コロナショックと原油安で「二極化」進む? 商社が迎える試練

J-CASTニュース / 2020年4月5日 17時0分

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日本経済に与える影響は(イメージ)

新型コロナウイルスの影響で人やモノの往来が激減する中、産油国の思惑も絡んで飛行機や自動車などの燃料となる原油の価格が急落し、資源を扱う商社の業績に影を落としている。

特に丸紅は2020年3月期連結決算について、純損益の業績予想を1900億円の赤字に下方修正。これ以降、株式市場で商社株は軒並み安となり、衝撃を与えた。

従来予想から「マイナス3900億円」

丸紅が3月25日に発表した下方修正の内容を確認しておこう。純損益の従来予想は2000億円の黒字で、修正による増減額はマイナス3900億円に及ぶ。2019年3月期の純利益の実績は2308億円だった。

利益減額の内訳を見ると、石油・ガス開発事業が1450億円で最も多く、米国穀物事業(1000億円)、チリ銅事業(600億円)、海外電力・インフラ関連事業(400億円)、市況悪化等による減益(200億円)などで全体のマイナス3900億円を構成する。

石油・ガス開発事業の減額1450億円は、米国メキシコ湾での油田事業でマイナス800億円、英領北海の油田事業で650億円、それぞれ減損損失を計上することによる。原油価格の急激な下落に伴って将来の原油価格、生産・掘削計画を見直したためで、資源安のインパクトの大きさをうかがわせる。

一方、次に減益額の大きい米国穀物事業は、2013年に約2700億円をかけて買収した米穀物大手ガビロンの穀物事業における減損損失800億円と、米西海岸の穀物輸出事業200億円の減損損失によるものだ。足元で穀物価格はさほど下がっておらず、原油をはじめとする資源安とは直接関係のない減損損失。経営不振のガビロンについてはこれまでも、のれん代や固定資産の減損損失の計上を繰り返しており、丸紅固有の事情と言えよう。

勝ち組、負け組を分けるのは

他の大手商社で足元の資源安を受けて業績予想の修正を発表したのは3月27日の三井物産だ。2020年3月期連結決算の純利益は従来、4500億円としているが、「商品市況の下落による影響は精査中」としたうえで、「500億円から700億円程度の損失を認識する可能性がある」とした。具体的には米国シェールガス・オイル事業、イタリア油田事業を中心に固定資産に減損損失が出る見込みという。精査中の段階で自ら情報発信するのは異例であり、「丸紅ほどではない、と言いたいのではないか」との見方が市場にある。

資源安が商社の業績を下押しするのは間違いないが、会社によって影響には濃淡がありそうだ。

もともと総合商社は大きく言って、三菱商事、三井物産といった財閥系と伊藤忠商事や丸紅のような関西繊維系に出自が分かれる。財閥系は明治維新以降の政府との結びつきも生かし、海外資源の取り扱いに一日の長がある。現在でも財閥系は液化天然ガス(LNG)や鉄鉱石に強い。

一方、今や純利益で業界トップをうかがう伊藤忠は、近江商人の初代・伊藤忠兵衛が麻布の商売を始めたのが祖業で、丸紅も源流は同じだ。関西繊維系も戦後、資源の取り扱いを増やしていくが、財閥系の背中はなかなか遠い。そうした中、丸紅は2000年代以降、資源に注力してきたのに対し、伊藤忠は衣料品などの「非資源」を幅広く強化し、業績が資源価格に左右されにくい体質をつくったことで業界トップへの道を開いた。

すでに2019年4~12月期連結決算において大手7商社のうち、米中貿易摩擦などの影響により三菱商事(15.6%減)、三井物産(4.3%減)、住友商事(12.6%減)、丸紅(33.7%減)、双日(30.2%減)の5社が減益になる一方、伊藤忠(7.3%増)と豊田通商(6.1%増)の2社が増益と、明暗が分かれていた。コロナショックと原油安によってさらに業績の二極化が進む可能性もありそうだ。

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