銀行口座手数料 顧客の十分な理解が不可欠だ

読売新聞 / 2020年10月19日 5時0分

 低金利で収益が悪化する金融機関の間に、口座管理のための手数料を導入する動きが広がっている。丁寧に顧客の理解を得る努力が不可欠だ。

 三井住友銀行は、来年4月以降、新たに口座を開く人を対象に、インターネットバンキングを使わず、2年以上出入金がない「休眠口座」となった場合には、年1100円(税込み)の手数料を取ることを決めた。

 対象は、残高1万円未満の口座に限る。18歳未満と75歳以上は除外する。同様の手数料導入は地方銀行や信用金庫で増えているが、3メガバンクでは初めてだ。

 金融サービスのデジタル化を進め、コスト削減につなげるのが狙いだという。だが、収益の減少を顧客の負担に転嫁する以上、十分な説明を尽くさねばならない。

 ネットで取引内容がわかるデジタル通帳への移行を促そうと、紙の通帳発行を希望する新規の顧客に、手数料を課すことを表明する銀行も相次いでいる。

 三井住友銀では、来年4月以降、年550円を負担してもらう。みずほ銀行は、来年1月から1冊あたり1100円を徴収する。いずれも高齢者は対象としない。

 日本では1人平均10口座程度を持っているとされ、放置されているケースは少なくない。通帳には、毎年1冊200円の印紙税や、印刷代などの経費がかかるとしている。資金洗浄対策の費用がかさむといった事情もあるのだろう。

 欧米では、口座維持手数料を受け取るのが一般的だという。

 しかし、日本では、振込手数料が欧米に比べ割高だとの批判が強い。口座管理のコストをそこから回収しているとの指摘もある。公正取引委員会は今年4月、銀行間の送金手数料の高止まりを問題視する報告書をまとめている。

 口座管理の手数料を集めるのであれば、振込手数料の引き下げを急ぐべきではないか。

 ネットの利用を求めるなら、安全対策の徹底も怠れない。

 ゆうちょ銀行や地銀などでは、NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」とひも付いた口座から、不正に資金が引き出される被害が出て、顧客に不安が広がった。再発防止策と速やかに被害を補償する体制の整備が必須だ。

 紙の通帳で残高を確認することに、安心感を覚える人もいる。紙とデジタルを併存させ、高齢者への配慮は続けてほしい。

 デジタル化をチャンスと捉え、手数料に頼らない、新たな収益源を開拓することも重要だ。

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