「リファラル採用」そのメリット・デメリット マッチ率高いが...「サクッと落とされ知人と険悪」も

J-CASTニュース / 2020年7月12日 17時0分

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トヨタ自動車は、社員の紹介を通じて中途採用を行う「リファラル(紹介)採用」を始めた。ベンチャー企業を中心に導入が進む手法が、日本を代表する大企業にも広がり始めた形だ。リファラル採用は、会社のカルチャーに合った人材を採用できるなどのメリットの一方、紹介する社員と紹介される知人との関係に悪影響を及ぼす恐れがあるなど、デメリットもあるという。

トヨタの広報担当者によると、19年11月から一部の職種で試行し、20年6月から全職種に広げて制度化した。従来のような自社ウェブサイトや人材紹介会社を通じた中途採用では、ソフトウェアなどのIT領域に強い人材の獲得に「限界があった」という。

ミスマッチ少なく、離職率も低い

リファラル採用では、社員が知人の人柄やスキルが自社に合うかを見定めて会社に紹介する。必ずしも採用されるとは限らず、面接などの選考を通じて能力を見極め、採否を決める仕組みだ。

リファラル採用を活性化するサービスを運営する会社「MyRefer」の広報担当・岩田知佳さんは、この手法のメリットについて次のように話す。

「企業にとっては、既に自社で活躍している社員の紹介・推薦なのでミスマッチが少なく、内定承諾率が高く、離職率も低いというメリットがあります。人材紹介会社に支払う紹介料も必要ないため採用コストを削減することができる上、転職市場に出ていない優秀な人材にリーチできるメリットもあります」
「転職者にとっても、知人を通じて会社の雰囲気やカルチャーがわかるメリットがあります。人事担当者の話や採用サイトではわからない『口コミ』で転職・入社を判断できるのです」

社員に紹介求める「事実上のノルマ」も

デメリットもあるという。岩田さんが説明する。

「既にいる社員と人柄などが近い『似たもの同士』を採用することになりかねず、自社にいない存在を採って多様性を高めたいというニーズに対応できません。また社員にそれなりの負担をかけてしまうので、制度として運用するための工夫も必要です」

リファラル採用を制度化している企業の中には、知人の紹介・採用に対して報酬を支払うところも多い。ただ中には、知人の紹介を事実上ノルマにしているような企業もあるという。

専門的な人材を仲介するウェブサイトを運営する東京都内のIT会社は、社員が平均1~2年で辞めるなど離職率が高かったことから、3年前からリファラル採用を制度化した。採用1件につき数万円の報酬を、紹介した社員に支払っている。実態を、30代の元社員はJ-CASTニュースの取材に証言した。

「社長や部長が毎月のように『紹介できる友人はいないのか』とプレッシャーをかけてくる。事実上のノルマでした。そのくせ、紹介した私の友人は1次面接でサクっと落とされたのです。その友人とはしばらく、険悪な雰囲気になりました」

口コミサイトに書き込まれた声は...?

就職・転職口コミサイトには7月9日現在、この会社の現・元社員を名乗るユーザーから、「リファラル採用のノルマが苦しい」などといった投稿が十数件あった。前述の元社員は言う。

「ほとんどが事実です。私の元同僚の場合、紹介した友人が入社したものの、会社のカルチャーが合わず、約2か月で退職。上司から『使えないやつを紹介しやがって』と罵倒され、元同僚も心を病んで辞めました」

このIT会社に対し、J-CASTニュースが元社員の証言や口コミサイトの記載内容について取材を申し込んだところ、下記のような回答が返ってきた。

「採用に関する個別の話については回答を控えます。(口コミサイトの投稿には)事実ではないものも含まれていると思われます」

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