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点検!「ワクチンパスポート」の導入 海外に見るメリット・デメリット、日本ではどうなる?

J-CAST会社ウォッチ / 2021年10月16日 17時45分

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ワクチン接種の進展で、経済活動が世界中で再開しつつある

新型コロナウイルスのワクチンを接種した人などを対象に公的な証明書、いわゆる「ワクチンパスポート」を発行して、経済の正常化につなげようという試みが日本でも動き出した。

政府が2021年10月から始めた「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験が、この一環だ。欧米では接種証明などを積極的に活用する動きが広がり、効果も出ているが、問題点も少なくない。

積極的なEU 経済活動を押し上げる

「ワクチンパスポート」は、ワクチンを接種済みだったり、コロナが陰性だったりする人に政府や自治体が発行する「証明書」のことだ。

証明書を持っている人は感染リスクが低いとみなし、さまざまな規制を緩める。具体的には、証明書を持っていれば、飲食店や大型イベント、スポーツジムなどへの入店・入場や、県境を越えた旅行などが自由にできるようになる。

ワクチン接種で先行している欧米では、すでに多くの国で接種証明の仕組みが導入されている。特に欧州連合(EU)の対応は積極的だ。EUはワクチンを2回接種した人や、PCR検査などで陰性だった人などに「EUデジタルコロナ証明」を発行。EU域内を往来する際、スマホなどに取り込んだコロナ証明を携帯し提示すれば、隔離措置が免除される。

EU域内の往来だけでなく、加盟国それぞれの国内でも証明書を広く活用し、飲食店や映画館などに自由に出入りするのを認めている。EU以外でも、イスラエルやシンガポール、米国のカリフォルニアなどの一部の州で活用され、コロナ禍で冷え込んだ経済活動を押し上げる効果も認められている。

一方、こうした証明書を「パスポート」と呼ばない国は多い。証明書を所持することが義務のように受け止められれば、病気などでワクチン接種ができない人への差別につながりかねないからだ。

ワクチンパスポートが「分断」のタネに......

しかし、呼び方を変えただけでは本質的な問題の解決にならない。フランスや米国などでは、ワクチンを接種するかしないかは自己決定権に関わる重大な問題だと捉える人が多い。彼らにとってワクチンパスポートは接種を強要しかねない危険な存在だ。導入に対する反発は根強く、各地でデモも起きている。

特に米国では接種を呼びかける民主党政権に対し、共和党が反発する構図がより鮮明化している。接種証明の扱いは州知事が民主党系か共和党系かでも異なり、フロリダなど接種証明の発行を禁止している地域もある。「分断がいっそう強まっている」との懸念は強い。

実証実験が始まった日本では、ワクチンを接種できない人への配慮が大きなポイントとなりそうだ。先行している欧米では、接種できなくても、陰性証明などがあれば証明書を発行しており、日本でも陰性証明で発行を可能とする見通しだ。

しかし、日本は欧米と事情が異なる。欧米の多くの国では検査が無料で受けられ、検査拠点も街角の薬局など豊富に存在するのに対し、日本の検査は有料なうえ、そもそも検査の拠点数が圧倒的に少ない。

また、接種証明の活用で経済が回れば、感染者が増加傾向をたどる可能性が高い。この間露呈した日本の医療体制の脆弱さなど感染増加に対する許容度は欧米などより小さいとみられている。

不公平感や不安を残したままの「ワクチンパスポート」の導入は、そう簡単ではなさそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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