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小中学生の6割、タブレット・パソコンが重くて通学が大変 「ランドセルをリュックに」「タブレットにデジタル教科書を入れて」と議論

J-CASTニュース / 2024年5月30日 18時46分

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ランドセル通学の子どもたち

小中学校でのICT教育が進むなか、貸与されたタブレット・ノートパソコンを家に持ち帰る児童生徒の半数以上が、重くて通学が大変と訴えていることが、NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田)の調査で明らかになった。

2024年5月23日に発表した「【子ども】半数以上の小中学生は、タブレット・ノートパソコンが重く通学が大変になった」によると、4割強の小中学生が毎日タブレットまたはノートパソコンを家に持ち帰っている。

そうでなくてもランドセルの重さが問題になっている。複数の親と調査担当者に聞いた。

千葉県の熊谷知事のランドセル批判が話題に

ICT教育を広げるために文部科学省が2019年から始めた「GIGAスクール構想」によって、全国の児童生徒にタブレット端末やノートパソコンを貸与する動きが加速している。

学校から貸与されたタブレット・ノートパソコンを宿題など家で活用する機会も増えている。その分、通学時の負担軽減のため、教科書を学校に置いたままにする小中学校もある。また、ランドセルは法律で義務化されているわけではないので、軽いリュックにする学校も出始めた。

たとえば、2022年10月には千葉県の熊谷俊人知事が「ランドセルは高価なものが多く、そもそも機能的ではないので、そろそろ日本のランドセル主義は見直す時期です。祖父母の入学祝となっているのも高価路線に拍車をかけています」としたツイッター(現X)への投稿も話題になった。

モバイル社会研究所の調査(2023年11月)は、関東1都6県の小中学生とその600人が対象だ。

まず、貸与されたタブレット・ノートパソコンは家庭での利用も増えてきているが、小中学生にどのくらいの頻度で家に持ち帰っているかを聞いた。

「ほぼ毎日」が小学校高学年46%、中学生で42%。「週に2、3回」も含めると、半数以上の小中学生が家に持ち帰っている。全く家に持ち帰っていない子どもが約2割と、学校によってかなり差があることがわかる【図表1】。

続いて、家庭に持ち帰っている小中学生を対象に、「タブレット・ノートパソコンが重く通学が大変になったか」を聞くと、小学生高学年の6割強、中学生の半数以上が「大変なった」と回答した【図表2】。

図工の授業の日は、親が校門まで荷物運びの手伝い

J‐CASTニュースBiz編集部は、複数の親に「通学時の重さ」問題について話を聞いた。

小6女子と小2男子を持つ40代の母親はこう語った。

「うちの子たちはランドセルを使っています。ランドセル自体が大きくて重い(約1.5キロ)ので、1年生の頃は荷物が多い月曜日や、絵の具セットと工作の材料を持っていく図工の日などは、私や夫が校門まで荷物運びの手伝いをしていました。

金曜日は、子どもは汗びっしょりで、体操着や上履き、給食係の割烹着が入った巾着を引きずるように持って帰ってきました。学期が変わる時は親にとって大騒動です。かなり大きい防災頭巾も学校の椅子に常備しているので、朝顔の鉢などのオオモノと一緒に、夏休み前と2学期前に親が学校に出向き、運びます。

iPadは、1年生の時に支給されましたが、息子は小2の今でも必要な日だけ「持って来て」と連絡があります。6年生の娘はiPadを授業で使うので、毎日ランドセルに入れています。教科書、ノートも従来通りランドセルで持ち運んでいますから、大人の私が持ってもかなり重い。家族4人ぼ1週間分の食材を買ったスーパー帰りくらいの重さです」

また、中学1年男子と小学3年女子を持つ40代の父親はこう語った。

「ランドセルが義務ではなく、リュックだとラクだということは知っていましたが、周囲にリュックで通学している小学生を見たことがないので、2人とも迷わずランドセルを買いました。

ランドセルは確かに重いですが、日本のランドセルは頑丈だし、デザインもいいからリサイクル品が発展途上国に人気だと聞いています。上の子が中学に入った時に、ランドセルをイオンの国際協力支援『思い出ランドセルギフト』を通じて途上国の子どもに寄付しました」

小中学生がタブレット・パソコンを家で利用するのは7、8割

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の水野一成さん(子ども・防災・シニア調査担当)に話を聞いた。

――GIGAスクール構想により、小学高学年や中学生に学校で貸与されるタブレット・パソコンの普及率がどのくらいになっているのか、これまで調査したことがありますか。

水野一成さん GIGAスクール構想が本格始動していますので、ほぼ普及していると思われます。

当研究所が出した「モバイル社会白書2023年版」の調査(学校から貸与されたタブレット・パソコンの家庭での利用)では、2022年時点で小学生低学年は71%、高学年は82%、中学生は74%となっています。

――かなり普及していますね。しかし、家に持ち帰る頻度では、「ほぼ毎日」が小学高学年のほうが中学生より多いことが不思議です。ICT教育は小学生より中学生の方が盛んと思いますが、どういう理由でしょうか。

水野一成さん 上記の「モバイル社会白書2023年版」の調査からも、必ずしも中学生のほうが家庭での利用が高い結果ではありませんでした。ただ、この結果からだけでICT教育が小学生高学年のほうが、中学生より活発とは言い切れないと思われます。

――千葉県の熊谷知事がSNSでリュックも奨励して話題になりましたが、近年、教育現場でのタブレット・パソコンの普及とともに、ランドセル自体の重さが問題となっています。そのことはどう思いますか。

水野一成さん 私も熊谷知事の発言の件は読みました。こういった選択肢が増えることはいいことではないでしょうか。ランドセル自体も軽量化、機能化(身体に負担がかからない)していますし、それ以外の選択肢があることもいいと思います。

今朝、わが子のランドセルと水筒を量ると6キロも

――子どもに貸与するタブレット・ノートパソコンにデジタルの教科書や問題集が入っていれば、紙の教科書などを持参する必要がなく、通学が大変になりません。なんのためのICT教育なのか大きな疑問です。

そこで、文部科学省のウェブサイトを見たら、2024年度から英語の教科書を順次入れるとのことで、他の教科はまだ決まっていないようです。こうしたことについてどう考えますか。

水野一成さん タブレットやノートパソコンを持ち帰る代わりに、教科書などを学校に置いたままにする学校もあります。残念ながら、今まで通り教科書も家に持ち帰り、さらにタブレット・ノートパソコンをプラスして持ち帰るとなると、児童・生徒にはかなりの負担になっています。

また、コロナ禍以降水筒も持参する学校も増えました。今朝、わが子のランドセルと水筒を量ると6キロもありました。学期の始めにはお道具箱や作品など、日によっては体操服も持参しますし、雨の日には傘も差します。

学校によって状況は異なると思いますが、こういった現状を認識し、少しでも負担が減るよう議論が進むことを切に願います。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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