宝塚歌劇団「非常に危惧すべき状況」 ネットでの中傷に警告声明、ファンの反応は?

J-CASTニュース / 2021年3月6日 17時0分

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宝塚歌劇団は2021年3月1日、インターネット上における出演者やスタッフへの誹謗中傷について「出演者やスタッフが万全な状態で公演に邁進できない事態になりかねない状況は大変遺憾であり、非常に危惧すべき状況」にあると発表、「法的措置を検討」する可能性にも言及した。

劇団からネット上のファンのマナーについて声明が発せられるのは異例であり、法的措置にまで踏み込んだ。

「事実ではない情報をもとに、非難、攻撃」

3月1日に宝塚歌劇公式ホームページに掲載された内容では、ネット上で以下の行為を確認していると言明した。

「特定の出演者やスタッフを名指しのうえ、事実ではない情報をもとに、非難、攻撃をすること」
「特定の出演者やスタッフの技量、成果物その他に対し、本人を傷付ける意図を持って、批評や個人的感想を超えた言葉で攻撃すること」
「特定の出演者の人事情報について、あたかも事実であるかのような表現を使い、事実ではない情報を拡散すること」

そして今後、このような行為に対しては法的措置の検討や発信者開示請求の可能性にも言及し、「特定の個人を攻撃するような行為によって、出演者やスタッフが万全な状態で公演に邁進できない事態になりかねない状況は大変遺憾であり、非常に危惧すべき状況であると考えております」としている。

ファンの反応はおおむねこの声明を歓迎しているが、「自分がひいきにしてるジェンヌさんが、トップスター、娘約トップ(原文ママ)に抜擢されなかった時には、代わりに選出されたトップスター、娘約トップをケチョンケチョンに貶す人もいるしね」「個人的な憶測や推測を、さも真実のように書き込む人が多いですからね これらの書き込みをナゼだか信じこんで劇場内でまわりに吹聴してしまう人も多いし...」「『裏垢』と名乗り『言いたいことをいう』と言って特定のジェンヌを誹謗中傷するアカウントが大量にあるの異常だよ」など、一枚岩ではない様々な反応が見られる。

スターシステムに気をもむファン

宝塚歌劇団では、独特のスターシステム、そして生徒(劇団員のこと)の序列に基づいたシステムで舞台を作っている。各組で主役を演じる男役トップスターとトップ娘役を筆頭に、2番手・3番手と序列に基づいて役の比重も決まっていく。トップコンビは一度就任すると退団まで主演を続け、退団すると別のスター格の生徒が就任する。

ところが、生徒の起用は基本的に「年功序列」で、トップ以下スター格はおおむね入団順が慣例。トップが退団すると次期トップは下級生から選ばれることが大半で、上級生が選ばれるケースは極めて少ない。一見同じスター級の生徒でも、上級生より下級生の方が役付きが良いとそこにファン同士の軋轢を生む要素がある。

また劇団から公式発表がなされるのはトップコンビだけで、2番手・3番手・若手スターといった位置づけはファンの間での暗黙の共有にすぎない。トップの退団発表から次期トップ発表まで数カ月のタイムラグがあることも、ファンが気をもむ一因といえる。

舞台のクオリティとともに、目下ファンが最も気にかけるのがこういった人事の噂話でもある。3月1日の劇団発表の通り、生徒の人事をめぐる噂は何年も前からネットで真偽不明の情報が入り乱れ、ゴシップとして消費されてきた。それらを根拠にトレンドブログのようなPV稼ぎを目的としたようなブログも散見される。この度の劇団の措置にも「誹謗中傷に法的措置は当然だとは思いますが、ファンの間で憶測が飛び交うのは、生徒さんの人事などについて透明性がなく、十分な説明責任を果たさない劇団側の姿勢にも問題があるのでは」というファンからの意見もネットには書き込まれていた。

生徒の序列が役の比重、退団後のネームバリューにも直結する。出番が多ければよりアンチファンの批判に晒されやすくなり、匿名のアカウントで「実力不足」といった批判を投稿するいわゆる「愚痴垢」もSNSでは無視できない。「2ちゃんねる(5ちゃんねる)」などの匿名掲示板でも以前から同様の行為は長年起こっていたが、SNSでより可視化されやすくなった今、劇団側も腰を上げ始めたようだ。

昨2020年には宝塚音楽学校で、本科生から予科生への「指導」といった長らく続いてきた不文律が廃止された。21年4月からは小川友次氏に代わって木場健之氏が歌劇団の新理事長に就任する。社会情勢に応じて、劇団のファンへの対応や、情報発信の姿勢も変わる兆しであろうか。

(J-CASTニュース編集部 大宮 高史)

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