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地方と大都市の「賃金格差」は縮小中? 観光業従事者「円安とインバウンドでボーナス大盤振る舞い」

J-CASTニュース / 2024年5月3日 16時0分

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私たちへの賃上げの影響は

日本労働組合総連合会(連合)は2024年4月18日、2024春闘の回答集計を発表した。回答のあった3200社あまりの平均賃上げ率は、定期昇給分を含めて5.20%と33年ぶりの高水準となった。

ただし、従業員300人未満の中小企業に対象を絞ると平均賃上げ率は4.75%で、300人以上の企業の5.24%を0.49ポイント下回っている。この結果に、Xには「大企業だけが賃上げできて中小企業はできない。格差は拡大するばかり」と悲観する声も見られる。

「賃上げはかなり厳しい」と嘆く中小企業もあるが

帝国データバンクの調査でも、企業規模の格差を伺わせる結果が出ている。2024年度入社の新卒採用について「採用あり」と答えた割合は、大企業の76.2%に対して、中小企業は40.9%、小規模企業は23.7%となっている。

また「賃上げ5%以上」が実現したのは全体の26.5%で、3社に2社は5%に届いていない。この理由については「売上が上がっていない中での賃上げはかなり厳しい」(その他サービス業)など、資金的余裕が少ない中小企業から嘆きの声があがっていたという。

ただし、賃上げの動きは必ずしも企業の規模だけによって決まるわけではない、という指摘もある。

関東圏の観光ホテルで働くAさんによると、勤務先は中小企業ではあるものの、観光業関連の給与水準は右肩上がりに伸びているという。

「言ってみれば、うちは『地方のサービス業』ですけど、円安のおかげでインバウンドでお客さんが増えていますので、アルバイトの時給がどんどん上がっています。私たち正社員の給与も基本給は微増ですが、賞与はドンと大盤振る舞いしてもらいました」

一般には「中小企業より大企業」「地方より都市部」で賃上げが進んでいるように見られている。だが、Aさんによると、少なくとも地方の宿泊や飲食などのサービス業では、人手不足や従業員のモチベーションアップのために賃上げが進んでいるというのだ。

給与水準はまだ追いつかないものの、少なくとも「賃上げ率」自体は、都市部で伸び悩む業種の大企業よりも大きくなっており、結果的に「格差は以前よりも減っているのかもしれません」とAさんは言う。

「円安と人口減少で日本は貧しくなったと言われますが」

Aさんの感覚を裏付ける調査結果が、4月12日に公開されている。第一生命経済研究所の星野卓也氏(経済調査部 主席エコノミスト)による「賃上げで格差は広がっているのか?」というレポートだ。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を元に分析したところによると、都道府県別の所定内賃金を2013年と2023年を比較すると、トップの「東京都」の増加よりも他の道府県の増加率の方が高かった。

最も増加額が多かったのは栃木県で、およそ4万円も増えている。これにより所定内賃金の順位は2013年の14位から2023年には4位にまで上昇しており、愛知や千葉などを追い越して東京・神奈川・大阪に迫り、上位都県との「格差」が縮小している。

年齢階層別で見ても、この10年間で40代後半の給与は伸びていない一方で、20~30代の賃金は伸びており、年齢面でも「格差」は縮小している。

産業別に見ても、2013年の時点でトップ3の「電気・ガス・熱供給・水道業」「教育、学習支援業」「情報通信業」はこの10年でほとんど賃上げが行われていないが、最下位の「宿泊業、飲食サービス業」や「その他サービス業」は大きく伸びている。この結果、順位の変動とともに、上位業種と下位業種との「格差」は縮小している。

なお、Aさんは「円安と人口減少で日本は貧しくなったと言われますが、少なくとも観光サービス業の賃金は上がっています。地方にとっては、大都市圏との格差縮小のチャンスになるかもしれないと期待しています」と述べている。

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