「自分が本当にやりたい仕事が何か、わからない!」 就活で悩みぬいたZ世代・学生が「漠然とした志望動機」に自信を深めたワケ(2)
J-CASTニュース / 2024年3月26日 12時10分
Z世代・学生が涙したエピソードとは
上司の言葉がけひとつで、モチベーションが高まった経験はありませんか?
会社の中で実際に起きた困ったエピソード、感動的なエピソードを取り上げ、人材育成支援企業代表の前川孝雄さんが上司としてどうふるまうべきか――「上司力」を発揮するヒントを解説していきます。
今回のエピソードを踏まえ、前川さんは「上司として、若者のキャリアの可能性を広げられるかかわり方が大事だ」といいます――。
「人の笑顔を創る仕事がしたい!」
<「自分が本当にやりたい仕事が何か、わからない!」 就活で悩みぬいたZ世代・学生が「漠然とした志望動機」に自信を深めたワケ(1)>の続きです。
すると後日、この大学生から、こんな感想メールが届きました。
先日は、たいへんありがとうございました。
その後、前川さんのご著書をもう一度読み直し、感謝の気持ちを伝えずにはいられず、連絡いたしました。
私は、前川さんに相談に伺った頃、就職活動真っ只中であり、『働く』事について考える機会が急激に増えた時期でした。
そんな中、友人に前川さんの本を勧められ、読ませていただきました。正直、私はこれまで最後まで読み終えられた本が数冊しかないほど、読書が苦手です。こんな私が前川さんの本を1日で読み終えてしまいました。
本の中にはたくさんのメッセージが込められていて、メールだけでは伝えきれませんが、とにかく前川さんの本を読むことで私の人生に明るい兆しが差し込んできました。
そこで、ぶしつけとは思いながらも、勇気を出して相談に伺ったのでした。
私は就職活動をするにあたって、「人の笑顔を創る仕事がしたい」という一心で業界を絞らず取り組んできました。こうした漠然とした志望動機でよいものか悩んでいましたが、前川さんに相談に乗っていただいて、漠然としているからこそ、将来どんな仕事に就こうと、自分の仕事に働きがいを作っていく自信が湧いてきました。
この前向きな姿勢を忘れず就職活動を続けようと決意すると同時に、背中を押していただいた前川さんに、どうしてもこの感謝の気持ちを伝えたくメールをいたしました。心から感謝しております。
若者のキャリアの可能性を広げる上司力を鍛えよう
私と就活生とのやりとりは、ここまでです。
私たちFeelWorksが主催する「上司力研修」に参加した管理職のみなさんに、若手社員の育成課題を挙げてもらうと、次のような意見をよく聞きます。
「最近の若者は、自分が好きな仕事しかやりたがらない」
「入社して間もないのに、自分の成長やキャリアにつながらないと思う仕事には後ろ向きだ」
しかし、ひるがえって考えると、そうした近視眼的な若者を育てたのは、現在の就活の仕組み。それから、ジョブ型への移行を背景に、より明確な志望動機や役割意識を求めてきた企業など、大人の側がつくり上げた環境だといえるでしょう。
けれども、エピソードでも述べた通り、若者は可能性の塊です。
未知の仕事や人との出会いの中で、さまざまな経験やチャレンジや失敗を経ては成長していく、無限の力を秘めています。若者の希望を尊重しようとするがあまりに、逆に本人の可能性を狭めていないか。人事や上司は、顧みる必要があるのではないでしょうか。
「あなたのやりたい仕事や、目指したいことは理解した。でも、あなたの強みや持ち味と、会社のリソースや機会を掛け合わせたら、こんな活躍や成長の道もある」
「いまの仕事は希望と異なるかもしれないけれど、複数の異なる経験が力となり、あなたが究めたい道にも必ず活きてくる」
上司自身の幅広い経験や人を育てる信念をもとに、対話を深めることがあってもよいはずです。
若者が自身では気づけない持ち味を活かして可能性をさらに広げ、顧客や組織への貢献をも成し遂げられるチャンスはないか。そうした一回り大きな視点で、一人ひとりを大切に育てていく上司力が求められるのではないでしょうか。
(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)
【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。近著に、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)。
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