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「東京五輪開会式」財界首脳とスポンサー企業が軒並み欠席! トヨタ社長が「ダメ出し」した理由を直撃した

J-CAST会社ウォッチ / 2021年7月21日 19時55分

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豊田章男・トヨタ自動車社長(公式サイトより)

2021年7月23日に迫った東京オリンピックの開会式。晴れの舞台というのに、五輪スポンサー企業のトップたちをはじめ、経済界の首脳たちが軒並み欠席する異常事態になっている。

きっかけは、最高位のスポンサー企業であるトヨタ自動車の豊田章男社長の「欠席宣言」だった。豊田社長はなぜ東京五輪に「ダメ出し」をしたのか。そして経済団体首脳たちはそれにならったか――。

J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部は、トヨタと経済同友会、日本商工会議所の担当者に聞いた。

トヨタ「いろいろなことが理解されない五輪になった」

発端は、東京五輪・パラリンピックの最高位の「TOPスポンサー」(ワールドワイドパートナー)14社のうちの1社であるトヨタ自動車の豊田章男社長の「英断」だった。

毎日新聞(7月19日付)「トヨタ、五輪関連のテレビCMの放送取りやめ 社長の会場応援も見送り」が、こう伝える。

「東京オリ・パラの最高位スポンサーを務めるトヨタ自動車は、国内で予定していた五輪関連のテレビCMの放送を取りやめる。豊田章男社長ら関係者の開会式などへの出席も見送る。広報担当の長田准執行役員が7月19日、報道各社のオンライン取材で明らかにした。新型コロナの感染拡大で大会開催に慎重な世論が根強いなか、自社のブランドにマイナスイメージが広がるリスクを避けたとみられる」

トヨタは欧米で、アスリートを支える内容のテレビCMを放送中だ。国内でも同じCMを放送予定だったが、取りやめる。また、7月23日の開会式に豊田章男社長が出ないばかりか、200人近いトヨタ関連の選手が出場するため、豊田社長が競技会場で応援する計画もあったが、これも見送る。

その理由について、長田氏はこう説明したのだった。

「いろいろなことが理解されていない五輪になりつつある。(トヨタは)スポンサーになった時から(商品宣伝など)プロモーションのメリットはほぼ考えていなかった」

と話した。ただし、今回の大会では、大会関係車両として水素で走る燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)など約3300台を提供しているが、長田氏は、

「アスリートに大会に集中してもらうため、徹底的に支援していきたい」

と強調した。

オリ・パラに出場する約200人の選手については、自社メディア「トヨタイムズ」を通して応援していくという。

スポンサー企業「そこら中に『地雷』がある」

トヨタの決定は、大会組織委員会やCMを当て込んでいた日本のテレビ局、他のスポンサー企業などに衝撃を与えた。産経新聞(7月20日付)「トヨタのCM見送り、IOCなどに強い不信感」は、トヨタの狙いをこう説明する。

「トヨタ自動車が、テレビCMの国内放映や、豊田章男社長らの開会式出席を見送る方針を表明したことについて、他のスポンサー企業からは影響の拡大を懸念する声が上がり始めている。すでに開会式への役員の出席などで自粛の動きが出るなか、同様の流れがテレビCMにも及べば、各社のプロモーション戦略にも大きく影響するからだ。
トヨタが異例の対応に出た背景には、大会運営などをめぐる国際オリンピック委員会(IOC)や組織委など、主催者側への強い不信感がある。関係者によると、大会延期や無観客開催に至った経緯について、主催者側から十分な説明や相談がなかったことで『亀裂』が生じた。上層部からは『すべての決断が遅い。情報を報道で知ることも多かった。スポンサーって何なのだ』という不満の声も上がっている。主催者側に振り回されてきたという思いは多くのスポンサー企業が感じている」

さらに産経新聞は、こう指摘する。

「特に五輪開催に対して国民の厳しい目が向けられる中、企業が露出すること自体がリスクとなっており、関係者からは『そこら中に〈地雷〉がある』との声も上がる」

東京新聞(7月20日付)「五輪のスポンサー企業、消費者の批判にピリピリ CM見送り、パビリオン公開中止...問題続きでメリット乏しく」も、スポンサーとしてのメリットがなくなったばかりか、リスクばかりの現状をこう伝えた。

「『沈む船から逃げた』『常識的な判断』『企業として当然だ』。CM見送りや社長らの開会式欠席を明らかにしたトヨタに対し、SNS上では一定の理解を示す声が目立った。SNS上では以前から『#五輪スポンサー不買運動』も続出しており、企業は消費者の声に敏感にならざるを得ない。P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は東京・台場ですでに建設済みだった化粧品ブランドのパビリオンの一般公開を中止にした。
『スポンサーのメリットがあるかと聞かれると言葉に窮する』。あるJOC(日本オリンピック委員会)ゴールドパートナーの担当者は打ち明ける。別のスポンサー企業は『無観客も一般の人と一緒で、報道で知った』と話し、組織委からの説明が不足する現状にも不満をにじませる。スポーツ文化評論家の玉木正之氏は『今大会でのスポンサーはメリットがまったくないといっても過言ではない』と強調。企業がPR計画を縮小する動きには『五輪に近づくと社名に傷が付くと感じ取り、うまく距離を取る企業が増えそうだ』と述べた」

パナソニック、P&G、NTT、NEC、リクルート、パソナも...

こんななか、スポンサー企業の間に、トップが開会式を欠席する動きが広がった。

TBSニュース(7月21日付)「スポンサー企業 相次ぎ幹部の開会式出席を見送り」が雪崩を打ったような動きを、こう伝える。

「開会式があさって(7月23日)に迫るなか、スポンサー企業では経営幹部らの開会式への出席を見送る動きが広がっています。最上位スポンサーでは、トヨタ自動車の豊田章男社長が出席しないことを決めたほか、パナソニックも楠見雄規社長の出席を見送ることを明らかにし、P&Gも欠席を決定したということです。また、NTTとNECは『無観客開催が決まったことで(経営幹部の)出席を取りやめた』としているほか、日本郵政は人流抑制の観点から出席を見送ったことを明らかにしています。このほか、リクルートホールディングス、パソナグループ、JR東日本など、スポンサー企業では経営幹部の出席を見送る動きが広がっています」

開会式欠席の動きは、経済3団体のトップにも波及した。読売新聞(7月20日付)「経済3団体トップ、そろって五輪開会式欠席... 経団連の十倉会長『家で一国民として楽しみたい』」が、こう伝える。

「日本経済団体連合会の十倉雅和会長は7月20日の記者会見で、欠席する意向を明らかにした。理由について『総合的に勘案して、だ』と答えた。『家で一国民としてオリンピックを楽しみたい』とも述べた。十倉会長は、五輪について『私が出席しないことで意義や価値が変わるものではまったくなく、成功を心から願っている』と述べた。日本商工会議所の三村明夫会頭と経済同友会の櫻田謙悟代表幹事も欠席する方向だ」

豊田社長も開会式では「不要の人」

J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の経済界の「東京五輪開会式欠席ドミノ」に一撃を与えたトヨタ自動車の広報担当者に聞いた。

――豊田章男社長が東京五輪の開会式の欠席を決めた理由は何ですか。

広報担当者「新型コロナウイルスの感染がこれだけ拡大して、東京五輪が無観客で開催される事態になっています。開会式もできるだけ人を減らして行うことにしようとしています。大会運営にどうしても必要不可欠な人ならともかく、それ以外の不要な人が開会式に出ることは避けなければなりません」

――ということは、豊田社長も開会式では「不要な人」だという意味ですか。

広報担当者「ただ、見るだけなら必要不可欠な人ではないでしょう」

――長田准・広報担当執行役員は、「いろいろなことが理解されない五輪になりつつある」と述べましたが、どういうことでしょうか。

広報担当者「世の中の風潮として歓迎されない大会になっています。選手に対してまで色々なプレッシャーがかかり、肩身の狭い思いをして、競技に集中できない人も出ております。選手を応援する立場の我々としては、とても残念な大会になってしまいました」

――長田准氏は「もともとトヨタは、オリンピックのスポンサーになった時から、(商品宣伝などの)プロモーションのメリットを考えていない」と言っていましたが、どういうことですか。

広報担当者「プロモーションのためにスポンサーになったわけではないということです。五輪ばかりが注目されていますか、トヨタはパラリンピックも協賛しており、そちらの応援にとても力を入れています。また、スペシャルオリンピックス(編集部注:知的障害のある人たちの自立と社会参加を目的として行われる競技会。世界大会は五輪同様、夏季冬季を4年ごとに開催。日本法人の理事長は有森裕子さん)も協賛して応援しています」

――豊田社長が欠席を表明して以降、多くのスポンサー企業や経済団体トップが、雪崩を打って欠席を表明していますが、どう思いますか。

広報担当者「それはコメントしかねます。とにかく選手たちに頑張ってほしいと願うだけです」

櫻田代表幹事「無観客を主張した私が出るわけにいかない」

また、経済同友会の広報担当者を取材した。

――櫻田謙悟代表幹事が開会式を欠席する理由はなんでしょうか。6月3日の会見では「新型コロナウイルスの感染拡大で国民は不安に思っている。五輪を開催するなら最低限、無観客で行うべきだ」と語っていましたが。

広報担当者「櫻田の気持ちです。かねてより無観客を主張していましたから、その自分が出るわけにはいかないだろうということです」

さらに、日本商工会議所の広報担当者を取材した。

――三村明夫会頭が開会式を欠席する理由はなんでしょうか。今年2月の会見では、「(ワクチン接種が進むし)最後の最後まで開催に希望を持ちながら準備を進める」と語っていましたが。

広報担当者「日本商工会議所は(東京五輪の)招致団体ではあるのですが...。(欠席は)本人の意向ということです」

(福田和郎)

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