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新卒と中途入社、どちらも活躍できる日本企業ランキング 上位30社の魅力は「公平な評価」と「徹底した実力主義」

J-CASTニュース / 2024年3月22日 19時13分

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新卒も中途も和気あいあいの職場

新卒一括採用の「新卒文化」のイメージが強い日系大手企業だが、経験豊富でスキルの高い人材を中途採用するところも増えている。

そんななか、就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク(東京都渋谷区)が2024年2月26日、「新卒入社vs中途入社 評価がフラットな日系大手企業ランキング」を発表した。

新卒入社者と中途入社者が公平・公正に評価され、ともに生き生きと働きやすい会社にはどんな魅力があるのだろうか。調査担当者に聞いた。

上位2社は保険会社が独占、最先端企業が3割以上

OpenWorkは、社会人の会員ユーザーが自分の勤め先企業や官庁など職場の情報を投稿する国内最大規模のクチコミサイト。会員数は約610万人(2024年1月時点)という。

OpenWorkでは、企業の評価を「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「人事評価の適正感」など8つの指標を5段階で評価している。

今回の調査では設立50年以上、従業員1000人以上、総合評価が3.0点以上の日系大手企業を対象に、新卒入社者と中途入社者による総合評価スコアをそれぞれ集計し、差異が小さい企業をランキング化した。

その結果、上位30社では1位に住友生命保険、2位にあいおいニッセイ同和損害保険、3位にリクルートホールディングス、4位にセイコーエプソン、5位に伊藤忠テクノソリューションがランクインした【図表】。

業種別では、「SIer(エスアイヤー)、ソフト開発、システム運用」「コンピューター、通信機器、OA機器関連」がそれぞれ最多の4社、「半導体、電子、精密機器」が3社となった。

OpenWorkでは、ランキング企業に共通する魅力をこう分析している。

(1)中途採用に積極的な自社の姿勢や、分け隔てなく意見を交わす職場環境を評価する声が多い。実力主義の公平な評価制度も社員の活躍を促すポイントになる」。

(2)丁寧な研修制度や豊富な学習機会でスキルアップできる環境が、特に中途入社者に好評価を与えている。

(3)人材の獲得競争が激化するなか、成長意欲のある中途入社者に選ばれる企業となるためには、学びの機会の充実も重要な要素となる。

保険会社の強み、中途入社にも「充実した学習機会」

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したオープンワーク広報に話を聞いた。

――上位30社の1、2位を「住友生命保険」と「あいおいニッセイ同和損害保険」という保険会社が独占しているのは、どうしてでしょうか。保険会社特有の業務内容、たとえばかつての「保険のオバサン」に代表される人脈を駆使した営業手法なども影響しているのでしょうか。

オープンワーク広報 今回の調査は、業界を絞って集計したわけではないため、トップ2社が保険会社となったことは偶然です。ただ、ランクイン企業には、評価制度が「実力主義」であることが共通点の1つとして挙げられています。これは保険会社の評価制度の特徴に合致しており、保険会社2社が1、2位を占めたことは、納得の顔ぶれだと感じました。

「住友生命保険」の中途入社者からは「研修がたくさんあり、キャリアを積むことができる。やる気さえあればどんどん上に上がれる」(営業、女性)といった声が寄せられています。新しい環境で取得したいスキルや経験を明確に持っている中途入社者にとって、充実した学びの機会があることが重要だと考えられます。

たとえば、上位30社にはランクインしていませんが、OpenWorkの「生命保険・損害保険」業界で高スコアの「東京海上日動あんしん生命保険」(総合評価4.05点)の社員クチコミには、こうあります。

・「やったらやった分だけインセンティブとして、自身の給料に反映されるため、やりがいは感じられる。完全実力主義なので、成績が良いと賞与の支給もそれに応じて良くなる」(営業、中途入社、女性)
・「生命保険会社の中では裁量が大きいほうだと思う。若手のうちから課題を定義し、解決策を考えて提案、実行することに挑戦させてもらえる」(事務企画、新卒入社、男性)

また、同じく業界内で高スコアの「ほけんのぜんぶ」(総合評価3.92点)のクチコミにもこういう意見があります。

・「実力主義。利益を考えて行動する文化。研修なども多少してくれる印象だが、基本的には個人プレー」(営業、中途入社、男性)
・「やればやる分だけ評価され、給与が上がるので、その点ではやりがいがあるかとは思います」(営業、新卒入社、女性)

このように保険会社には、成果が給与に反映される厳しさがある一方、入社形態を問わず、自ら考えて行動せざるを得ない環境があり、働きがいや成長実感にも直結していることがうかがえました。

中途入社に積極的に学習機会を与える最先端企業

――上位30社を見ると、システム運用やコンピューター、通信機器、半導体、精密機器といった、いわゆる最先端技術の企業が計11社(37%)も占めています。こうした業界は、なぜ新卒と既卒ともにフラットな評価を受けるのでしょうか。

オープンワーク広報 最先端技術の11社には、「伊藤忠テクノソリューションズ」「セイコーエプソン」「富士通」「オリンパス」「京セラ」などが入っています。こうした企業のクチコミには、「近年、中途採用に積極的である」といった声が見られます。

エンジニアなどのIT人材の獲得が厳しさを増すなか、従来のように新卒一括採用によって社員を育成するだけでなく、中途採用にも力を入れていることが考えられます。

たとえば、「オリンパス」では「大手かつ医療機器メーカーらしく、保守的で閉鎖的に思われます。近年は外資系競合からの転職者も多く、中途採用者の多い部署等では比較的モチベーションが高い方も多いイメージです」(エンジニア、新卒入社、男性)といった声が寄せられています。

また、組織としての変化に加えて、中途入社者に積極的に学習機会を与えていることも大きいです。たとえば、「富士通」では、「社風はフラット。大学の派閥などありません。中途社員の方も実力があれば幹部社員になれます」(インフラエンジニア、中途入社、男性)という声がありました。

「伊藤忠テクノソリューションズ」でも、「(中途入社者に対しては)用意されている研修などを取捨選択して、自己研鑽を積むことができる環境」(営業、中途入社、男性)など、外部から多様な人材を受け入れるフラットな社風や、研修や学習機会が豊富に用意されていることを特徴として挙げる声も見られました。

中途入社者は、自分に合ったキャリアステップを歩める環境を求めて転職先を選んでいます。だからこそ、充実した学びの機会があることは成長意欲のある中途入社者の活躍を促し、評価されるポイントと考えられます。

ビッグ企業も「新卒一括」から「キャリア採用」に

――ところで、30位までの企業名を見て不思議なのは、企業ランキング(特に学生の就職人気企業など)では、必ず上位を独占する総合商社の名前が1社もないことです。

やはり、総合商社は日本企業特有の「新卒文化」があり、「年功序列」型体質から脱していないということでしょうか。

オープンワーク広報 今回のランキングに総合商社は含まれておりませんが、当社が先日集計した、直近3年間で「人材の長期育成」スコアが上昇した企業ランキングでは総合商社が多くランクインしております。

また、5大商社のなかには新卒よりも中途入社者による評価のほうが高い企業があり、「三菱商事」(総合評価スコア:新卒4.33、中途4.45)が該当します。

同社のクチコミには、「しっかりとした研修プログラムが組まれており、年功序列も多少残っているが、成果主義な部分もある」(事務、新卒入社、男性)と、自社の改革を評価する声が寄せられています。

――巨大メーカーでランクインしたのは、「三菱重工業」と「富士通」だけです。「トヨタ」「日産」などの自動車は入っていません。また、メガバンクも「三菱UFJ銀行」だけ。こうしたビッグ企業には、日本企業特有の「新卒文化」があり、「年功序列」型体質から脱していないということでしょうか。

オープンワーク広報 総合商社と同様に、「新卒文化」が強いとは言い切れません。たしかにビッグ企業は、独特の人事制度として、「年功序列」を採用しているケースは多いかと思いますが、各企業の規模や事業の特徴に応じて制度をアップデートしていることがうかがえます。

「トヨタ自動車」では「組織体制については、近年グローバル企業のように成果に応じた評価へと変わりつつあり、若くし昇格して役職が付くようになってきている印象」(開発職、新卒入社、男性)。

「三井住友銀行」では「年功序列の評価体系から自主性、成長意欲、実績へとシフトしている転換期につき、後者へのフォローは手厚い。ファイナンスという分野に興味があれば、何でもできるいい会社」(総合職、新卒入社、男性)といった声が寄せられています。

――なるほど。日本のビッグ企業もどんどん改革を進めているのですね。

オープンワーク広報 そのとおりです。新卒一括採用がメインだった日系大手企業も、近年キャリア採用に力を入れるようになりましたが、実際に中途入社をしてみると、「放任されることが多く、中途入社者に対しては『お手並み拝見』の姿勢を感じる」といった声を耳にすることがあります。

企業にとって、多様な人材を獲得することが避けられないなか、入社形態やバックグラウンドの違いに関わらず、それぞれが十分に力を発揮し、社員からも評価される企業の特徴を知りたいと率直に思ったことがリポート作成のきっかけです。

日系大手企業への転職に憧れる方も少なくないと思いますが、ネームバリューに捉われることなく、さまざまな人材を受け入れる環境かどうかにも着目いただければと思っています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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