ホンダとGMの資本提携なき協業強化 懸念出るなか「しなやか」と高評価も

J-CASTニュース / 2020年9月12日 21時0分

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ホンダとGMの協業強化の今後に注目が集まる。(画像はホンダの公式サイトより)

ホンダが、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を拡大し、北米での四輪自動車事業で開発や生産など包括的な協業を目指すことになった。車台やエンジンなどの基幹部品の共通化を進める考えだ。自動車業界は自動運転など先端技術の開発競争が激化しており、ホンダは最重要の北米市場でGMとの関係強化により大きなコスト削減効果を見込む。今回は資本提携には踏み込まないが、これまで堅持してきたホンダの「独立路線」への影響も注目される。

今回の提携で、今後開発する新型車について、エンジンやハイブリッド(HV)システムなどパワートレーン(駆動装置)を含めた車台の共通化を検討する。併せて部品の共同調達も検討し、規模のメリットを追求し、両社共同開発車以外にも範囲を広げる可能性もある。

「北米で大幅なコスト効率の向上」を期待

両社の関係は1999年に一部エンジンの相互供給などが始まりで、近年は、2013年に水素で走る燃料電池車の技術開発で提携したほか、18年にはホンダがGM傘下の自動運転を手がける会社に出資し、無人ライドシェア(相乗り)の自動運転車の開発に共同で乗り出し、さらに20年4月には北米向けのホンダの電気自動車(EV)の共同開発(GMが生産してホンダに供給)を発表するなど、主に市場が小さい次世代技術を中心に関係を強めていた。

今回の提携は、その延長での協業の深化といえばその通りだが、ガソリンエンジン車やHV車など、現在の事業全体の中では本丸中の本丸を対象とする点で異例だ。そこにまで踏み込んだのは、新型コロナウイルスの感染拡大による販売の大幅落ち込みもあったが、何より、両社の構造的な弱点への危機感があった。

「最大市場の北米で大幅なコスト効率の向上が実現可能になる」(ホンダの倉石誠司副社長)、「両社のリソース活用により、将来のモビリティ技術への投資を加速できる」(GMのマーク・ロイス社長)――9月3日の提携発表にあたり、両社首脳が発表したコメントに、思いが表れている。

営業利益率、トヨタとの比較は...

GMは電気自動車(EV)開発の強化を打ち出すも、主力の北米市場でのEVのシェアは1%程度で、米テスラなどが台頭するなか、次世代の事業に資金を振り向けるため、ガソリン車やHVのコスト引き下げは不可欠だ。

ホンダにとっては、2019年度に世界で480万台の四輪車を販売、その売上高は約10兆円に達するが、営業利益は1533億円、営業利益率は1.5%にとどまり、トヨタ自動車の7.6%に大きく後れを取っている。四輪事業の6割弱を占める最重要市場の北米で、コストを削減することは、待ったなしの課題だ。

コスト計算で言うと、エンジン開発に100億円、新たな車台に300億円が必要とされ、協業により半分で済むメリットは大きい。

ただ、今回、相互出資など資本提携を伴わないことも大きな特徴で、ホンダの幹部は提携発表の電話会見で「そういう(資本提携の)議論はしていない」と明快に否定している。これについては「資本関係を結ばずにどこまで素早く具体的な成果を出せるかに注目が集まりそうだ」(朝日新聞9月5日付朝刊)など、どちらかといえば資本関係がないことを懸念する報道も見られる。

確かに、トヨタは日野自動車やダイハツなど、出資したうえで長い年月をかけて最終的に完全に傘下に収めたほか、提携を結んだSUBARU(スバル)、マツダ、スズキとなどとの間では株式の持ち合いもセットにしている。

どうなる「独立路線」

ただし、資本提携しても、スズキと独VW(フォルクスワーゲン)のように1年もしないうちに対立関係に陥り、国際仲裁による解決まで年月を費やした例はあるし、独ダイムラーと米クライスラーのように統合後に離婚した例もある。日産と仏ルノーの関係もギクシャクしている。トヨタも、いすゞとのディーゼルエンジンの共同開発を目指した資本提携は実らなかった。

車の自動化や電動化などの頭文字をとったCASEをキーワードとする大変革の時代に、世界のトップクラスのメーカーでも新たな技術のすべてを自前で開発するのは難しい。勢い、合従連衡は不可避だ。ホンダは、長年のGMとの関係の中で「技術に関する信頼感を培ってきた」(大手紙経済部記者)といい、資本を伴わない関係を「しなやかな提携」と評価する声もある。

今回の提携の成果がいつごろから見えるのか、その延長上で工場の相互活用といった生産体制での協力にも進むのか、そうした段階では資本提携も必要になるのか。「独立路線」を守ってきたホンダの将来の姿という意味でも、注目される。

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