起業の直後にコロナ禍! やるべきことは資金確保、コスト削減、そして......

J-CAST会社ウォッチ / 2020年9月22日 11時45分

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スタート後、順調にアップするのに大切なのはお金

ひと昔前は難しかった起業だが、ワークライフバランスの考え方の浸透や働き方の多様化が進んだ現代では、インターネットやテクノロジーの発達で国境を超えたビジネスでも、それほど多くの資金がなくてもトライできるようになってきた。株式会社を設立するのに必要な資本金の基準が下がり、「1円起業家」なんていうブームもあった。

とはいっても、先立つものがなければ始まらない。本書「スタートアップファイナンス 起業で失敗しない『おカネ』とのつき合い方」は、資金調達法や収支計画の作り方など、金をめぐることを中心に解説した起業指南書。ちょっとしたことで「天国と地獄」ほどの違いがあるというから、起業を考えている人には見逃せない一冊。

「スタートアップファイナンス 起業で失敗しない『おカネ』とのつき合い方」(加瀬洋著)秀和システム

ちょっとしたことで「天国と地獄」ほどの違い

著者の加瀬洋さんは、税理士法人の代表税理士。起業・創業での会計や税務、資金繰りなどでコンサルティングも行っている。起業については戦略コンサルタントの仕事も担っており、これまで1万2000人の起業家を育てた実績を持つ。

会社を作って事業をスタートするには、設立登記が最初の手続き。法務局に会社設立の届出をする。方法は2つ。「自分でする」か「司法書士・行政書士に依頼する」かだ。依頼するには費用がかかる。そこで、はじめが肝心とばかりに、自分でやろうとする人も少ないようだが、はじめだからこそよく考えたほうがよささそう。

法人設立の手続きでは、定款を電子作成にすると印紙税4万円が節約できる。司法書士・行政書士に依頼すると、この電子定款を用意してくれるので、登記にかかるコストがその分安くなる。

それならば、自分でする場合も電子定款でやればいいのではと考えるかもしれないが、そのための「設備」が必要で、10万円程度の費用が発生するという。

つまり、自分のためだけに設備を用意して電子定款で手続きしても節約どころか、逆に損してしまうのだ。

著者は、自分でやってみようという前向きの姿勢を評価しながら、「その時間や努力は、もっと事業展開に必要になることに向けるべき」とアドバイスする。

設立登記は一度で済むが、経営を進めていくうえでは、税金と会計の違いを理解や、報酬の決め方のベースなどを知っておかないと、とんでもない痛手になることがある。起業から経営には、会社勤務とは別次元の気構え必要なのだ。

コロナ禍では「撤退シナリオ」も欠かせない

2020年2月ごろから、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、スタートアップを含む、ほぼ全業種の経済環境は大きく様変わりした。本書によると、そうした「緊急状況下」での出版ということもあり、スタートアップ志望者がとるべき対応策に触れている。

コロナ以前まではビジネスとして成立していた市場も、感染拡大の影響で商売が成立しなくなっている可能性がある。飲食業やイベント業、旅行業など、消費者と直接接することがサービス提供の前提になっている場合は、いままでと同じ考え方のサービス提供はできないという。

独立・創業に踏み切る前であれば、まずは現在の生活環境で生きていけるかどうかを検討。預金残高を確認しどの程度の期間、現在の生活水準を維持できるか把握することを提案している。そして、事業計画を再考することを促す。

独立・創業したばかりという人は、「資金の確保」「コスト削減」「シナリオ検討」というのが3大ポイント。独立・創業前とその後では、利用できる政府支援策が異なる。融資、給付金、助成金についてしっかり情報を収集し、利用できるものは積極的に利用を検討するようにと著者。

シナリオについては「楽観」「中道」「悲観」の3種類を作るようアドバイス。また、このコロナ禍では「撤退シナリオ」も欠かせないという。「預金残高が○万円を下回ったら、いったん事業を手じまい」「〇月までに事業再開のめどが立たなかったら法人を休眠」など、ターニングポイントを健全な状況のうちに作っておく。

著者は「苦しい状況が続き、そこに費やした努力に引っ張られると、客観的な意思決定をすることが難しなります」と注意を促している。

「スタートアップファイナンス 起業で失敗しない『おカネ』とのつき合い方」
加瀬洋著
秀和システム
税別1800円

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