「うっせぇわ」の源流? 尾崎豊・チェッカーズより昔...漫才コンビが歌った「ウッセー・ウッセー」を知っているか

J-CASTニュース / 2021年3月7日 17時0分

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『うっせぇわ』の源流が42年前に?(画像はYouTubeの『うっせぇわ』動画より)

女子高生シンガー・Adoさんによる楽曲『うっせぇわ』のヒットを受け、ツイッター上では同じ「社会への反抗」を歌っているという観点から、故・尾崎豊さんやチェッカーズのヒット曲との「比較論」が繰り広げられている。

日本における「うっせえソング」は、いつから存在するのだろうか。J-CASTニュース編集部が調べを進めると、尾崎さんやチェッカーズがデビューする以前の1979年に、『うっせぇわ』と共通点の多いコミックソングが世に出されていたことが分かった。

「現代版15の夜」、「ギザギザオマージュ」の声もあるが...

『うっせぇわ』は現在18歳の女子高生シンガー・Adoさんが2020年10月23日に配信リリースした楽曲。社会のルールや風潮に対して「うっせぇ、うっせぇ」と畳みかけるように憤る歌詞が特徴で、Adoさんのドスの利いた声も印象的だ。作詞作曲は音楽プロデューサーのsyudouさんが手がけている。

楽曲は20~21年の冬にかけて注目を集め、2月3日発表の「オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキング・ストリーミングランキング」では1位を獲得。YouTubeでは公式動画の再生回数が8000万回を超え(21年3月4日時点)、お笑いコンビ・チョコレートプラネットや、霜降り明星・粗品さんなどによる、数多くのカバー動画が公開されている。

空前の「うっせぇわ」ブームの中、ツイッター上で盛んに行われているのが、「反抗」をテーマに流行した、過去の楽曲との比較だ。例えば、1980~90年代にかけて一世を風靡したシンガーソングライター・尾崎豊さんのデビュー曲で、大人への反抗を歌った『15の夜』を引き合いに出して「現代版15の夜」と評するもの。

また、「ちっちゃな頃から優等生」というフレーズが歌詞中に含まれていることから、「ちっちゃな頃から悪ガキで」という歌い出しで知られるバンド・チェッカーズのデビューシングル『ギザギザハートの子守唄』のオマージュなのではないか、という指摘もある。

ただ、『15の夜』では「バイクを盗む」という犯罪行為、『ギザギザハートの子守唄』では不良行為を歌っていたのに対し、「うっせぇわ」では非行をしていないとして、「尾崎よりよほどお行儀が良い」「(尾崎豊やチェッカーズには)被害者がいるけどうっせぇわ被害者いなくて安心して聞ける」といった声も聞かれている。

「コミックソングとしては高水準の出来」

尾崎さん、チェッカーズともに、デビューシングルとして先述の2曲を世に送り出したのは1983年だ。では、これ以前に出された曲の中で、『うっせぇわ』と比較しうるような曲はないのだろうか。J-CASTニュース編集部が調べを進めると、1979年にリリースされた、あるお笑いコンビの楽曲に行き着いた。

その曲名は『ウッセー・ウッセー』。奇しくも「うっせぇわ」とかなりよく似ている。歌っているのは、71年結成の漫才コンビ「星セント・ルイス」だ。80年には「田園調布に家が建つ」というネタで一世を風靡した。03年にコンビを解散し、04年にはボケのセントさん、05年にはツッコミのルイスさんが亡くなっている(ともに享年56歳)。

そんな人気コンビが歌った楽曲『ウッセー・ウッセー』は、当時流行していたディスコミュージックの影響を感じさせる、アップテンポな曲調だ。榎雄一郎氏作詞の歌詞は、ルイスさんが何をやってもうまくいかない発明家のセントさんをバカにして、それにセントさんが「ウッセー、ウッセー」と言い返すというもの。面白おかしい音楽、いわゆる「コミックソング」の類と言っていいだろう。

実際に同楽曲が収録されているコミックソングのコンピレーションCDアルバム「SMILE」(Sony Records、2002年発売)の解説では、「テンポの良い漫才からは、音楽的センスも持ち合わせていたことが察せられ、コミックソングとしては高水準の出来」と評されている。

浮かび上がった「3つの共通点」

「社会への反抗」を歌った『うっせぇわ』と、コミックソングの『ウッセー・ウッセー』。曲名の類似性、「うっせえ」という歌詞が出てくる以外は、全く性質が違えるように思える2つの楽曲だが、歌詞を比較すると「3つの共通点」が浮かび上がってきた。

一つ目は「うっせえ」というフレーズにかけた、「言葉遊び」的な要素があるという点だ。『うっせぇわ』では「うっせぇうっせぇうっせぇわ くせぇ口塞げや」と、「うっせえ」と「くせぇ」で韻を踏む箇所がある。一方の『ウッセー・ウッセー』も「ウッセーウッセーウッセー 小せえ勉強せえ」と、こちらも「せえ」で韻を踏んでいる。

二つ目は歌い手の「自信」があらわれているという点だ。『うっせぇわ』では「俗に言う天才」「現代の代弁者は私」と、社会のルールに反抗する自身の正当性を示している部分がある。一方の『ウッセー・ウッセー』も、「歴史はオイラをきっと認めるぜ」と、発明家としての自信を表現している。

そして三つ目は、他者に対して「うっせえ」と怒りをぶちまけた果てに、最終的には「我に返っている」という点だ。『うっせぇわ』では、歌の終盤に「あたしも大概だけど」と、一瞬だけ「うっせえ」と言い続けてきた自分を顧みる箇所がある。一方の『ウッセー・ウッセー』も「AHH 孤独だなあ」と、歌詞の最後で心の虚しさを伝えている。

時代を超えて生み出される「うっせえソング」。その本質は、案外変わっていないのかもしれない。

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