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地蔵の供え物食べて逮捕...生活困窮者が食べるものなのでは? SNS議論、僧籍持つ弁護士はこう見る

J-CASTニュース / 2024年6月5日 11時0分

地蔵の供え物食べて逮捕...生活困窮者が食べるものなのでは? SNS議論、僧籍持つ弁護士はこう見る

地蔵(イメージ)

福岡市西区にある地蔵の供え物を盗んだ疑いで、2024年5月26日に53歳の無職の男性が逮捕された。これが報じられると、SNSでは「そもそも地蔵の供え物は、生活に困窮した人が食べられるようにするためのものではないか」とする意見が上がった。逮捕は妥当なのか。

僧籍を持つ弁護士は、「困窮した方が地蔵のお供え物を食べるということは、ある意味、地蔵の本心に適うかもしれません」としつつも、供え物を食べてしまうことには懸念点も示した。

地蔵の供え物=管理者の占有する財物、食べると窃盗に

福岡県警によると、地蔵は被害者の敷地内にあり、盗まれたのは約100円相当の菓子。報道によると菓子はポップコーンで、逮捕された男性は取り調べに「お腹が減っていて、お供え物を食べていた」と話した。また、この地蔵では過去にも供え物が盗まれる被害が相次いでいた。今回の事案では、被害届を提出されていたという。

地蔵の供え物を盗むことは窃盗罪にあたる。僧籍を持ち、宗教法人の法律問題に詳しい弁護士法人横浜関内法律事務所の本間久雄弁護士は、刑法第235条で窃盗罪について「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められているとしたうえで、次のように解説した。

「『他人の財物』とは、他人が占有する財物であると解されています。地蔵は、寺院等が管理していると思われますので、地蔵へのお供え物は、地蔵を管理している寺院等に占有があると言え、『他人の財物』に該当します。『窃取』とは、他人の支配下にある物を、自分の支配下に移すことを言います。供え物を食べることは、地蔵を管理する寺院等の支配下にある物を、自分の支配下に置くことに他なりませんので、『窃取』に該当します」

さらに民法第242条では、不動産の所有者は、動産が不動産と分離・復旧することが困難な場合にはその動産の所有権も取得すると定められており、一般的に地蔵はこれにあたるとした。

「地蔵が建立されている土地の所有者(寺院等)が地蔵の所有者となっているのが通例ではないかと思います(ただ、土地を借りて地蔵を建立したような場合は、土地の賃借人が地蔵の所有権を有することになります)」

被疑者へ「社会復帰されることを願ってやみません」

続けて本間弁護士は、地蔵について「地獄・餓鬼・修羅など六道をめぐりながら、人々の苦難を身代わりとなって受けて人々を救う菩薩であるとされています」と説明する。

「困窮した方が地蔵のお供え物を食べるということは、ある意味、地蔵の本心に適うかもしれません」

とみる。しかし、供え物が頻繁に食べられることには大きな懸念点があるという。

「地蔵の管理者に防犯上の不安を抱かせてしまうことになりますし、地蔵の周辺の住民からも、地蔵の管理者にクレーム等が寄せられるかもしれません」

こうしたことから、地蔵の管理者が警察へ相談するのは「やむを得ない事」だとした。

その上で、「現代では、生活保護等の社会福祉制度が整っています」とし、「社会福祉制度は、人々の苦難を受け止める現代の地蔵と言えるのではないかと思います」と提言。

「最近、刑事司法も、社会福祉との連携を強化しています。例えば、検察庁では、『社会復帰支援室』を設置し、社会福祉士を社会福祉アドバイザーとして採用して困窮した被疑者の再犯防止のために様々な支援を行っています」と例を挙げた。

最後に、今回逮捕された被疑者が、こうした支援を受けながら社会復帰することを願っていた。

「今回逮捕された被疑者が、社会福祉のもとで困窮から脱し、社会復帰されることを願ってやみません」

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