三井不動産が「10期ぶり減益」見込み 新型コロナが「ららぽーと」に与える影響は...

J-CASTニュース / 2020年6月5日 7時0分

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三井不動産公式サイト

賃貸オフィスや「ららぽーと」などの商業施設、「三井ガーデンホテル」、分譲マンションなどを手がける三井不動産が発表した2021年3月期連結決算の業績予想は、純利益が前期比34.8%減の1200億円と10期ぶりの減益を見込む。

好調なオフィス需要などを背景に20年3月期まで6年連続で最高益を更新してきたが、一転して2桁の減益。新型コロナウイルスの影響が商業施設やホテルを直撃する。

7月以降は「緩やかに正常化する前提」

まずは20年5月12日発表の業績予想を確認しておこう。三井不動産は、第1四半期(4~6月)は「政府、自治体からの要請等により、厳しい制約下での経済活動が続く」が、7月以降は「年度末に向けて緩やかに正常化する前提」で算出したとしている。売上高は前期比2.9%減の1兆8500億円、営業利益は28.7%減の2000億円、経常利益は34.6%減の1690億円。

テレワークが拡大するといっても「オフィステナントは長期契約が多いため、即座に賃料が下落する可能性は非常に低い」(三井不動産)ことから、オフィス賃貸は従来とあまり変わりないが、「ららぽーと」「三井アウトレットパーク」といった商業施設は休館やテナントの家賃減免が響く。このため、オフィスと商業施設を含む主力の「賃貸」事業において売上高が前期比360億円(5.7%)減、営業利益は328億円(22.5%)減と見込んだ。また、ホテルを含む「その他」事業では、宿泊需要の減少などを考慮し、130億円の営業赤字に陥るとした。貸し駐車場などの「マネジメント」事業も売上高が114億円(2.7%)減、営業利益は56億円(10.2%)減と想定した。

三井不動産は大手不動産各社の中でも商業施設に積極投資をしてきた。商業施設の賃貸売上高は2020年3月期で2404億円と過去10年で約2倍に拡大。全体の売上高の1割強というとさほどでもないように見えるが、大黒柱のオフィスの賃貸売上高(3602億円)に比して遜色ない水準であり、「プレミアム・アウトレット」を展開する三菱地所などより存在感は大きい。

足元では「ららぽーと」などで、テナント賃料へのコロナ禍の影響がある。店舗は順次再開しているが、売れ行きに応じた変動賃料のテナントも一定程度あり、客足の戻り具合が商業施設ビジネスを左右するため予断を許さない。

ショッピングセンターには増税の影響も

「ららぽーと」は近年、百貨店などから顧客や売り上げを奪う格好で成長を続けてきており、「2020年3月期まで6年連続最高益」を支えてもきた。ただ、コロナ禍の直前から変調もあった。日本ショッピングセンター(SC)協会がまとめた全国既存SC売上高によると、直近4月は前年同月比68.8%減と当然ながら厳しい状況にあるが、消費税率が10%に引き上げられた2019年10月以降、月単位で1度もプラスにならないままコロナ禍に突入してしまっているのだ。一番マイナスが小さい2020年1月でも1.3%減。今回の消費税率アップは駆け込み需要の山も谷も前回より小さかったとされる中で無視できない現象だ。コロナ禍の中、衣料品などの電子商取引が拡大する可能性もある。

ただ、決算発表に併せて2021年3月期の配当額を前期と同額に維持し、100億円を上限とする自社株買いを実施すると発表したことを株式市場は好感し、株価はじりじりと上げ、6月上旬時点では、おおむね2000円台前半を推移している。野村証券は目標株価を4020円から3870円に引き下げた5月13日配信のリポートでも「新型肺炎の業績への影響は小さくないが、株主還元、資本効率改善を目指す姿は評価される」と指摘した。「商業施設一本足」でないことが三井不動産の強みでもあるのだろう。

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