線安全管理法」に基づく被ばく放射線量の安全基準である「年間1ミリシーベルト」を大きく下回る水準だったという。

中央日報など複数の韓国メディアは7~8日、こうした発表を報道。東亜日報(日本語版)は、人体への安全性について「放射性物質は極めて少量検出されて、既存の使用者の被曝の危険はない」という食薬処の関係者談を掲載した。

事態を受け、フローフシは7日、自社ブランド「UZU」(旧・FLOWFUSHI)の公式サイト内で声明を発表した。「韓国で旧FLOWFUSHI製品のモテマスカラとモテライナーの一部ロットから放射性物質が検出されたとの報道がありました」として、次のように再検査を行うことを説明した。

「韓国の食薬庁の発表によっても、当該製品の放射線量は、韓国の生活周辺放射線安全管理法が定める年間被ばく線量の安全基準よりもごく低いレベルで、まったく安全性には問題がないとされていますが、韓国のお客様に安心してお使いいただくためにも、対象製品・ロット以外も含めた韓国内の旧FLOWFUSHIすべての製品を、日本の第3者機関での再検査のために日本への返送を依頼しております」

フローフシは、報じられた商品を含む同社商品について、

「もとより、当該製品を含む弊社製品について、日本国内の薬機法、原子炉等規制法等関連する法律に抵触した事実は一切なく、また過去、日本国内において第三者機関が実施した検査でも、当該製品の放射線量が日本のガイドラインの基準範囲を超えたこともなく、私たちが通常に生活している空間の放射線量以下であり、一切問題がないとの結果が出ています」

と安全性が認められていることも説明。そのうえで、

「現在韓国では、旧FLOWFUSHIの一部製品を韓国内の販売代理店を通じて販売しておりますが、弊社では関連する全法律を遵守して製造販売をし、日本でのすべての安全性の検査もクリアした上で韓国に輸出をしており、今回の韓国での報道については遺憾であり、現在韓国の代理店から異議申し立ての申請をすでに提出済みです」

と対応を取っていることも明かした。なお「日本で当該製品を回収する予定はありません」としている。

「日本でのすべての安全性の検査もクリアした上で韓国に輸出」

先述した韓国の「生活周辺放射線安全管理法」については、19年7月に改正されたことを複数の韓国メディアが当時報じていた。化粧品や衣服など体に密着する製品に、トリウムやウランといった放射性物質を使用することを禁止したとしている。

背景にあるのは18年5月に起きた「ラドンベッド騒動」。寝具メーカー「テジンベッド」製のマットレスから基準値を超える量の放射性物質ラドンが検出され、大量リコールが起きたことで、工業製品における放射性物質の規制強化が進むことになったという。

フローフシは上記の発表文で、当該商品について「一切問題がない」としているが、日本の法律で「問題がない」一方で韓国の法律に違反していた可能性はないのだろうか。同社は14日、J-CASTニュースの取材に応じ、下記のとおり回答を寄せた。

「当該製品から検出されたとされる放射線量は年間0.00000000696ミリシーベルト(マスカラ)、年間0.00000000936ミリシーベルト(アイライナー)と報道されており、これは、私たちが日常生活において自然界から浴びているとされる年間2.4ミリシーベルト(世界平均)の2.4億分の1未満、また、韓国の生活周辺放射線安全管理法や日本政府のガイドラインが定める安全基準値である年間1ミリシーベルトの1億分の1未満という極めて微量であり、当該製品の安全性には全く問題がないと考えています」

また、発表文にある「異議申し立て」について、申請機関や異議の内容など詳細も説明。次のとおり、韓国で放射線検査を2度受けて嫌疑なしと判断されていること、今回の回収にあたり検査方法などの情報を受けていないことを明かした。

「韓国の販売代理店から以下内容で、韓国の食薬庁(現・食薬処)へ異議の申し立てを行っています。

安全性については、通常の税関検査に加えて過去、韓国内で税関、食薬庁によって2018年12月、2019年10月に2度の放射線に関する検査を受けており、その結果、No nuclides(非核種 / 放射性物質未検出)で嫌疑なしと判断されています。また、日本の第3者機関での検査においても安全性は証明されております。

今回の回収事由は、食薬庁より『化粧品に使用することができない原料配合』と伝えられていますが、現在、検査方法、検出成分、および検出結果についての正式な情報を知らされていない状況であるため、正確な情報の開示を要請しています」

「自然界に普通に存在している天然のトリウムやウランなどが含まれている可能性はありうる」

フローフシは、今回の事態に対する認識を次のとおり示している。

「日本政府が公表している通り、私たちの日常の生活環境に普通にある空気、食べ物、飲み水、土、天然鉱物、そして化粧品を含む一般消費財に配合されている自然由来の原料にも放射性物質は含まれており、そのため自然由来の天然原料を使用している製品には、自然界に普通に存在している天然のトリウムやウランなどが含まれている可能性はありうると考えています。

だからこそ、韓国の上記法律や日本政府のガイドライン、国際放射線防護委員会(ICRP)等の国際機関においては、放射性物質が製品に含まれているか否かではなく、上記のとおり年間1ミリシーベルトという放射線の量によって安全基準が定められています。

もとより弊社は、日本の法令に準拠し、原料調達や製造過程においても安全性等の各種検査をクリアした製品のみを製造販売しておりますので、従前どおりご使用ください。なお、日本で当該製品を回収する予定はありません。

弊社は引き続き、韓国の代理店や各種専門家とともに、正確な情報収集に努めてまいります」

農林水産省が公式サイトで公開している「放射性物質の基礎知識」では、「大地には、ウラン238、トリウム232、カリウム40などの天然の放射性物質が含まれています。これらは、約46億年前に地球ができたときから存在しています」と説明している。

フローフシは当該商品を韓国国内で再販する可能性について、「今は1人1人のお客様に対して、誠心誠意対応することが大切なので、再販についてはまだ考えられません。今後、弁護士や専門家、業界団体と協議を重ねた上で、極めて慎重に検討したいと考えております」と回答した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング