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決めている人わずか3割...災害時の家族との連絡方法 実は必要?高齢者にSNS、若者に公衆電話の使い方練習 専門家が解説

J-CASTニュース / 2024年2月20日 18時11分

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災害時にスマホで家族と連絡をとる(写真はイメージ)

能登半島地震では家族と離れ離れになった人が多く出た。災害時には家族と連絡を取るにはどうしたらよいか。

NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年2月8日に発表した調査「災害時に家族と連絡を取る方法を決めている 3人に1人」によると、7割近くの人が連絡方法を決めていない。いざというとき、家族と自分の命を守るにはどうしたらよいのか。調査担当者に連絡方法を聞いた。

スマホ・ケータイ通話・メールがダントツだが...

モバイル社会研究所の調査(2023年11月)は、全国の15歳~79歳の男女8991人が対象。まず、災害時に家族と連絡を取り合う手段を家族(同居・別居問わず)で決めているかを聞くと、「決めている」のは3人に1人だった【図表1】。

年代別に見ると、10代が最も高く(男性48%、女性39%)、年代が上がると決めている割合は下がる傾向だ。30代が最も低く(男性31%、女性27%)、そこから年代が上がると上昇する。シニア層で特に高く、70代男性では43%に達した【図表2】。

具体的に決めている内容(複数回答可)は、スマホ・ケータイの通話(75%)が最も多い。次いで、スマホ・ケータイのメール(75%)、SNSの音声通話(23%)、災害用伝言版(20%)、SNSのメッセージ(19%)となった【図表3】。どの年代でも、1位がスマホ・ケータイの通話、2位がスマホ・ケータイのメールとなっている。

興味深いのは、都道府県別の災害時に家族と連絡をとる方法を決めているに比較したデータだ【図表4】。

これを見ると、2016年に熊本地震があった熊本県や、南海トラフ地震や首都直下地震の危機が迫っているとされる和歌山、三重、愛知、神奈川、千葉の各県や東京都が平均より高い水準にある。やはり、住民の危機意識が浸透しているのだろうか。

なお、モバイル社会研究所のリポートでは、身近な避難所の確認や、離れ離れになった家族の連絡方法など、災害時に役立つ情報を満載した「データで見る防災ガイド」を公開している。

10代~20代は学校での防災教育の影響が強い

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の水野一成さん(子ども・シニア・防災調査担当)に話を聞いた。

――連絡方法を決めている人が約3割という数字、私は個人的にかなり心配な数字だと思います。というのは、私は東京郊外の千葉に住んでおり、多くの住民が東京に通勤し、離れ離れになる危険が大きいからです。

それなのに、連絡手段を決めている人が10、20代の若者と70代に多く、働き盛りの30~50代に少ない理由が理解できません。この世代は東京などの職場にいる時間が長く、家族と離れ離れになる危険が大きいし、子どももいる世代ではないですか。

水野一成さん 家族形態にもよるかもしれません。たとえば、子どもや高齢者の方が家族にいない人は、決めていなくても普段と同じ方法でなんとかなると考えている方もいるのではないでしょうか。そのため、30~50代は低めになった可能性があります。

上記の理由と合わせてですが、10代~20代は学校での防災教育の影響、70代は防災意識の高さも影響していると考えられます。その結果、防災訓練への参加、ハザードマップの認知、緊急地震速報の適切な対応なども今回の調査と同じように、30~50代が低い傾向です。

普段から取り組んで 「家庭内防災訓練」のススメ

――家族と決めている災害時の連絡方法をみると、スマホ・ケータイの通話やメール、SNSがほとんどという結果です。また、個人的な話になりますが、私が住む住宅地は高齢世帯が非常に多く、スマホ操作やSNSに疎い人が大半です。

こういう高齢者たちが、災害時には家族と連絡を取り合うにはどうしたらよいのでしょうか。実践的な方法があったら教えてください。

水野一成さん 災害発生時にスマホの操作方法やSNSの利用方法を高齢者の方にお伝えするのは大変に困難と思われます。そのうえ、高齢者の方でもスマホの利活用のレベルはさまざまです。そのため、普段の利活用に合わせて、事前にご家族で話し合うことが大切と思います。

たとえば、普段は通話メインの高齢者の方で、シニア向けのケータイ電話(スマホを含む)を利用している方は、短縮ダイヤルを事前に登録しておき、発災時に活用することも有効と思います。

また、スマホを持っていて普段ある程度使っている方には、通話・メール以外に災害用伝言板(たとえば災害用キットなど)が利用できるアプリを入れておくことも有効です。

いずれにしても発災時に使えないと困りますので平時の確認、そして発災時のために紙に書き留めて、スマホケース等に入れておくこともお勧めします。

――なるほど。普段から予行練習、一種の「家族内防災訓練」を行っておく必要があるわけですね。しかし、こうした方法でも実際に震災が起こった時、通信が殺到したり、通信施設が破壊したりと、スマホなどが使えなくなる場合はどうしたらよいでしょうか。東日本大震災の時がそうで、公衆電話に多くの人が並びました。

水野一成さん 公衆電話を使うことも有効です。ただ、平時において2点、確認していただきたい。

1つ目は、公衆電話が設置している場所です。家の周りだけでなく、会社や学校の近くも確認しておきたいです。

もう1つは、若い方ですが、公衆電話の利用方法を知らない人が多くいます。特に児童・生徒さんの親御さんは一度、利用して使い方を覚えさせることをおススメします。

想定外に備えて「プランB」を決めておこう

――都道府県別に連絡方法を決めている人の割合も興味深いです。直近の地震体験(熊本など)や南海トラフ、首都直下地震などが予想される地域が高く、自治体が推奨しているといった背景があるのでしょうか。

水野一成さん いくつかの要素が関係していると思います。1つは大規模災害が予想される、発生した地域。さらに都市部が高いですので、核家族の割合なども関連していると思われます。

――災害への備えに関して、特に強調しておきたいアドバイスがありますか。

水野一成さん 2点あります。

1つ目は家族の各々が利用可能なサービスを確認しておくこと。連絡方法は多数ありますが、年代により利用できるサービスは異なります。家族で双方が利用できないと、連絡が取れません。たとえば高齢者の方がSNS、若い方が公衆電話、また、年代を問わず災害用伝言板などが利用できるか確認が必要です。

もう1つは、想定外の事態に備えて複数の方法を決めておくことです。たとえば、ケータイで通話ができない場合はどうするかなどです。いずれも、平時の確認が重要となります。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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