NHK「受信料値下げ」踏み込まず 次期経営企画案、事業スリム化は進めるが...気になる「一本化」の行方

J-CASTニュース / 2020年8月4日 19時59分

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受信料値下げと改革について次期経営計画案に明記することは見送ったが…(写真は東京・渋谷のNHK放送センター)

NHKは2020年8月4日に次期経営計画案(2021~23年度)を公表したが、懸案だった受信料のさらなる値下げや、衛星放送の受信料体系の見直しについては盛り込まなかった。20年10月に実施することがすでに決まっている値下げや新型コロナウイルスの影響などから、現状を維持するという。

NHKは4日午後に案を公表。4チャンネルある衛星放送のうち、「BS1」と「BSプレミアム」、「BS4K」の3波を1つにまとめていくことや、3チャンネルあるラジオについてもAMとFMの2つにまとめる事業スリム化計画案を説明した。

大手メディアで「前打ち」相次ぐが...

次期経営計画案は4日に開かれたNHKの経営委員会で了承されたが、事前に情報が大手メディアに漏れていたようだ。2日夜に共同通信が「NHK受信料値下げ明記は見送り 次期経営計画案で」の見出しで「前打ち記事」を配信。読売新聞も3日付の朝刊1面トップで「NHK、BS・ラジオ削減 経営計画案 事業規模を抑制」のメイン見出しを付け、前打ち記事を掲載した。

読売の記事では、受信料収入に支えられ、肥大化する一方のNHKの事業スリム化計画についての説明が大半を占めた。ただ、ネットユーザーの関心の的は、記事の後半にあった、新しい受信料がどうなるかにあった。

記事では、計画案とは「別」としつつ、現在月1260円の地上契約と月2230円の衛星契約を「総合受信料」として一本化し、衛星契約よりも低い水準の料金設定にするなどの制度設計を検討する、と報じていた。

このニュースを読んだ人々からは、衛星契約の2230円よりは安くなっても、結局は地上契約の1260円より高い料金体系になるのでは、と連想する人が多かったようだ。ツイッター上ではこんな投稿が相次いだ。

「通常放送と衛星放送の受信料をまとめて値上げしようとしてるね。こんな姑息な事は断じて許されない」
「衛星放送見てない人は実質値上げか?あの手この手で金取りに来るな」
「毎月受信料払うの本当に止めたい。給料上がらないのに、凄い高いし、1日中見てないのにおかしいぜ」

「コロナ」など理由に値下げ見送るも、国の要請次第で...

結局、受信料体系の見直しについては、8月4日に公表された次期経営計画案には盛り込まなかった。4日午後に記者会見したNHKの前田晃伸会長は「受信料引き下げをするだけで、1年以上かかる」と述べており、料金見直しについて表に出せるにはまだ時間がかかるようだ。

NHKの年間の受信料収入は約7115億円(19年度)。公共放送制度を持つ諸外国と比べると、ドイツの公共放送に次ぐ高い水準で、2010年代後半からほぼ右肩上がりで増えている。番組制作や設備投資に潤沢な経費を使えることから、広告収入が頭打ちの民放から「肥大化」や「民業圧迫」との批判がある。

中でも問題視されているのは衛星放送だ。総務省の有識者会議「公共放送の在り方に関する検討分科会」(20年7月30日開催)では、NHKの衛星放送の契約は「月額1000円程度で提供されている主なインターネット動画配信サービスと比べて割高」と指摘された。

受信料の徴収率も、他国が軒並み90%以上の中で82.1%と低く、一方で受信料収入の1割超の723億円(18年度)も費やしている徴収費用などと合わせ、受信料制度の改革を求められていた。

有識者会議のこうした提言に対し、前田会長は7月2日の定例記者会見で、「衛星放送の料金だけでなく全体を見直す必要がある」との認識を示していた。8月4日に公表した次期経営計画案はその「宿題」のうち、支出のスリム化については示したと言える。

しかし収入については、大幅な減収が想定されるとして21年度の水準を維持するとしている。20年10月から衛星契約で月60円、地上契約で月35円を値下げすることがすでに決まっており、その影響で減収が予想されることと、コロナ禍による受信料の免除や経済情勢悪化に伴う契約件数の減少などが影響すると見込んでいる。

ただ、前回の経営計画案(18~20年度)でも値下げについて盛り込まなかったが、後に総務省の要請を受けて値下げを決めた経緯がある。高市早苗総務相も受信料制度の見直しが必要との考えを示しており、さらなる値下げを行う可能性は残されている。

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