保育園の中で、何が起こっていたのか 子どもたちに見せられない「パワハラ大量退職」問題

J-CASTニュース / 2020年12月4日 6時0分

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保育士の大量退職、背景は?(写真はイメージ)

宮城県が認可する同県涌谷町内の涌谷保育園で、運営する社会福祉法人の理事長からパワハラを受けたと訴え、保育士ら職員17人が2020年11月末で退職する事態になっている。

理事長は、「非難を受ける事象はなかった」とパワハラを否定している。県の子育て社会推進室は、園児らのことを考え、認可の基準を満たす保育の継続を求めている。

「大声で怒鳴ったり、特定の職員を無視したりした」

運営法人の理事長は、2015年4月に保育園の園長に就任した。

退職届を出した17人が11月9日に保護者に配った「お詫びとお知らせ」などによると、それ以来、保育士ら職員を大声で怒鳴ったり、特定の職員を無視したりするなどの行為が続いたという。退職する保育士らも相次ぎ、保育士らは19年11月に労働組合を結成し、こうした行為を止めるように訴えた。しかし、理事長は、組合運動をする保育士らを罵倒するなどしたといい、このときも職員17人が20年3月、翌4月末での退職届を提出した。

保護者会も園長の退任を求めたため、理事長は、4月末に園長を退任したが、代わりに施設管理者に就任した。県によると、施設管理者は、一般的に園長と呼ばれることが多いという。その後も状況は変わらなかったといい、17人のうちある保育士は、J-CASTニュースの取材にこう話した。

「6月8日には、副主任が保育士の数が足りないため理事長に配置案を見せたところ、理事長から返事がなく、その後、子供たちがいる前で『誰がOKと言ったか』『勝手なことしましたね』などと大声で叱責していました。また、別の日には、捨て猫を見つけ、理事長に言われて玄関に入れたものの、猫アレルギーの子供もいるとして外に出したところ、『なんで勝手なことするのか』と怒鳴られていました。副主任ら長く在籍する職員3人を中心に理事長のパワハラが続き、それを見た他の職員も精神的に耐えられなくなっていきました」

降園時間前後にお酒を飲んだとして、涌谷町議会も取り上げ

別の保育士は、理事長の言動についてこう言う。

「園長を退任するというので、3月の退職願を撤回したのですが、その後、根拠も示さずに『一斉退職は違法行為なので犯罪者です』などと言われるようになりました。子供たちのことに関わらないので、職員会議に出てほしいとお願いしても、『犯罪者が何を言う。まず謝罪文が必要』と聞き入れてもらえませんでした」

また、理事長が近くのコンビニの前で降園時間前後の夕方にお酒を飲んでいるところを職員や保護者らが数回目撃したといい、このことは、9月の涌谷町議会でも取り上げられた。

11月からは、新しい園長と主任2人が就任したが、この3人は、理事長が3月末に退職した後に呼び戻した元職員だった。理事長らからのパワハラは続いたといい、職員17人が11月9日、再び退職届を提出した。

17日から有給休暇に入った後も、理事長が服務規程違反を疑って副主任らに自宅待機・保育園立入禁止命令の文書を送ったり、職員の労組委員長らに業務怠慢もあったとして懲戒処分の文書を送ったりしたともいう。

保育園の労組では30日、宮城労働局にパワハラ問題の改善指導を求める要望書を提出し、保護者会も12月1日、保育園の運営に不安があるとして説明会を開くよう求めた。保育士らによると、17人の退職届は受理され、17人は、11月末で退職した。

保育園で理事長のパワハラがあったかについて、宮城県の子育て社会推進室では20日、取材にこう話した。

「労使間の問題でもあり、パワハラの有無は判断できない」

「怒鳴るといったことは保育士から聞いたことがありますが、施設管理者はそれらを否定しており、双方の主張が食い違っています。労使間の問題でもあり、パワハラがあったかについては判断できません。ですが、保育の継続を第一に考えてほしいとお願いしています」

県の子育て社会推進室ではその後、17人が退職したことを認識したというが、職員30人の半数以上にもなる。これに対し、同室は12月3日、現時点で施設管理者に退任してもらったり、認可を取り消したりすることは否定した。

「定員110人と同じぐらい園児がおり、認可の基準では保育士16人が必要ですが、現状では11~12人しかいない状態です。欠席する園児も考えると、毎日1~2人は不足しているようです。運営法人も新規採用を進めていると聞いていますが、県としては、在園するたくさんの子供たちにきちんと保育できるように、認可の基準を満たしてもらうことを引き続き求めています」

この状態を放置し続け、指導しても改善がないようなら、行政処分が行われ、重い場合は認可の取り消しなどもあるとしている。

保育園の施設管理者で運営法人の理事長は21日、取材に対し、こうコメントした。

「お預かりしているお子様、保護者の方々、職員への影響を鑑み、当方の認識を言及することは現時点では避けさせていただきたいと存じますが、当法人としては社会的非難を受けるべき事象はなかったものと考えております」

J-CASTニュースでは、その後、保育士らの主張の妥当性について理事長に再度取材を申し込んだが、12月3日までに回答は得られなかった。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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