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女性管理職比率、驚きの78%! 医療・介護の仕事に欠かせない目線とは...(ニチイHD 磯野祥子さんと田村知美さん)

J-CAST会社ウォッチ / 2021年4月11日 11時45分

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「現場力の強さがニチイHDの特徴」(写真左から、磯野祥子さんと田村知美さん)

女性活躍推進の指標の一つ、管理職比率。株式会社ニチイ学館は、「2030(ニイマル・サンマル。厚生労働省から2020年に管理職に占める女性の割合で30%を目指すという指標)をはるかに超える78.5%(20年3月時点)の、驚きの達成率をたたき出した。

医療、介護、保育といった生活に密着したサービスを提供しているがゆえ、おのずと女性の就労が多くなるが、どのように管理職の登用を進めているのか――。同社の広報部広報課、係長の磯野祥子(いその・しょうこ)さんと人事統括本部、係長の田村知美(たむら・ともみ)さんに聞いた。

現場の「声」を聞いて取り入れる

※ 2021年4月1日より、株式会社ニチイ学館の持株会社制への移行に伴い磯野祥子さん、田村知美さんが所属する会社名が株式会社ニチイホールディングス(HD)に変わっています。

――女性の社員比率が93.4%とはいえ、女性管理職が78.5%とは高い比率ですね。どのように女性活躍を進めてきたのでしょうか。

磯野祥子さん「当社は創業が1968年で、医療事務の受託事業からスタートしています。その時に中心となってサービスを担ってきたのが女性です。その後、介護事業や保育事業などを展開してきましたが、それぞれの事業において女性が多く活躍しています。
女性が長く働いていくためには女性が直面する出産、子育て、介護といったライフイベントへの対応に加え、ご主人の転勤などへの対応も必要です。当社は、全国の支店やサービス拠点があり、支店・拠点間の移動もできるような体制となっています。女性が多い職場で、支店長の多くも女性ですので、お互い環境をわかり合えるところもあり、支店長どうしの連携体制ができています。家庭環境の変化に捉われずに長く働き、キャリア形成を支援する風土が自然とできあがってきたということです」

――創業当時からキャリアを積んだ方たちの中から管理職に登用していったということでしょうか。

磯野さん「そうですね。当社は人と関わるサービスですし、サービス技術をどんどん磨いていく必要があります。職種に合わせてステップアップしていく研修制度を整え、優秀な人材を育成し、管理職に引き上げていくという文化を創り上げてきました」

――経営側が女性を育て、その中から管理職に上げていくように主導されてきたのでしょうか。

磯野さん「現場があっての会社であると考えており、『現場力』の強さが当社の特徴の一つですので、現場の意見を積極的に取り入れてきました」

全国800以上のQCサークルが「最優秀」を目指す!

――現場力というのは、具体的にどんなものですか。

磯野さん「たとえば、現場では新しく入ってくる方や長く働いている方など、さまざまなスタッフがいますが、本社からの指示がなくても、自分たちで業務をどうやって改善できるのかという改善策をチームとして考え、実施していくことができることが現場力の一つだと考えています」

――それはQC活動(職場のサービス、品質を間然するために行う活動)のようなイメージですか。

磯野さん「そうですね。たとえば、医療関連事業では毎年QCサークル活動を実施しています。当社が契約している医療機関でのさらなるサービス品質向上のために、各医療機関の現場でスタッフ達がチームとし自主的に課題を見つけ、分析し、改善に向けた施策を実行する活動です。その活動を発表する機会として年1回『QCサークル活動事例発表会』を開催しています。今年は全国800サークル以上の中から6サークルが優秀サークルに選出され、その中から最優秀サークルが選ばれました」

――コロナ禍ですが、開催されたのですか。

磯野さん「はい。コロナ禍ということで例年のように会場に集まって開催することができなかった代わりに、WEBを活用して選考と発表会を行いました。選出された6サークルが事例発表動画を撮影し、医療機関での業務を統括するフロントマネージャー(FM)が期間内にFM会議などで動画を視聴し投票し決定する『FM賞』が今回、新設されました。発表当日は役員が動画を視聴し評価を行う評価会の後、受賞式がWEB会議形式で行われました。活動事例は、医療関連に限らず全事業の現場で活かせる内容ですので、6サークルの動画は全事業の従業員向けのポータルサイトに掲載し閲覧できるようにしました。会社から言われてやるというのではなく患者様や医療機関の皆様にとって、いかにより良いサービスを提供できるかを自分たちで考え実行していくことも風土として根付いています」
田村知美さん「経営陣も現場の声を吸い上げながら経営方針を決めていくことがあります。ボトムアップの考え方です」
磯野さん「現場の意見を吸い上げながら、経営方針や事業方針に反映させています。介護事業でも事例研究を全国の事業所で行っていて2年に一回、成功事例の発表、共有の機会があります。このような機会は現場のモチベーションアップにもつながっています」

パフォーマンスを出せば応えてくれる

――管理職を育てていくことの具体的な取り組み、施策はどのようなものがありますか。

磯野さん「もともと医療や介護の仕事に従事されている方は強い使命感を持って働いていらっしゃり、管理職を目指すモチベーションづくりやそれに伴った技術を身に付けるための研修などを絡めながら、キャリアを積んでもらうためにキャリアアップ支援制度を整えています。本人の希望に沿いながらアドバイスや指導をしていくことが多いです」
田村さん「多くの女性社員がおりますので、すでに自分が思い描くキャリアを歩んでいる方、ロールモデルになる方がいることも当社ならではだと思います。たとえば『管理職はこんな仕事をするんだ』というイメージがすでにそこにあるので、研修はもちろん、勤務の中でそのような姿を見てキャリアを形成している方も多いのではないかと考えています」

――磯野さん、田村さんはご自分の希望を自己申告して現在があるのでしょうか。

田村さん「そうですね。もともとはさまざまなことにチャレンジしたい性格なので、一度目の産休に入る前まではこんなことがやりたい、あんなことがやりたいと話していましたが、子供を産んで自分自身の生活と仕事のバランスをとるのがこんなに大変なのかと実感して、復職してすぐはあれこれチャレンジすることを諦めていた部分がありました。
ただ、二度目の産休を経て育児と仕事の両立のコツがわかり、今の部署ではさまざまな仕事を任せていただけるようになり、育児と仕事の両方にやりがいを持って積極的に取り組めるようになりました。現在は時短勤務をしているのですが、今の上司が仕事をした時間ではなく、仕事の中身を大切にしてくださり、昨年には係長への昇進の機会をいただきました。きちんとしたパフォーマンスを出せば応えてくれるというのは働き甲斐にもつながっています」

課題は復職支援の充実

――周囲の方たちとの関係性はいかがですか。

田村さん「今の部署は若手の社員も多く、復職してすぐの頃は育児のために時短勤務をしていることや、急な発熱等で早退する場面も『迷惑と思っているのではないかな?』と不安に思っていたのですが、そう思っていたのは自分だけで周囲は普通のことと受け止めてくれていて、とても心強かったです。今後は、周囲の皆さんがライフイベントを迎えた際の働き方やキャリアの築き方について私自身がロールモデルになれるよう働きかけていきたいと思うようになりました」

――お二人とも時短勤務をされているようですが、時短勤務にはどんなものがあるのですか。

田村さん「私は、通常9時から17時15分のところ、9時から16時半までの勤務で45分間短い勤務をしています」
磯野さん「私は、9時半から16時半までの勤務です。当社では子どもが小学校3年生まで時短勤務をとることができます。その人によって朝ゆっくりとか夕方は早めに帰りたいなど都合がありますので、出社、退社の時間を前後で自由に調節できるしくみになっています。6時間、6.5時間、7時間の3種類があります」

――他に女性が働きやすい環境づくり、またはステップアップするために実践していることはありますか。

磯野さん「支援する仕組みの一つとして、従業員が利用できる保育所を全国に設置しており、月16日以上利用される場合は月1万円の手当がつくようになっています。その他は介護や病気のときに使える独自の休暇制度もあります。仕事と生活を両立していくための制度が充実していると思います」

――今後さらにあったらいい取り組みなどはありますか。

田村さん「復職の際の支援でしょうか。当社ではすでに育児休業から復帰すると「おかえり」という雰囲気があるのですが、さらに言えば横のつながりを持てると、より安心して復帰できると思います。時短で働くママさんたちのワークショップで意見交換できる場があると、他の人が育児と仕事の両立に向けてどのような準備をしているのか知ることができ、今よりももっと復職に自信が持てるように思います」
磯野さん「広報には、女性活躍に関する調査やアンケートがきますが、共通して聞かれる質問事項は社会的関心の高いものだと思いますし、他社事例なども取りまとめながら人事との連携を図っていきたいと思っています」

――今後の課題はどんなものがありますか。

田村さん「産休育休に限らず介護やケガなどでの復職される人がいますので、復職支援の充実を図っていきたいと思っています。復職の際は休んでいた期間を振り返り、今後どうしていきたいかを見て、家庭の都合と仕事のバランスを考えたうえで、会社との調整していく必要があります。働くイメージがつかずに休職したまま退職してしまうのは残念なことですから、復職の入り口で意見交換の場があるといいなと感じています。自分のロールモデルになる経験者もいるはずですので参考にして自分らしい働き方ができるようになってもらいたいです」

(聞き手:水野 矩美加)


プロフィール

田村 知美(たむら・ともみ)
株式会社ニチイホールディングス 人財採用部 人財採用課 係長
大学卒業後、2009年入社。人事部門にて新卒採用や新卒向け研修を担当。
2013年に新規事業(語学事業)の研修担当部門へ異動。
2015年に育児休業取得後、語学事業の管理部門へ復職。
2017年に2度目の育児休業取得後、2019年再び人事部門の採用担当として復職。

磯野 祥子(いその・しょうこ)
株式会社ニチイホールディングス 統合経営部 統合経営課 係長
大学卒業後、2010年入社。ヘルスケア事業支店 営業課にて介護サービスの営業を担当。
2011年に介護事業本部 管理部へ異動。コンプライアンスを担当。
2012年に広報部 広報課へ異動。IR、PR業務を担当。
2019年に育児休業取得後、2020年に同部署へ復職。

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